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2度目のサリー作り

年末にサリーを作った後、むくむくと今度はプリント生地のサリーで濃いめの色のものが欲しい…という欲望が芽生えていた。さらに、私が普段住んでいる場所は日本でいう渋谷区みたいな街なので、一歩外に出れば服屋さんやサリー生地を売っているお店がいっぱいある。
とにかく街に出れば、サリーを売っているお店が沢山あることもあり、ついついお店に吸い寄せられてしまう。しかも、どれも鮮やかで綺麗なものが多いから、何着でも欲しくなってしまう。しかし、いくら安い生地を買っても仕立て代まで含めれば大体3000ルピー以上は掛かる。だからこそ、Tシャツみたいに気軽に買ってしまっては、いくらお金があっても足りないのだ。

やっぱりめちゃくちゃ悩む

とにかく後悔のないように、慎重に、と思い始めると最初に思い切った買い物が出来ないのが私である。昔から物を買う時は2回以上お店に足を運んでから買う習性があり(今はだいぶ少なくなったが)、まだスリランカでの買い物の判断基準が出来ていないこともあって、即断即決で買い物をすることが難しい。

結局、今回のサリー購入も何件かお店を見て、お目当てのサリーも2回目でやっと購入する意思を固めることが出来た。
最初にサリーを購入した時と同じく、お店の店員さんには「この日本人、どんだけ悩むねん」という視線を浴びつつも(そして最終的に放っとかれるようになった)、1人でマイペースに選べることを良いことに、ひたすらサリー生地を見ては悩んでいた。その日は何回「バラム」(見てみる)と言ったか覚えていない。

また、もう1軒のサリー売り場のあるショッピングモールを見て回った時にも最初はニコニコしながら私に付いてきてたが気が付けばいなくなってた。(私としては、そっちの方が有難い気持ちはあるのだが) 結局、そのお店ではサリーを購入せずに、サリー売り場を後にした。そこはショッピングモールの一画に売り場があったので、建物から出ようと出口に向かっていると、最初にショッピングモールに入ってサリー売り場がどこにあるか聞いた女性の店員さんがニコニコしながら「サリーは買った?」と聞いてきた。私は申し訳なさそうに「今日は迷ってしまって買えなかったんだ」と言った。そう言えば彼女、シンハラ語が出来るの?ってビックリしてたなぁ。

自分のあまりの決断力のなさに驚きながらも、「ここまで決断できないなら、誰かに背中を押してもらうしかない」と思い、その日の夜に友人と電話をした。今日見たサリーの中で素敵だなと思ったサリーについて話す。すると友人は「いいじゃん、絶対可愛いよ、買いな買いな~」と言った。「やっぱりそうだよね、うん、明日買いに行ってくる」と返事をして、翌日あっさりと私はお目当てのサリー生地を購入した。

仕立て屋さんに持っていく

そして、今回のサリー作りにおける難所はここからであった。前回、現地人の友人に連れて行ってもらった仕立て屋さんは電波が悪すぎてGogole mapにピンを立てることすら出来ず、結局場所も分からず仕舞いで、肝心の紹介してくれた友人は先日カナダへと旅立ってしまったのだ。つまり0からの再スタートである。ホストマザーは「私のサリーを使え」としか言わないし、出来れば近所で1軒ぐらい馴染の仕立て屋さんを見付けておきたい所…。唯一の救いは前回仕立てたジャケットの代金が(アンダースカート含めて)1900ルピーだと知っているため、法外な値段かどうかは判断できるという点だ。そこで、私は1度、Gogole mapの情報を頼りに仕立て屋さんを開拓してみることにした。

結局、家から1キロほど離れた仕立て屋さんに良くことなったが、日曜日の午前中にお散歩がてら行ってみることにした。仕立て屋さんの建物の看板にはサリーとシンハラ文字で書いてあり、お店の中では店主と思われる女性がミシンを動かしていた。
少々ドキドキしながら声を掛けると「エンナ(来な)」と言われ、店の中に案内される。そして私は持ってきたサリー生地を見せて、背中の開き具合や首周りの形、袖の形状について希望を話す。特に袖はジャケット部分の生地が花柄のような形だったので、パフにしたいと写真を見せながら伝えた。しかし、このサラサラとした薄い生地はパフに出来ないと言われ、しぶしぶ長めの袖で作ってもらうことにした。

そして採寸も終わって「ジャケット1着でいくらになりそう?」と聞いたら「2600ルピー」と言われた。思ったよりも高いなぁと思いつつ、ちょっと考える素振りをすると彼女は「エイ?(なんで?)」と聞いてきた。そこで、意を決して「これって一般的な価格なの?」と聞くと、「もちろん!」と即答された。それを証明するかのように、彼女がジャケットごとにサイズをメモしたノートには料金を一緒に書いてあって、大体が3000~4000ルピーほどするものだった。ここまでされると、疑いようもない。逆に前回はお友達価格だったのかもしれないと感じ、サリーを預けてお店を後にした。

