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写真展「当然」を終えて

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2020年8月19日〜26日の期間に開催した「本屋と活版印刷所の屋根裏」での錦戸俊康 写真展「当然」について振り返る。

今年の夏は、私が管理経営している「農家民宿 錦戸」の営業を当面の間だが止めることにした。理由は基本的に私ひとりで営業しているので、蔓延する感染症への十分な対策をとることが厳しいことが主な要因だ。一刻も早い収束を祈るばかりである。宿仕事を閉めてはいるのだが、何かと慌ただしかったこの8月。搬入の日もバタバタとなり慌ててしまった。

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ばたついたものの、展示は無事にスタートしアイスコーヒーを注文。盛夏の天草はやはり暑い。初日に早速お越しくださったヒロコさんはしばらく会わぬ間にお母さんになっていた。大きな赤ちゃんに驚くことばかりだった。

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1階にある「本屋と活版印刷所」では見慣れた面々が世間話に花を咲かせている。去年オープンしたお店とは思えない街への定着ぶりだ。初日の日中は在廊。

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2日目の夜は「本屋と活版印刷所の屋根裏」にてイベントが開催される。日中は密着取材だったので開演ギリギリに到着。間に合って良かった。

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イベント『大橋範子×藤篠虫丸:天草×屋久島 ふたり表現「命」』は天草在住のパフォーマンスアーティスト・大橋範子さんと屋久島在住の舞踏家・藤篠虫丸(ふじえだむしまる)さんによる肉体表現。

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搬入日の前日に急遽決まった演目だったが、不思議な縁で繋がっていた。と言うのも今回の写真展「当然」は、ある方々への私なりの哀悼の意を込めている。
屋久島よりお越しになられた虫丸さんは、そのうちのひとりである天草 塩の会・松本明生さんのお墓参りに来られたそうだ。双方、全く示しあわせていなかったことだが、松本さんのお陰で私もこの演目に本当の意味で参加できた様な気がした。

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屋根裏オーナー・ダイスケさん&1階の活版印刷所の長島さん。私の兄貴達はいつも頼れる存在なのに、とても愉快である。こういう大人を目指さねばとふとした時に思ってしまう。

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前回はひとりで餃子を包んで焼くばかりだったが、今回は参加者各々のカレーを持ち寄っての集いを関係者のみで開く。カレーの種類も様々だった。特にスープカレーが美味しく、自分でも作りたいと思った。始めにバクバクと食べてしまい、早々に満腹となってしまったことが惜しまれる。また皆さんの力作を堪能したいものだ。香辛料で身体が熱くなることにも気をつけたい。

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前回も来てくれた方々、今回初めて来てくださった方々とお会いできることがとても嬉しい。熊本に帰って来て知り合うことができた写真家、カメラマンの面々もやって来てくれた。写真の話をじっくりできることも刺激になっている。飄々と見える様にやっていきたいものだがそんなことは全くなく、悩みは尽きない。

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何日かは在廊できない日もあったが、あっという間に最終日を迎えた。入り口の案内には「本日最終日」の札が貼ってあった。ダイスケさんの手描き文字が素敵だ。

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最後の日は夜からの在廊。来場する方々と話し込み、寝るまで在廊を大きく過ぎ、お店を閉めてからもダイスケさんと朝方まで話し込んでしまった。今回の展示に関してお客人とダイスケさんにもっともなご指摘をいただき自分の至らなさを痛感する。

先にも書いてはいるが、今回の写真展「当然」は私なりのある方々への弔いである。今年に入って敬愛する存在のおふたりが立て続けに亡くなられた。その方々は足繁く通った私の住む町のちゃんぽん屋「明月」のご主人・萬谷さん、帰郷してからの私に大きな自信をくれた「天草 塩の会」の松本さんである。
訃報を聞いた際に、身内との別れともまた違う喪失感や寂しさがあった。この感覚は、いま現在も私の死生観を見つめ直すきっかけとなっている。展示の冒頭にそのことを明示したつもりでいただけで、何も内容を知らずに見に来てくださった方々にしっかりとその意図を伝えきることはできていなかったと今更ながらに思う。わかる人にはわかってもらえるなどと開き直るのではなく、来場してくださる方々に私の思いや意図を伝えられる様に出来うる限り努めねばと思い直した。

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次の日の朝、黙々と展示していた写真を片付ける。次回の展示もぼんやりしていたらすぐにやって来るに違いない。ただ写真を壁に貼っているだけの行為にならぬ様に考え抜いて、備えよう。

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展示が終わり数日が経って、ようやく松本さんの写真を奥さんに届けることができた。撮った時とは写真の意味が変わってしまったことが多くなっている。これからも景色が一変してしまうことや思いもよらぬ別れがあるのだろう。撮ること、見せることをこれからも続けていこうという気持ちは変わらない。

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久しぶりに訪れた「天草 塩の会」の仕事場は随分と見通しがよくなっている。これからも塩づくりは続くそうだ。写真をお渡しする時にひらひらと黒いアゲハチョウが何処かへ飛んでいった。嬉しい偶然を素直に喜んでいる。

錦戸俊康 写真展「当然」にお越しくださった皆さまありがとうございます。
また今月も写真展を開催いたします。


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【次回写真展のお知らせ】

錦戸俊康 写真展
「図鑑」
会期:2020.9.23水~9.30水  入場無料
開場:午前10時~寝るまで
会場:本屋と活版印刷所の屋根裏
住所:863-0023
熊本県天草市中央新町19-1  本屋と活版印刷所 2F ※建物裏に駐車場あり

天草市本渡の古書店「本屋と活版印刷所の屋根裏」にて開催する錦戸俊康写真展の第三弾となります。ぜひご高覧ください。

在廊日は錦戸のSNSでお知らせいたします。こちらの古書店さんではホット・アイスコーヒーが注文できます。

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