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初めてアート作品を買う

私はなぜ、今このタイミングで文章を書いているのか分からない。シンハラ語の勉強をしなきゃいけないし、早く寝なきゃいけない日でもあるのに、なぜか全然違うことをしている。でも、今日はそんなことを差し置いてでも文章を書くべきだと思うぐらいに、記念すべき日なんじゃないかと思って、今PCに向かっている。

私は今日初めて、アート作品を買った。

元々作品を買うつもりで、この個展に足を運んだわけでもない。たまたま知人がやっている名古屋のギャラリーを見に行ったら、気づけば作品も一緒にお持ち帰りしていた。

購入した作家は伊藤颯さん。彼は写真作品をメインとする作家なのだが、写真の構造を用いて様々な形で「写真」作品を制作している。例えば、一般の人が写真と聞くとイメージするのは表と裏があって一枚の薄い形状のものを連想する。しかし、彼はその構造を様々な形で応用、転用し、独自の作品を制作する。

個展の会場にはクッションみたいなものや、段ボール、映像作品もあれば、全然雰囲気の違うロウを用いた作品が並ぶ。最初、ギャラリーを訪れたときは、とにかく情報量が多いことと、物量に圧倒されていた。そしてギャラリーのオーナーに案内されるがままに、作品の中へと入っていき、訳の分からなさがあまりにも面白くて面白くて、仕方がなかった。

コピー用紙と紙粘土で出来ているこの作品。たぶん、作品が買い手の手元に行くころには一部ボロボロになってるのではないか?と感じる。でも、そんな脆さが従来の額縁に収まっている「作品」という概念を壊しているようで、妙に見ていて笑えてくる。

その会場では、とにかく色んなパワープレイが発生していたのだ。

例えば、このコードのだらしなさ具合。見る人が見れば発狂しそうな処理の仕方だが、一方でそのやり方でさえも何か意図があるのではないか?と思わされるぐらい作品の設定や表現が細かい。

ローデータ(Raw Data)だからロウ(蝋)で作る、とか

写真におけるネガとポジだとか…

話を聞けば聞くほど、さらに情報が追加されていき、作品の面白さが加速する。面白いというか、どこまで行っても訳わかんない設定とか、訳わかんない表現があって、それが今の私にとっては快感を感じるぐらい面白いものだった。だからだろう、DMの裏側にポリウレタンが付いている作品を気づいたら購入してしまっていた。この意味わかんない感じ、たぶん今の私には必要だと直感的に思ったからだ。

今の私には必要というと、ちょっと一方的なように感じるが、私自身ももっと意味分からない人間でありたいし、自分自身も意味分からない人をもっと面白がれたら良いなぁと思う。恐らくそうなるには、自らが意味分からない人になるのが一番の近道なのだろうが…。
しかし、長野の湿度高め山奥の中ではそんなことも忘れてしまいそうになる。というか、たぶん忘れてる。そんな今の自分だから、私は私の中にこの作品を取り込もうと思った。

P.S
ポリウレタンとDMで作られた作品はびっくりするぐらい軽く、作品を買った実感を全く感じずに帰ってこれた。昔、体力テストでソフトボール投げが9mだった私でも20mぐらい軽く飛ばせそうなぐらいの軽さだ。
とはいえ、ちゃんと作品なので、ビニールかなんかに包んで帰りたくて、オーナーにお願いした。すると、お菓子のビニール袋を渡された。絶対、作家とオーナーでこのあたりも打合せしてるんだと思う。

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