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ビアードパパの前で泣く

昔から涙もろいかと言われると、別にそうでもないと思っているのだが、過去に色んな場所で色んな状況で盛大に泣いてきた過去がある。

埼玉のラーメン屋さんに行って初対面のおばちゃんと一緒に号泣したり

南伊豆で急に当日泊まるホテルが無くなって泣きながら道を歩いたり

他にも今の家に初めて行った時にゴマドレ見て泣いたり、まぁ本当に私と言う人間には涙が尽きない。
しかし、スリランカに来てからと言うものの、日本にいた頃よりも涙もろさが2~3倍ぐらい増し増しになった気がする。それぐらい、ふとした瞬間に涙が出てくることが多くなった。

その日はスリランカに住む友人がワンゴールフェイスモール(高級ショッピングモール)に来ているとのことだったので、私もそこで一緒にご飯を食べることになった。友人たちと食べた久しぶりのラーメンは美味しかったし、ベラベラ日本語を喋れる時間はかなり有難い。

その後、友人たちと分かれて一人でワンゴールフェイスモールを散策する。正直、金額的には高い商品ばっかりだけど、たまに散策する分にはとてもいい場所である。
色んなお店を散策しながら、友人たちと食べたラーメンを思い出す。その時に、いつもは何とも思わない友人の言葉が少しキツく感じたことに対して、それは何故なのか?と黙々と考えていた。そして、もしかして自分はかなり疲れているのでは?と気付いたのだ。

原因は色々考えられるのだが、そもそも最近色んな事が起こりすぎていた。だからこそ、自分の気持ち的にもいっぱいな部分があるのだろう。それならば、今日はせっかくワンゴールフェイスモールにいるのだから、自分を少し甘やかそうと思い、地下にあるビアードパパに向かうことにした。

地下のフードホールみたいな場所に到着し、お目当てのビアードパパに向かって歩いていると、現地人らしい若い男子3人ほどが私に対して「Excuse me」と言ってくる。そこまで近距離でもないし、そもそも自分ではない可能性だってある。対応したとて、良い思いをすることは100%ないのが分かるからこそ、いつものように英語が分からない、聞こえていないふりをする。
しかし、今日は無視しても何度も後ろから言ってくる。どこまでも付いてくる気がして、正直怖くなってしまった。そこで私は急いでビアードパパの前まで行って、最悪店員さんに助けてもらおうと思った。幸いビアードパパの前で立ち止まり、何か買おうとした仕草を始めると彼らはそのままどこかに行った。なんとなくホッとした瞬間に、涙があふれてきた。

自分自身も溢れ出す涙に困惑してしまうぐらい、涙が止まらなかったのだが、私以上にビアードパパの店員さんは困惑していたと思う。ビアードパパは日系の会社なこともあり、店員さんは日本語を喋れる人も多い。だからか、店員さんにも「大丈夫ですか?」と日本語で聞かれた。
しかし、ここまで来ると私は何に対して泣いているのか分からなくなってくる。冷蔵庫に置いてあるお菓子を毎回食べられることに対してなのか、現地の若者に変な絡まれ方をされたことに対してなのか、単純にビアードパパのシュークリームが思った以上に高かったことに対してなのか…。いや、でもここまで来てビアードパパのシュークリームを買わずに帰るのは違うでしょうよ、と困惑してティッシュを差し出してくれた店員さんを見て思う。にしても1個600ルピーって良い値段するなぁ…。

そう思いながらも、とにかくシュークリームでも食べて落ち着こうと思った私は一番スタンダードなシュークリームを1つ購入した。特に持ち帰り用の袋はお願いしていなかったので、その場でシュークリームを食べる。ビアードパパのシュークリームはクリームが中にぎっしり詰まっているタイプで、こればっかりは流石の高級シュークリームである。しかし、私はそんなことすっかり忘れていたので、口の周りにはクリームがいっぱい付いてしまい、もはや涙なのかクリームなのかも分からない状態だった。

さすがにこの状態で自宅に帰るのは、とても恥ずかしいので、さっきは断ったティッシュを一枚貰う。その時に店員さんの気遣いなのか、ちょっとだけ会話をして「シンハラ語上手ですね」と言われた。あまりにも申し訳ない気持ちになってしまい、帰りのバスの道中で今度はニコニコしながらシュークリームを買いに行くことを誓った。


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