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ちょっと悪いぐらいが、ちょうどいい

今の家でホームステイを始めて早4か月。今の生活にお互い慣れてきたからなのか、それぞれが良くも悪くも遠慮がなくなってくるような時期なのかもしれない。

前回、ホームステイ先で水筒がなくなった事件から(水筒は見つかった)私たちの共有という概念は常に水のように揺れ動いている。

普通、ホームステイだと家のルールとかをしっかり決めたりするのだろうけど、ここまであまりそういう取り決めもなく来ている。私自身は全てを白黒でハッキリさせてしまおうとすると、自分が生活がしずらくなる気がしてグレーのままで放置している。ホストマザーも恐らくその考えには同意しているのだが、共有と所有の概念の違いだろうか?時々なんとも言えない微妙な空気が流れる。この言葉では表現しずらい、微妙な空気感に私は若干の居心地悪さを感じている。

きっとお互いが良い頃合いを探っているのかもしれないし、探っていないのかもしれない。
ホストファミリーは海外生活をしていたこともあったようで、良い意味で私に対して距離感を持って接してくれている。だからなのか分からないが、同じ家で暮らしていても他人感がある。例えば、近所の人の家で晩御飯を食べに行くとき、特になにも声を掛けられず、気付けば私一人だけ家にいることが頻繁にある。きっとホストファミリーは私一人の時間を尊重してくれているのかもしれないが、どこか行くなら一声掛けてよって思ったりする。

逆にホストファミリー側は私が来たことによって電気代が上がったことが悩みの種らしい。スリランカは物価のインフレ具合もすごいが、電気代も同様に上がっている。さらには4月はスリランカでも一番暑い時期のため、部屋にあるエアコンを時々稼働させることがある。このエアコンが電気代をめちゃくちゃ高くしてしまう原因なのだ。
私も電気代があまり高くなり過ぎないように、自室でエアコンを付けるのは極力控えていた。しかし、少々の暑さを堪えてファンだけ使っていても、月初になれば電気代を見てホストマザーが私にエアコンを使っているのではないか?と聞いてくる。(しかも直接聞いてこない)

正直、ここまで来ると私自身も限界だった。私の電気、水道、光熱費関係は全部家賃の中に込々でホストマザーに支払っている。だからこそ、部屋を出る時は照明を消したり、節電は心掛けている。しかし、そもそもの問題として、毎月の家賃の中から高くなり過ぎた電気代をカバーできるだけのお金は毎月支払っているはずだ。その上、人が1人増えたら電気代は高くなって当然では?と思ったりして、頭の中がグルグルする。でも恐らく、こういう論調だと「そういう問題じゃない!」って話になりそうな気がするなぁと思いつつ、どうやって話を切り出すのがベストなのかボンヤリ考えていた。

ある日、ホストマザーと一緒に職場に出勤している時に、私の前に少しだけホストファミリー宅でホームステイしていた外国人の話になった。彼女はまた新しい家を探しているらしい。それをホストマザーは「○○(彼女の名前) オヤーワゲー ホンダネー」(彼女はあなたみたいに良くない)と言った。それを聞いて、彼女が良くないのは分かったけど、私も一緒にされてるなと気付く。そこで、しばらくはホストマザーの話を聞きつつ、話が落ち着いたぐらいで「私も彼女ぐらい良くないの?」と聞いた。すると、ホストマザーは「ネーネー オヤー ポッダック。ポッダック ホンダネー。○○(12歳の娘)ワゲー」(いやいや、あなたは少しよ。ちょっと良くない。12歳の娘ちゃんみたいに)と答えた。

私はそれを聞いて、そのレベルなら全然大丈夫じゃん、と安心した。以前、ホストマザーとの電気代論争があった時に話を聞いてもらっていた日本人から「まぁ本当の家族でも色々問題は起こるからねぇ」と言っていたことを思い出す。
確かに、日本の家族ですら色々起こるんだから文化、思想が違う人と暮らしたら何かしら問題が出てきて当然なのだ。逆にそれを全く問題ない、全て完璧な状態にしようとする方が難しくて、そこに到達するまでの労力気力を考えたら、お互いが無理のない範囲でお互いのちょっと悪い所を許容しながら生活する方が、よっぽど生活しやすい気がした。

なんだ全然大丈夫じゃん、と今まで私の中でグルグル考えていたことがキレイに晴れた気がした。きっと、これは2年間の生活の上で常に考え続けなきゃいけないことなのかもしれないけど、それでも自分が思っていたよりも深刻な問題ではなさそうで、正直ホッとした。

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