アンダースカートを買いに行く

仕立て屋さんに行った帰りに先日サリーを見に訪れたショッピングモールに行った。そのショッピングモールには大量のサリーと一緒にアンダースカートも売られていたためだ。その為、きっと仕立てるよりも既製品を購入した方が安く済むだろうと感じ、再度このショッピングモールを訪れた。
サリー売り場に到着し、お目当てのアンダースカートを物色していると、この前接客してくれた男性の店員さんが「また来たね」と言って、めちゃくちゃニコニコしながら話しかけてきた。どれぐらいのニコニコかと言うと、彼の周りに星がいっぱいあるんじゃないか?と思うぐらいのキラキラした笑顔で、この前ここでサリーを買わなかった私の心が痛むほどだった。それから一緒にアンダースカートを選ぶものの、本当に嬉しそうにニコニコ接客するものだから、ついついこっちがその笑顔に騙されそうになるぐらいだ。

無事にアンダースカートの購入も終えて、建物を出ようとしたら、この前サリー売り場を聞いた女性店員にも会った。「今日は何買ったの?」「この前も来たよね?」「毎日来てるの?」とこちらもニコニコしながら世間話をする。サリー売り場の男性店員と言い、この女性店員と言い、めちゃくちゃ笑顔で接してくるものだから、もうこの笑顔だけ見に毎日通おうか?と考えるほどだった。会話をしながらも、私の頭の中は「なんだ!この可愛い生き物は!」という思考でいっぱいで、うっかり「一緒に日本に帰ろう」と言ってしまいそうになるほどだ。(この国でこの冗談はマジで本気にされる)日本に一緒に帰ろうとは言わない…(私が面倒見れないから)でも、あのキラキラ笑顔をそのままアクリルスタンドに出来れば良いのになぁ…なんて妄想しながら、帰路に就いた。

ついにジャケットが出来上がる

仕立て屋さんにサリーを預けて3日ほど経過した頃、仕立て屋さんから「あなたのサリー出来上がったから、取りに来て!」と電話があった。スリランカなのに期日通りにジャケットが出来上がるなんて、すごいなぁ…と思いつつ、早速帰りに取りに行った。
たまたま、帰りに乗り込んだバスに同僚のビューティーミスがいて、「ここに座りな!」と言われた席に座る。そのままバス代を出そうとお財布を開けたら、ビューティーミスが「私が出すから良いのよ!」と言って私の分のバス代も一緒に払ってくれた。話には聞いてたけど、本当にこんなことってあるんだなぁとしみじみしながら、仕立て屋さんに向かう。

仕立て屋さんに到着すると、早速出来上がったジャケットを試着する。元々現地の人とは違う体型なので、そのまま引き取らずに試着する予定だったが、その前提で待っててくれたのは有難い。
試着すると、前回仕立てたサリーよりも着やすい。腕周りもミチミチではなく、少し余裕があるものだから、手も上まで上げられる。「すごいなぁ!これが仕立て屋さんの技!」と感動して、「サトゥトゥイ!サトゥトゥイ!」と店の中で連呼していたら、お店にいた店主のお母さんのような人に「あなたシンハラ語喋れるの?」と驚かれた。

ミチミチ過ぎない腕周りのジャケットを手に入れ、ご満悦の私は自宅に帰ってすぐに新しいサリーを着てみた。初めて一人で生地を買いに行って、初めて一人で仕立て屋さんに行って、仕上げたサリーはやっぱりどこか感慨深いものがある。

というわけで新しいサリーはこんな感じです。背景があまりにも汚すぎて、背景画像を合成したため、漂う謎のカタログ感はお許しください。

追記
色んな人のブログを見ても、やっぱりジャケット1枚2600ルピーは高すぎやしないか?と思い始め、職場の同僚に「この前サリーを仕立てたらジャケット1枚2600ルピーって言われたんだ」と言うと「それは高い」と返ってきた。同僚曰く、サリーのジャケットは1枚1000ルピーで作れるそうだ。
また、別の知り合いにも「サリーのジャケットって1枚いくらで作れるの?」と聞いたら「大体1000~1500ルピー、アンダースカートが500ルピーぐらい」と返ってきた。つまり、ジャケットは1枚1000~1500ルピーが相場ということだ。
中々、現地価格でやり取りするにはハードルが大きいが、これを糧に次からはより良い仕立て屋さん探しを行いたいと思う。(ホストファミリーか同僚と一緒に)

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