リーガ・エスパニョーラ 2018-19シーズン 第35節 ビジャレアル対SDウエスカ レビュー「速いドリブルから強いシュートを打っても得点が増えるわけではない」

リーガ・エスパニョーラ 2018-19シーズン 第35節 ビジャレアル対SDウエスカは、1-1の引き分けでした。

この記事は全文は無料でご覧頂けますが、投げ銭制を採用しています。もし気にいったら、投げ銭して頂けたら嬉しいです。

この試合のポイントは3点あります。

痛かったイボーラの出場停止

1点目は、イボーラの出場停止です。イボーラはシーズン途中に加入し、第19節のヘタフェ戦から出場すると、チームに欠かせない存在になりました。イボーラの強みは、190cmという長身を活かしたコンタクトや空中戦の強さではなく、ボールを扱う技術に長けていることです。相手を外し、ボールを受け続け、ミスなく次の選手にパスを届けることができる。これがイボーラの強みです。

そして、イボーラは相手の狙いを外すことに長けていたので、相手がボールを奪いにきたら背後を狙ってみたり、敢えてFWの位置まで上がってみたりと、相手の狙いを外すような動きを90分のなかで組み合わせ、相手を攻略することができる選手でした。イボーラが加入し、カソルラが中央でプレーするようになったことで、ビジャレアルは相手陣内にスムーズにボールを運べるようになりました。

ところが、この試合はイボーラが出場停止。代役としてカセレスが出場しました。カセレスはボールを奪うことに長けている選手ですが、イボーラのように相手を見て戦えるプレーヤーではありません。カセレスとイボーラの能力の差が、勝敗に大きく影響したのは、SDウエスカのプレースタイルが、個人の能力を試すようなプレーだったからでもあります。

効果的だったSDウエスカのマンツーマンディフェンス

2点目は、SDウエスカのマンツーマンの守備です。SDウエスカはビジャレアルがボールを持つと、マンツーマンで守備を仕掛けてきました。特にカソルラとカセレスには1対1でマークが張り付いています。カソルラは何度かマークを外せたのですが、パスの出してのDFがマークを外せない(特にアルバロとフネス・モリ)ので、なかなかボールを受けられません。そして、カセレスが相手の守備に捕まっているため、次第にカソルラに対するマークも厳しくなっていきました。

ビジャレアルは相手のマンマークを外せば、シュートチャンスを作り出すことはできていました。特に右MFのチャックエズは、1対1になれば相手の守備を押し込み、相手陣内にボールを運ぶことができていました。ただ、マンツーマンの守備に苦労し、ボールを運ぶ手段がドリブルに片寄ったため、ビジャレアルは上手く試合のテンポをコントロールすることができませんでした。

テンポを落とせなかったビジャレアル

3点目は、ビジャレアルがボールを保持している時間が短かったことです。シュートチャンスが作り出せたら、ペナルティエリアの外からでもシュートを打ってしまうので、確率の低いシュートチャンスでシュートは増えるけど、得点は増えていかないという状況が続いたことが、1-1という結果につながったと思います。

相手陣内にボールが運べたのであれば、テンポを落として、相手を押し込んだ状態でパスをつなぎ、ゴールから近い位置や、相手がいないシュートチャンスを作り出せばよかったのですが、SDウエスカの守備を外せてしまうので、ゴールから遠い位置でもシュートコースが空いているように感じてしまい、シュートを打ってしまったのだと解釈しました。

この試合のビジャレアルは18本のシュートを打っていますが、ペナルティエリアの外から打ったシュートが8本あります。SDウエスカは14本のシュートを打っていますが、すべてペナルティエリア内からのシュートだったので、シュートチャンスの質という点では、SDウエスカの方が確率の高いシュートチャンスを作った試合だと言えると思います。

スピードを上げて相手陣内にボールを運び、ペナルティエリアの外から強いシュートを打つプレーは、サポーターから観れば盛り上がるプレーですし、シュートを打ったということで、溜飲も下がり、「良いプレーだ」と評価するかもしれませんが、ペナルティエリアの外のシュートはゴールから距離が遠く、リーガ・エスパニョーラのようにレベルの高いリーグでは、なかなか入りません。

そして、速いスピードでドリブルをしているということは、ボールを蹴るインパクトがブレやすく、精度の高いシュートが蹴りにくいという状況でもあります。メッシのゴールを思い浮かべる人は、ドリブルで何人もかわしてゴールを決めているイメージがあるかもしれませんが、メッシのゴールの多くは、ペナルティエリア内でワンタッチでコースを変えたシュートか、止まった状態から正確に狙いを定めて蹴ったシュートばかりです。

相手が強度の高い守備を仕掛けているからこそ、相手の狙いを読み解き、相手を押し込み、確率の高いシュートチャンスを作り出す冷静さが欲しかったのですが、ボールを持ったらシュートすることしか考えていないチャックエズやエカンビのような選手がボールを保持する機会が増えてしまったため、ビジャレアルは結果的にシュートチャンスを相手に与えてしまいました。もったいない試合だったと思います。

本当なら、フォルナルスやカソルラといった選手がボールを受ける機会を増やし、テンポをコントロールしたかったと思うのですが、カセレスが捕まっていること、FWのバッカを56分に交代させたため、2人が受けるためのスペースを作る選手もいないことも要因だと思います。イボーラの存在がいかに大きいかを実感した試合でもありました。

アウェーゲームの方が勝ち点を獲得しているビジャレアル

ビジャレアルは18位のレアル・バリャドリードとは勝ち点5差の15位。次節勝利し、レアル・バリャドリードが負ければ残留が決まります。ただ、次節以降の対戦相手は、レアル・マドリー、エイバル、ヘタフェと、簡単には勝ち点を獲得させてくれない相手が続きます。しかも、アウェーゲームが2試合残っています。

ただ幸か不幸か、2018-19シーズンのビジャレアルは、アウェーゲームでは5勝5敗7分でリーグ9位(ホームでは4勝8敗6分でリーグ17位)と、アウェーゲームの方が良い成績を残しています。

残り3試合。しっかり残留を決めることができるか。注目したいと思います。

この続きをみるには

この続き:0文字
記事を購入する

リーガ・エスパニョーラ 2018-19シーズン 第35節 ビジャレアル対SDウエスカ レビュー「速いドリブルから強いシュートを打っても得点が増えるわけではない」

西原雄一

100円

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

note.user.nickname || note.user.urlname

サポートと激励や感想メッセージありがとうございます! いただいたサポートは移動費や機材補強などにありがたく遣わせていただきます!!

いま上手くいっている方法が、3年後も上手くいくとは限らない
4

西原雄一

プロ・スポーツレビュアー。note「勝ち負けだけじゃないスポーツの楽しみ方」で #川崎フロンターレ #ビジャレアル と #Bリーグ のレビュー連載中。趣味は愉快な人同士をつなぐこと。#coffee ☕好き。

勝ち負けだけじゃないスポーツの楽しみ方

勝ったら嬉しい、負けたら悔しい。それがスポーツの楽しみ方の原点だと思う一方で、スポーツの楽しみは勝ち負けだけじゃないはずだ。勝ち負けだけじゃない、スポーツの楽しみ方とは何か。
1つ のマガジンに含まれています