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「自分の目に映ってるのは、選手たちなのか、作戦盤なのか、」

こんな言葉をもらったので残しておこうと思う。



『西川、"策"に溺れるなよ。』

「どうすれば勝ちに繋がりますかね」、と呟いたときにある人が贈ってくれた言葉である。

『昔の自分はさ、未熟だったんよ。策に溺れてた。何か細かいところをやろうとして、戦術を見せびらかそうとして、選手を置き去りにしててさ。自分が見るのはいつも選手ではなくパソコンや戦術盤だった。選手を見ていない時期があったさ。』

『その当時の選手は、やっぱりそんな俺についてくることはなかったなあ。何人も俺から離れていったし、人も集まることが無かった。』

『選手をちゃんと見てなかったんだわ。それがあって俺は気づいたんよ。”選手はモノじゃない”って。”選手は駒じゃない”って。指導者側がさ、選手たちを"自己実現の道具"なんて思ってるから、体罰がとか、暴言がって問題が出てくるんよ。』

『西川、まだ25でしょ?これからじゃん。今もベストを尽くそうとはしてるだろうけど、きっと君のピークは30代とか40代に来る。キャリアを重ねるにつれて洗練されていく。』

『今の子たちは、君の長いキャリアから見るとたった一瞬に過ぎないのかもしれない。けどさ、その子たちにとっての今は超貴重な一瞬なのよ。取り返すことはできない。どんなに俺たちが願ったって、お金をかけたって、もう自分たちは学生時代には戻れないでしょ?』

『指導者もみんな言うじゃん。若い頃に今の知識があったらなーーーって。きっと今の君も、ピークを迎えた君から見ると未熟かもしれない。ああしとけばなあ、の連続だろうよ。言い方を悪くするとさ、今という時間が人生の”実験台”になっちゃってるかもしれないじゃん。でもそれって仕方ないことなのよ。どの指導者もみんなそうだもん。』

『だからこそ、よ。だからこそ、今の若い時期に接してる選手たちは宝物のように大事にしなきゃね。選手たちの顔色をちゃんと見て、ちゃんと話して、今もってるベストを尽くす指導者でいてね。』

『自分の目に映ってるのは、選手たちなのか、作戦盤なのか、ちゃんと見つめ続けてね。期待してる。』

現時点で実績を持っている指導者の方からいただいた言葉だった。面倒な作業もなんでもない顔で引き受け、後輩指導者の面倒見も良い。良いところはちゃんと褒めるし、𠮟るべきところはちゃんと叱る。私が尊敬している人の1人である。

この人の期待は、裏切りたくない。


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