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あの記事、その後いかがですか? 和樂webの奈良時代模様染め

2020年5月に和樂webにて公開された、「100均で集めた材料と玉ねぎの皮で奈良時代の模様染めに挑戦してみた!」の記事。
その中で私は布巾を、糸やゴムで縛る「纐纈」、蝋を乗せる「臈纈」、板で挟む「夾纈」の3種類の方法で染めました。

板で挟む夾纈は、木材の関係で細切れにしましたが、残り2種で染めた布巾合計4枚は直後から我が家で食器布巾として働いています。何度か洗濯しました。
今回はその4枚の現在をお知らせします。

纐纈

糸や輪ゴムで縛ったところだけ白く染め抜かれる纐纈。染めた直後は玉ねぎとミョウバンの反応で、鮮やかな黄に発色していました。

それでは、まずは糸で縛って染めた布巾を見てみましょう。

写真-2020-04-24-11-52-55_R

写真 2020-05-30 11 03 09

枯れ草色のような色合いになりましたね。実は染液に浸けた直後に糸の縛りが甘かったことに気づいたのですが、一か月経ってみると色が抜けたせいか、逆に気にならなくなりました。

次は、輪ゴムで縛って染めた布巾です。

写真-2020-04-24-11-51-10_R

写真 2020-06-07 12 17 51

こちらも、だいぶ落ち着いた色になりました。意外と形が残っているのに驚く方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ちなみに、色が濃く残っているのは、たんぱく処理後の干しかたが悪くて、たんぱく質の濃度にムラがあるからです。(未熟)

臈纈

溶けた蝋を塗ると、そこだけ白く染め抜かれる臈纈。
実は、記事に採用した以外のデータを消去してしまったらしく、当時の全体図が残っておりませんでした……!
そこで、違いがわかりやすいように該当の部分を並べています。

まずはワンポイントでお花をつけてみたもの。

写真 2020-05-30 11 02 02

写真だとわかりにくいかもしれませんが、こんな小さな模様でも、思った以上に形が残ってるんですよ。
お花が好きなので、これを使うときが一番心が弾みます。
全体が染まっているなか、さりげない主張があるのがよいのです。

次は、広範囲に蝋を塗って、ひび割れを入れたもの。

写真 2020-05-30 11 02 22

実は4枚の中で一番判別が難しいもの。
染めた当時は、調子に乗ってひびを入れすぎたことが気になっていましたが、時間が経つとこの不思議な濃淡が愛しくなってきます。
直後の写真だと、黄白のコントラストがはっきりしていますが、時間が経つにつれて境目がぼやけていったようで、その変化が面白いです。

その後、いかがですか?

素人なりに自宅で染物をしてみたら結構楽しくて、こういう文化を実践ワークショップで伝えることをしてみたいという若い頃の野望が再燃しました。
そうなんです、私は元々、教育普及担当の学芸員(エデュケーター)として、博物館鑑賞がもっと楽しくなるようなワークショップや講座を企画しながら生きていきたかったんです。

「玉ねぎの皮って煮出すと結構色素が出るんだな」とか、「ミョウバンを使うだけで、こんなにあっという間に色が変わるんだ! 鮮やか!」とか、「もうちょっと彫刻がうまかったら……」とか、「使っていくうちにこんなふうに変わるんだ」とか、やってみないと実感できない気持ちってあると思うんです。

写真 2020-05-30 11 04 22

自分のやれる範囲で、これからも日本文化実践系記事を書けたらいいなと思ってます。

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あの記事
100均で集めた材料と玉ねぎの皮で奈良時代の模様染めに挑戦してみた!
(和樂web)

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