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公益社団法人日本女子プロサッカーリーグ「WEリーグ」に入社しました

2024年2月1日から公益社団法人日本プロサッカーリーグ、通称「WEリーグ」に入社しました。

まだ入社して2日間しか経っていないので仕事については特に書けることはないのですが、スポーツビジネスに関する仕事をしてみたい、WEリーグで働いてみたい、あるいは興味があるという人はいると思うので、僕の取り組みが参考になればと思って入社エントリを書いてみました。

やれることからやってみる

話は2014年8月まで遡ります。2014年8月に前職の株式会社インフォバーンに入社したのですが、入社した際に漠然と「次に転職するときはスポーツ業界で働けるといいな」といったことを考えていました。ただ当時の僕は結婚していて、子供も2人いた(後に3人になる)ので転職は難しいのだろうなと思っていました。

スポーツ業界で働いてみたいと思ったのは、単に自分が好きな分野だからというくらいの理由しかありませんでした。自分が興味がある分野の仕事で働いてみたい。その程度の動機でした。

スポーツ業界で働いてみたいと考えたものの、どうやったら働けるのか、どうやったら自分の力が発揮できて、家族を養っていける条件の仕事ができるのか、当時はさっぱり分かりませんでした。

試合のレビューを書いてみる

とりあえず出来ることから始めてみようと思い、まずやってみたのは「サッカーの試合のレビューとプレビューを書くこと」。試合を観るのは好きだし、文章書くのは苦手じゃない。これなら出来ると思って始めました。

当時も今もたくさんサッカーのレビューを書く人はいますが、1つのチームを追いかけ、プレビューで仮説を立てたうえで、振り返りのレビューを書く人はいなかったし、感情的にも、シニカルにもならずに、淡々と書く。そしてレビューを必ず試合翌日に更新する。他の人と差別化し、自分が出来ることはなにか。考えた上での行動でした。

川崎フロンターレは2015年から2022年まで、名古屋グランパスは2017年の1年間、ヴィッセル神戸はリージョが監督を務めていた間だけですがレビューを書いていました。ビジャレアルCFのレビューも書いてました。

レビューを書いていればライターの仕事がくるかもしれない、なんてことを考えてたのですがライターの仕事は全くといっていいほど依頼がなく、苦し紛れで始めたnoteが有料で売れていくというインディーズバンドのような売れ方をしたのは予想外でしたが、自分で作ったコンテンツを自分で値付けして売る、という経験が出来ました。

書いても書いてもSNSで言及されることは少ないレビューでしたが、思わぬ人から「読んでいるよ」と言われたり、知り合いになったり、といったことが起こる不思議なレビューだったと今振り返っても思います。

リージョのことを書いていたらヴィッセル神戸でリージョの通訳をしていた在原さんとお話出来るきっかけも作れたり、ビジャレアルCFのレビューは誰が読むのかと思っていたら佐伯夕利子さんが読んでくれたり、川崎フロンターレのレビューは同じ業界の偉い人が読んでくれていたなんてことがあったり。意図していない広がりが生まれるのが楽しかったです。

一方でレビューを書いたことによる失敗は数知れず。2013年に川崎フロンターレで監督を務めていた風間八宏さんが解任されそうだった時期に風間さんの取り組みを支持するnoteを書いたら批判されたり、配慮が足りずにあるクラブのサポーターの皆様から批判されたり。一通りの失敗は経験しましたし、当時は批判の嵐への対応が下手で辛い思いもしました。

スポーツアナリストを支援してみる

もう一つは日本スポーツアナリスト協会を支援することです。2014年に僕がSAJ2014というイベントに参加したときはアナリストという言葉を知る人はほとんどいませんでしたが、今や多くの人が知る存在になりました。

僕が支援していたのは「スポーツアナリストという存在を多くの人に知ってもらう」取り組みと「スポーツアナリストと他の業界をつなぐ」取り組みです。

スポーツアナリストを取材して記事を書く。記事なんて書いたことはなかったけど「やれます」なんて言って必死に記事書いてました。
千葉ジェッツふなばしでBリーグ優勝に貢献した木村和希さん、(現:三遠ネオフェニックス)、ミラクルボディというNHKの番組でイニエスタとシャビの目の動きを解析した永野先生、当時アヤックスのアカデミーのアナリストを務めていた白井博之さんといった人たちだけでなく、野球、バスケットボール、サッカー、ラグビー、フェンシング、バレーボール、水泳、フィギュアスケート、陸上など、様々なスポーツに関わるアナリストだったり、テクノロジーを起点にスポーツを発展させようとする皆様と交流を深めることができました。

あとSAJというイベントを実行委員として主にセッションコンテンツの企画担当として支援させて頂きました。時にモデレーターもやったりして悪戦苦闘の毎日でしたが、元Barca Innovation HubのRaul Pelaezに声をかけたりといったことも実現しました。

僕自身は直接スポーツ業界に金の雨を降らせたわけではありませんが、様々な人々をつなぎ「もっと面白いことやろう」「こういうことやっていいんだ」と多くの人がチャレンジしてくれる環境を作ることについては、少しだけ貢献できたと思います。

