小林精志

伝統の発酵食品にほんの少しの興味を持つ事で、それを使ったお料理はもちろん、毎日の晩酌が…

小林精志

伝統の発酵食品にほんの少しの興味を持つ事で、それを使ったお料理はもちろん、毎日の晩酌が断然美味しくなって、気持も俄然あがってくる! そんな発酵する考えをキーワードに、いろんな人に会う旅に出かけます!

最近の記事

発酵『漬け』まつり

発酵さぎょう(5/2〜7)のテーマは 【伝統ズケとお燗ヅケの世界】  醤油漬け、味噌漬け、粕漬け、酢漬け、麹漬けなどなど。 伝統の漬け酒肴と、日本酒の相性を愉しむ一週間です! とかく何処もかしこも『人ヅケ』のGW。 その喧騒から離れて、お燗ヅケのひとときを、ごゆっくりとお過ごしください。 ※なお『アルコールヅケ、借金ヅケ』等で自暴自棄になったお客様の入店NG。 ※『ズケズケ』と人の心に踏み込んでくるお客様の入店もNG。 ※ちなみにシャツの襟袖や茶渋の『ツケ置き洗い』を

    • ノンオイル発酵ペペロンチーノ

      ボクは今、ほくそ笑みながらノンオイルパスタの酒肴に取り組んでいる。 味噌と酒粕をメインに味付けし油を一滴も使わない。 今週は『発酵ペペロンチーノ』を提供する。 お客様は、よもやこれがノンオイルだとは思わない。 (僕がそっと、ほくそ笑む瞬間だ。) 唐辛子を一年近く酒粕と発酵させているから、辛さの後引きがない。 だから『お燗酒の邪魔にならない』と評価をいただく。 その時に僕は、より冷静によりしたたかに、ほくそ笑む。 その秘密のすべてをお客様に告白する。高揚感を抑えな

      • 味噌と日本酒の寄り添い(本当のやさしさを問う)

        さて、発酵さぎょうは毎週テーマを設けてお客様をお迎えすることにしました。 日本酒愛を一方的に撒き散らす、これまでパターンでは深夜1時まで体力が持たないのです。“おねむ“になるのです。 そこで第一週の4月25日からは 【味噌と日本酒の寄り添い方〜味噌に学ぶべき“本当のやさしさ“〜】 というテーマにしました。 『本当のやさしさ』とは何でしょうか? それは、肌寒くなってきたキャンプファイアーの深夜、隣の女子の肩に上着をそっとかけてやる。 そんな安易で、軽薄で、見え透いた

        • 発酵さぎょうの心のオープン

          発酵さぎょう。形式上のオープン5ヶ月目を迎えた。 しかし自分の中で何かがオープンになっていない。そんな霧の中の日々だったように思う。 シャンプーに喩えるならモイスチャー効果にコラーゲンが不足しているようなもどかしさ。 しかし!昨晩(22日の22時10分頃)、その瞬間がやってきた。 それは、これから『発酵さぎょう』を【なんのために?】掘り進めていくのかが腑に落ちた瞬間だったのだと思う。  それで決めた。オープンに足りなかったのはコラーゲンでも、コンドロイチンでもなくマ

        発酵『漬け』まつり

          くりやま老舗まつり

          ついに老舗まつりに帰って来た。 今日一日、栗山町の人々の熱量、温かさ、そして愛情をまざまざと感じた。 一日中、小林酒造の皆と4年ぶりに一緒に過ごせた喜びも。 故郷のうねり、みなぎり、ほとばしり。 僕は、故郷に今もなお育てられている。心底そう感じられて嬉しい。 そんな故郷の老舗まつりがずっと続いてほしい。じんわりそう感じた一日。 もしも許されるのなら。 今回の老舗まつりで懐かしく嬉しく再会できた大好きな人達と。 お腹を抱えて笑い合いながら、新しい試みを一緒に実践

          くりやま老舗まつり

          凛として帰省

          帰省が近い。 僕は、酒蔵まつりが開催される今週末に帰省する。 今回、酒蔵まつりで僕の役割は特に与えられていない。 だからここは目立たず、はしゃがぬようにイベントへの所属感を滲ませることが肝心だ。 だが同時に、へつらわず、気後れしない凛とした感じを出すのがベストだろう。そう、僕は貴乃花のオカンになるのだ。 さぁ、覚悟の帰省準備に取り掛かろう。 まるで5番勝負で決する将棋のタイトル戦の如く(それは棋聖) しっかり加熱せねば死なないアニサキスの如く(それは寄生) 酒

          凛として帰省

          地球最後の日に何を食べるのか。

          『地球最後の日に何を食べるのか?』またまたそれを考えている。 この人生最大の問いに『いつものご飯と味噌汁です』と感慨深げに答える人が存在する。 僕はそれがおっかない。 『いつもの』という部分に大いなる痩せ我慢を感じてしまうのだ。 僕は一年前『お刺身定食』と公言していたが、まだまだ詰めが甘かった。  そして出た。今回はころんと、すこやかに答えが出た。 それが『特撰 幕の内御膳』だ。 誰だってご飯と味噌汁に『カツ、天ぷら、刺身』が付く御膳セットの方が良いに決まっている。

          地球最後の日に何を食べるのか。

          友達とはいったい?

          『修学旅行にあたって、友達同士で好きに6人グループを作りなさい』  中学の担任がそう言い放った、あの日あの時から、僕は『友達』という言葉を使わなくなった。 教室では快活で人気者のA子が、次々と上位5人の『友達指名』をしている(お前は村上里佳子か!と僕は心の中で突っ込む)。 指名から漏れた6人目のF子は『A子とは親友だった筈なのに、くっそ!くっそ!』とリップクリームを1時間も塗り続けている。 かくいう僕もまた、友達がいなかった。こういう場合は担任の余計な計らいで、最後に

          友達とはいったい?

