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青春18きっぷの旅:二本松

前回はこれ

 二本松駅に着いた。
 時刻は19時。駅を出ると、目の前に銅像と、コンビニがあった。
 コンビニの駐車場で、若い男女が楽しそうに話している。

 若い奴いるんだなと、驚きつつ、何か思い出になりそうなものを探す。
 とりあえず、駅前に「アラカルト」という、ファミレスがあったがそろそろパンチが強い思い出を作りたい。

 とりあえず、駅前を歩いて、何かないか探すことにした。
 駅を出てすぐにある、横道に入っていくと、スナック街になっていた。

 我々は、これは良い思い出になると喜んだ。
 スナックに行きたいわけではない。思い出として、オモシロそうだから嬉しいのだ。決してやましい気持ちなんてない。

 ただ、スナックなんて行きなれてないチェリーボーイの私は、非常にチキっていた。
 ぼったくられるんじゃないか、システムはどうなのか。
[二本松駅 スナック]で調べてみるも、田舎すぎて何も見つからない。
 問題を先送りにするために、スナック街をとりあえず歩き始めた。

 すると、「クラブ キーボード」という、店が眼前に現れた。
 全長5mほどの大きなネオンの看板に、「キーボード」と大きく書いてあるのだ。
 なんという、昭和感!
 ここに行くしかないとなり、とりあえず、店の様子をうかがう。
 窓はすべて真っ暗で、中に電気がついている気配がない。
 店の扉の前のチラシ紙には、

ーーーーーーーーーーーーー
|1 8:00~8:30|
| ショータイム    |
|           |
|2 9:00~9:30|
| ショータイム    |
ーーーーーーーーーーーーー

のように書かれていた。

 これはもしかして、午前中しかやってないんじゃね?みたいなことを表でしゃべっていると、60代ぐらいの腰が曲がりすぎてるおっちゃんが店から出てきた。

 正直、見た目が怖かったので、もうその場所から逃げたかったが、話を聞いてみた。

私:すみません。この店ってやってるの午前中なんですか?

店主:あぁ?

 もう泣きたかった。

私:この店は午前中にやってるんですか?

店主:そんなわけねえだろ。

 私は一緒に旅をしている友人を見た。彼はなんと行きたそうにしている。
 店主がいる手前、行きたくないなんて言えないため、必死に顔の表情で説得しようとする。

 すると、店主が店の壁を蹴り始めた。
 もうよく分からない。

 とにかく、友人を引っ張ってその場を走り去った。


 個人的には思い出として十分のため、次の駅に移動したかったが、スナックに行かないでいいのかと友人に説得される。

 だが、よくわからない店に行って、ぼったくりにあうのは嫌なので、駐車場で雑談しているおっちゃんに説明を聞くことにした。

私:すみません。ここらへんでおすすめのスナックってどこですかね。

おっちゃん:おすすめって言われても、人それぞれ行きたい場所は違うからね。

私:東京から来てて、なんか、変わったのがあると嬉しいんですが、

おっちゃん:じゃあ、SMか。
      そりゃ東京にもあるか、ギャハハ

私:へへ

おっちゃん:なんで、二本松に来たの?

私:さいころ振ったら二本松が出たので、二本松まで来ました。

おっちゃん:不運だね。

私:クラブ キーボードの前に行ったんですけど、怖くなったんで帰ってきました。

おっちゃん:あー、あのフィリピンパブね。

私:あそこ、フィリピンパブだったんですか。

おっちゃん:あそこは若い人多いよ。
      でも、東京なら若い人多いか。ギャハハ
      そういえば、フレアができるバーテンダーがいる店があるよ。
      あそこなら、珍しいんじゃねえかな。
      連れてってやるよ。

 そういって、おっちゃんは私たちを店が見える場所まで案内してくれた。
 おっちゃん、ありがとな。

 そうして、我々はバーに行った。

 長いからここまで。

カメ


 

サポートされた暁には、しっかりと喜ぼうと思います。 普段飲む牛乳のランクを一つ上げます