僕にチャンスを下さった渡辺さん、千葉さん、小倉さんといった日本スポーツアナリスト協会の理事の皆様とSAJ実行委員の皆さまには本当に感謝しております。意見が対立することもあったし、上手くいかなかったことも多々あります。でも根はいい加減なので忘れちゃいました。

目の前にある出来事を楽しんでみる

チャレンジする環境を整えることに注力していたら、自分もチャレンジしたくなってきたころ、2020年にスペイン・ビジャレアルとベルギー・シントトロイデンを訪問したこともあり「そろそろスポーツ業界に転職しよう」なんて考えていたとき、COVID-19によって世界は大きく変わりました。

転職するのはしばらく後にしようと思っていた頃、藤沢久美さんから声をかけて頂き「Jリーグ非公式勝手未来ミーティング」という取り組みを支援することになり、Jリーグに関わる人たちと知り合うきっかけになりました。

そして、COVID-19期間中に知り合った楽天大学の仲山進也さんの紹介をきっかけに大和シルフィードの大多和さんをご紹介頂き、大和シルフィードのアナリストとして2021年から2022年にかけてサポートさせて頂きました。昇降格と入れ替え戦を経験して、大抵のことは大丈夫になりました。

ビジャレアルCFに行くきっかけを作ってくれた長尾さん、木下さん、そして佐伯さんには本当に感謝しております。最近3人とのやり取りも減ってしまいましたが、12月に佐伯さんが日本にいらっしゃる時にご挨拶出来てよかった。また佐伯さんの家で雪の宿食べながらゆっくりおしゃべりしたいです。

会社の仕事も頑張ってみる

そして、これらの取り組みは会社の仕事で学んだスキルと経験を応用したものでもありました。株式会社インフォバーンに所属するメンバーのほとんどが僕の活動を応援してくれました。彼らがいなければ僕は活動を続けられなかったと思います。本当に感謝しています。

2023年は株式会社インフォバーンに恩返しをしたくて、インフォバーンの仕事を頑張ったつもりです。

いま振り返ってみると、2014年以降の10年間は「観察する」「観察して分析した内容に基づいてコンテンツを作る」「コンテンツに共感した人たち同士をつなぐ」という取り組みをずっと続け、新たな価値を作ったり、価値を上げるとりくみをしていたんだなと思います。上手くいかなかった取り組みもたくさんありますが、足を止めずにトライし続け、歩みを止めなかったことで、思わぬところにたどり着いた感があります。

偶然が重なったWEリーグへの転職

WEリーグに入社するきっかけは転職を検討していた時期に、転職サイトで求人情報を見つけたのがきっかけでした。

SAJ2023というイベントでWEリーグチェアの高田さんに登壇して頂く際にWEリーグの担当者様に声はかけたのでWEリーグの人々とは接点はあったのですが、当時はもちろんWEリーグで働くなんて考えたこともありませんでした。そしてWEリーグへの連絡先を教えてくれたのは、MASHING UP SUMMITという前職のイベントでWEリーグとやりとりしていた担当者の紹介がきっかけです。

転職活動中に他の会社からも内定を頂きましたが、WEリーグから内定の連絡を頂いたとき「これは上手くいかないとしてもWEリーグに行くべきだな」と思いました。

余談ですが、最終週にnote主催のオンラインイベントの動画を見たクライアントから「西原さんにぜひワークショップに参加してもらいたい」と指名してもらったとき、頑張ってよかったなと思うとともに、人生何が仕事になるか分からないと心の底から思いました。500回程度しか再生されていない動画が仕事になるなんて。

人生何がきっかけで、どこにつながっていくのかさっぱり分かりません。ただ進み続けていればどこかにつながる。そんな10年だったと思います。

WEリーグでやりたいことと今後

WEリーグで僕がやりたいことは「女子プロサッカーリーグと女子サッカーの価値をもっともっと上げる」という一言に尽きます。

WEリーグは2021年に誕生したスタートアップです。WEリーグはチャレンジしようとする人や企業を応援し、共に社会の発展に貢献出来るリーグになれる可能性を秘めたリーグです。

自分の仕事で新しい価値をファン・サポーターの皆様、パートナーの皆様、そしてサッカーへの興味関心は薄くともWEリーグやクラブの活動に興味がある人と一緒に、もっともっと価値を高めていく。僕が2014年から継続して取り組んできたことを今度はWEリーグという場所でどこまで出来るか、というチャレンジになります。

入社して2日しか経っていませんが、そのチャレンジがいかに難しいか、自分だけの力では難しいか、ということを実感しています。WEリーグの皆様は皆優しく、ハードワーカー。彼らのために自分が出来ることはあるのか。そんなことで頭を悩ます毎日が始まろうとしています。

そして、WEリーグでは2024年2月1日現在絶賛人材募集中です。一緒に新しいサッカーリーグの価値を作るチャレンジに挑む人待ってます。

今後のnoteとSNSの更新ですが、以前のようにレビューを書くことは難しいと思うのですが(やれそうならやるかもしれないが期待はしないでください)、WEリーグの取り組みを紹介したり、自分が考えているアイディアを問う場所にできればと考えております。

40歳過ぎてチャレンジする機会が与えられるなんて僕は恵まれています。失敗を恐れず、嫌われることを恐れず、楽しみたいと思います。

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