          発酵さぎょうをつくった意味

          二回目の癌の時から僕が死ぬ時に何を一番に後悔するだろうと考えてきた。  僕の場合のそれは『元気なうちに全部出しちゃえば良かった。』という事だ。  これから自分は何を手放して、何をアウトプットすれば元気になるのか?  家も車も家財も肩書きも全部出しちゃった今、出し残っているものは自分の中にある。  親、姉兄、先生、仕事仲間や発酵の人達、人生で出会った全ての人が教えてくれて、頂いた大切なものをこれから出会う人に。  出せるものは出す。  惜しげもなく出す。  あらいざら

          発酵さぎょうをつくった意味

          発酵さぎょうの店頭改装

          発酵さぎょう、いよいよ店頭改装を実施する。 『入店するのに恐ろしく勇気がいる』 初来店のお客さんにそう言われ続けて3ヶ月経った。 先程、玄関の写真を撮ってみたが、なるほど入りづらい。 さりとて安易に入りやすい店構えにして良いものだろうか? 通る人が簡単には入れないが、つい気になる親しみ易さの両立、そんな感じが理想なのだ。 たとえば【毛蟹入り味噌バターラーメン】が理想モデルに近い。 普段なら簡単に注文出来ないが、浜の定食屋では異常に惹かれるあれのイメージ。 早速

          発酵さぎょうの店頭改装

          発酵さぎょうの飯寿司と味噌漬け

          1月に田舎のお袋から一本の電話が入った。   発酵さぎょうの為に『鮭の飯寿司』と『玉ねぎの味噌漬け』を仕込んでみたという。  1ヶ月後、実家に戻った僕を見ると、すぐにお袋はスコップを雪の中に差し込み『鮭の飯寿司』の桶を掘り出した。  多少、予想はしていたが漬け込んだ量が想像を遥かに超えている。  何kg?いや、これはガロン、ともするとバレルの世界だ。  その後、僕の計算(1ガロンの消費期間=2年)とは裏腹に『鮭の飯寿司』は僅か2週間でお客さんの胃に収まった。  お

          発酵さぎょうの飯寿司と味噌漬け

          発酵さぎょう2か月目

          『発酵さぎょう』のスタートから2か月。  初来店のお客さんは、僕の猛烈な日本酒愛表現に多少なりとも驚いていらっしゃる様に見える。  でも僕はそれが普通の事だ。  僕がずっと昔から憧れ続けてきて全国の蔵元。  酒造りに対する愚直なまでの誠実さ。その哲学、そして存在感。  そんな全国の蔵元に接する度に、僕は完全に打ちのめされ、まる焦げになってきた。  お客さんにはそんな僕の経験と敬意を全力でお伝えしようと思う。  それは僕にとって何より嬉しい事。   でも、それよ

          発酵さぎょう2か月目

          発酵さぎょうは続きます。

          皆様、発酵さぎょうを続ける事が出来ます! 今、病院で癌の転移なし!の診断結果を頂きました。 今『夜と霧』の精神科医フランクルの言葉が浮かびます。 【人生から何を期待できるかではなく 人生が何を期待しているかなのだ】  自分の人生の期待に応えていく。 『日本酒ファン、これからの日本酒ファンに喜んで頂ける』  そして北の錦はじめ『敬愛する全国の蔵元や米農家さんにも喜んで頂ける』  そんな今後の想いがさらに膨らみ続けております。  そしてそれが私の生きる意味にも通じ

          発酵さぎょうは続きます。

          発酵さぎょうグランドオープンに向けて

          本日1月21日から24日まで、発酵さぎょうをお休みにします。  今回のがん検診が良い結果であれば、いよいよ店をグランドオープンさせたい。  今はオープン。その前がプレオープン、そこへ来て2月中に店頭工事をして暖簾と行燈をつける。  そうしてグランドオープンに漕ぎ着けるのだ。  ゴルフだってテニスだって年がら年中、オープン大会だらけなのでこれで良いという訳だ。  3年前は30分歩くだけで頭がクラクラしていた自分が今の今、全てがみなぎっている。  濯がれし心身の洗浄力

          発酵さぎょうグランドオープンに向けて

          発見が怖過ぎるんですけど。

          おっかない発見をした。 今まで自分は『人見知り』だと思い込んでいた。 ところがどっこい『発酵さぎょう』のオープンから、全てのお客さんに苦手意識がない事に気がついた。 考えるに自分の居心地を突き詰めた空間。  そして全て自分が好きなお酒や道具に囲まれた上で、色々な人に接する。 もう完全に、完璧なまでに自分のわがままを叶えた場所をつくった。 そしたら人に喜んでもらう事で頭が常にいっぱいになった。 人との相性だの、自分の弱点だの気になっている余裕なんて全部消えた。

          発見が怖過ぎるんですけど。

          発酵さぎょうは大丈夫だった

          『発酵さぎょう』には、野外立ち飲みカウンター席が設置されている。  お客さんに全然気づかれないのでイメージ写真を撮影して頂いた。  この窓から僕がお客さまに今にもお燗酒を差し出そうとするシーン。  写真が仕上がってみて、やはり出た。あれがすっかり出たのだ。  まず自分の『繊細で柔和で慈しみに満ちた部分』がいみじくも出てしまった。  あとは、はからずも『ちょっぴり育ちの良さ』が出てしまった。  これが出たら、もう大丈夫だ。  『発酵さぎょう』はもう大丈夫だ。  (

          発酵さぎょうは大丈夫だった