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2021年ベストアルバム


NAS - Magic

(mass appeal)

NASは最近絶好調だよね。またもや出た新作、これが直球勝負のラップ・アルバムで素晴らしいの何の!
位置付け的には ‘King’s disease’ シリーズの続編にあたるらしいんだけど、あんまりそんな感じはしないかも。ビートも上モノも超シンプル&ミニマル。Commonの ’Be’ みたいなアルバムって言えば分かりやすいかもな。
30分であっという間に終わる感じも含めて王者の貫禄。マジック。


Alfa mist : Bring backs 

(anti)

ジャズの進化って、より過激さを突き詰めていくパターンと、他ジャンルと融合しながら表現の幅を広げていくパターンの2つがあるような気がしてるんだけど、2021年のUKジャズにはそのどちらの方向性にもネクスト・ステージを感じることができなかった。
そんな中この Alfa mist 新譜。めっちゃ普通のオーガニック・ジャズで、何この普通さ!っていう驚き。魑魅魍魎ひしめく現行ジャズ界においてこの何も起こらなさは逆に新鮮。80年代のダッサいフュージョンのようであり4Heroの昔のアルバムのようでもある掴みどころのなさ。ずっと聴いていられるわ。


Carlos nino & friends : More energy fields , current 

(intrenational anthem)

2021年のテレワーク・クラシック。
「音楽があっても無くてもいいんだけどやっぱ寂しいから何かかけとこう的なヤツ」ってジャンルがあるとしたら、本作はそれの歴史的名盤だな。
このカルロス・ニーニョ、前はピースフルなスピリチュアル・ジャズをやってた人なんだけど(Build an ark のリーダーの人です)いつのまにかアンビエント化しててビビる。
「良質なチルは逆に寝れない」っていう法則があるような気がしてるんだけど、これも正にそう。いつの間にかバキバキに覚醒してしまってたりするから困る。


Berwyn - Tape 2 / Fomalhaut

(Sony music)

これはインスタで知ったやつ。エモく儚くそして超ドラマチックなメロウ・ヒップホップ。
フランク・オーシャン以降って感じのオルタナさは感じるけど、まあ何せコマーシャルでそつの無い作りなので苦手な人もいるかも。
あとはNujabes とか Calm とか、ある時期の日本のヒップホップに通じるものが。あれだ、橋本徹の ‘Mellow beats’ シリーズとか好きだった人は気に入るのでは。
僕は俄然支持です。普段ラップ聴かない人にこそオススメしたいです。


Hovvdy - True love 

(tugboat records)

振り返ると〜いつも君が〜って脊髄反射的に歌ってしまうあすなろ白書世代な僕ですが皆様いかがお過ごしでしょうか。そう言えば筒井道隆ってめっきり見なくなったよね。
前作でちょっと作り込んだ方向に行ってしまって悲しかった俺たちの Hovvdy イズ・バック!
簡素なプロダクションと歌心さえあればそれでいいんだよ。そんなフミヤも真っ青な名盤。


Tirzah - Colourgrade

(Domino)

なんだろうこの違和感しか感じない音作り。あまりにも気持ち悪いからその違和感の正体を突き止めたくてまたリピート。
変な動物の鳴き声みたいな音が延々入ってたり、突然ブチって音が途切れたり。
腑に落ちない箇所ばっかりでそれが癖になるんだよね。意図的に破綻させている感じがヤバいというか。てかこんな意味不明なアルバムが色んなところでベスト入りしてる状況凄いなって思う。


Mustafa - When smoke rises

(Regent park songs)

どこで知ったのか忘れたけどジャケに惹かれて聴いてみたら一発で気に入ったやつ。
なんか初めて聴いたような気がしないよな〜ってずっと思ってたんだけど、ある時気付いた。これってテリー・キャリアじゃん!現代っぽい味付けはされているけれど、根底にあるのは普遍的なUKのフォーキーソウルなんだよね。
どんよりとした曇り空が似合うベッドルーム・フォークの名盤。めちゃくちゃいいアルバムなのでもっと広まるべき!


DJ seinfeld - Mirrors

(Ninja tune)

個人的にはどストライク!その昔、2000年代の初め頃かな?UKガラージ/2Stepと呼ばれてた人達の事を思い出した。
Wookie とか Artful dodger とか。あと「リワインド」歌ってた人。クレイグ・デヴィッドだっけ?きっと誰も共感してくれないだろうけどめっちゃ好きだったんだよな当時のUKダンス・シーン。
あの時代のビート、あの時代の裏打ちハイハット。いつどこで何が再評価されるか分からないもんだなと。最高でしょ。


Pino palladino and Blake mills - Notes with attachments

(New deal / Impulse!)

街の職人さんが作った伝統工芸品のような。めっちゃよくできた漆塗りの器とか超絶リアルな熊の木彫りとかを連想する。
知らなかったのだけどピノ・パラディーノは有名なスタジオミュージシャンなのだそうです。(ディアンジェロ ‘Black massiah’ のベースも彼。)
これは純粋に凄いアルバムで個人的には結構衝撃だったな。ジャズとしてもポストロックとしてもヒップホップとしても現代音楽としても機能する。とにかくミニマルなグルーヴ感に全振りしたようなアルバムの作りが職人的でめちゃくちゃカッコいい。まだの方は是非ご一聴を。


Cheekface - Emphatically no.

(New professor music)

100万組くらい出てきたペイヴメントのフォロワーの中でもこれは秀逸。理路整然としてるし演奏も上手いのにこのダダ漏れるペイヴメント感たるや!
とっくの昔に食傷気味な90年代リバイバルの波ですが、たまにこんな人達が出てくるから困る。
騙されたと思って聴いてみてください。アルバム通してめっちゃいいので。2021年1番のオススメかも。


以上!

#2021ベストアルバム

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