オブラートに包んで


「これなんだっけ?」
型に入ったアンパンマングミをビヨーンと剥がすと、蓋をするように付いていたオブラートが周りにパリパリと餃子の羽のように残った。
午後3時。
公園のベンチには娘とその友達の男の子が並んで座っておやつを食べている。その周りを私と夫と、その男の子のお母さんの大人3人が囲んでいる。
「オブラートだよ。食べれるよ」
と私がいうと
「知ってるよ!お米炊くときに出来るんだよ」
と娘が言った。
「物知りだねぇ」
と男の子のお母さんが言ったので、
「ちょっと前に教えたんだよね」
と返し、次に子どもたちに向かって
「昔はそれに薬を包んで飲んだんだよ」
と言うと、男の子のお母さんが
「えっ、その飲み方したことある?」
と驚いて聞いたので、いや、どうだっけな?と思いつつも
「あるよ、あるある、なんかある気がするよ」
と適当な返事をした。
はっきり思い出せないけど、ある気がする。
隣で話を聞いていた夫が
「今の炊飯器、オブラートできないよね」
と言い、母たちは
「ああ…」
「うん、そうかも」
みたいな相槌を打った。
世の中からオブラートは消えていってるんだろうか?オブラートに包むべきものは今、何に包まれているんだろうか?
そんなことを考えながら
「薬局にあるよ、オブラート」
となんとなくオブラートを擁護した。

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