西川智希

富山県でU-18バスケットボールコーチ/プレイヤーをしています。筑波大学男子バスケット…

西川智希

富山県でU-18バスケットボールコーチ/プレイヤーをしています。筑波大学男子バスケットボール部、バスケットボールコーチング論研究室出身。バスケのこと、コーチング論、人生観などについて書きます。 ※記事内の主張はあくまで個人の見解です。

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上手くなりたいならまず"ゴミを拾うべき"

先日、このYahoo!ニュースを読んだ。 この記事の中には以下の言葉がある、 * 私の指導では、"視野の広さ"を求める。自分以外の物事に意識を向けることだ。まさにこの記事の内容に書いてあることである。 指導の話になるが、私は、「ゴミ拾いができる選手は成長できる」と思っている。だから、選手に『ゴミ拾い』を要求する。 もちろん環境整備の観点からもぜひ行ってほしいのだが、それだけではない。指導の根幹に「すべてバスケに繋がる」というモットーがある私なので、ゴミ拾いを要求する

    • 『週休3日部活』について私が考えること

      ※この記事の内容はどなたかを批判するものではありません ※世間の流行に対して私の考えの位置を示すためのものです ⓪「才能の塊」の先輩「質より量」 というか 「量こそ質」というのが私の根幹にある。 「圧倒的な量」が才能を凌駕する様をこの25年間でたくさん見てきた。 もともと偏差値の低かった人が継続的な積み上げで逆転合格したり。 実力が認められなかった選手が淡々とハードワークを続けて見事スタメンになったり。 私が尊敬していた先輩は、全体練習後にすぐ帰る人だった。自主練すると

      • 200cmの中学生選手をガード起用して勝てなかったら、その指導者って「最低」なの?

        心からリスペクトしている指導者の方がこんな話をしていた。 めちゃくちゃ考えさせられたので、ぜひ①②は見てほしい。 すべてのスポーツや勉強に「基礎」「基本」がある。 2つは同じような言葉だが、使い分けて考える。 たとえば、 “基本動作“とはいうが、“基礎動作“とは言わない。 “基礎体力“とはいうが、“基本体力“とは言わない。 この2つについて理解する必要がある。 ①基本とは”支柱”である。 アサガオは真っ直ぐの支柱があれば、ツルを巻きつけながら確実に上に向かって伸びて

        • 人生“ポイント制"である論

          ①スパーズの「岩とハンマー」こんな話を知っていますか。 NBAのサンアントニオ・スパーズの練習場には、「岩」と「ハンマー」が展示されているということを。 「岩とハンマー?🪨と🔨??なんのチョイス??」 そう思うと思います。 だがその「岩」と「ハンマー」のセットを展示しているのには理由があり、ある人の信念が表れている。 展示したのはヘッドコーチのグレッグ・ポポビッチ氏。 彼はこう語る。 スパーズのチームフィロソフィーを表す言葉として「Pounding the ro

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        • まずはこちら!
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        • バスケットボール関係者の方向け
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        記事

          どんな「キャラ設定」するかがすべて

          「あなたは何キャラですか?」 過去、小学校のころの先生がそう尋ねてきたことがある。みんなは「いじられキャラ!」「なきむしキャラ!」「モテモテキャラ!」なんて答えていたが、私は自分自身のキャラが分からず黙っていた。 そんなとき先生が、   「ともきさんは、努力家キャラだよね」 という言葉をくれた。『努力』という言葉の意味すら知らなかった当時の私は、ぽかーんといした顔で「ドリョク?」という言葉を発したのを覚えている。 * ”役割性格” 心理学用語である。これは、ある

          どんな「キャラ設定」するかがすべて

          「自分の目に映ってるのは、選手たちなのか、作戦盤なのか、」

          こんな言葉をもらったので残しておこうと思う。 * 『西川、"策"に溺れるなよ。』 「どうすれば勝ちに繋がりますかね」、と呟いたときにある人が贈ってくれた言葉である。 『昔の自分はさ、未熟だったんよ。策に溺れてた。何か細かいところをやろうとして、戦術を見せびらかそうとして、選手を置き去りにしててさ。自分が見るのはいつも選手ではなくパソコンや戦術盤だった。選手を見ていない時期があったさ。』 『その当時の選手は、やっぱりそんな俺についてくることはなかったなあ。何人も俺から

          「自分の目に映ってるのは、選手たちなのか、作戦盤なのか、」

          「進研ゼミでやったところだ!」現象

          過去に経験した何かに遭遇したときに発する、万人共通のフレーズがある。 それは、「あっ、これ進研ゼミでやったところだ!」である 元ネタは、各家庭や学校に届く、進研ゼミのダイレクトレターに同封されている漫画である。内容はその時々によって変わるが、大筋は勉強が苦手な主人公が進研ゼミで学ぶことによって成績が上がり、人生が好転していくというストーリー。 その際に主人公が言うセリフが決まって「あっ、これ進研ゼミでやったところだ!」だった。そのセリフがネットでバズを起こした。 ベタ

          「進研ゼミでやったところだ!」現象

          不足が工夫を生む

          大学1.2年。とにかくお金に余裕がなかった。 部活動に時間と情熱を全投下すると決め、ほとんどバイトをしない大学生活を選んだ。 その代償もあって、とにかくお金に余裕が無かった。ランチで1000円を超えるなんてもってのほか。スーパーで見かけた400円の惣菜は値段を見てそっと棚に戻す。 自分の口座の残高が5桁ないこともあって、切り詰めていた生活をしていた。 そんな状況の中で節約の方法をたくさん編み出していた。水筒を必ず持参する、基本は自炊をするなど、どれも節約の“王道“と呼

          不足が工夫を生む

          「勉強さえもバスケに活かしたいんです」

          「すべてをバスケに繋げたい」 私が関わっている学生の選手が言ったセリフである。 その選手はバスケに対する意欲がとんでもなく高い。本気で勝ちを求める。 「勉強さえもバスケに活かしたい」。そう語った。 * バスケは再現性を求められるスポーツである。 試合のペースによる影響はあれど、基本的にバスケの試合におけるシュート回数は大体同じである。数が決まっているため、確率が重要になる。 当然、ゴール下のシュートや、フリーのシュートは”期待値が高い”とされる。多くのチームはこ

          「勉強さえもバスケに活かしたいんです」

          「レイアップを外したら怒られる」について改めて考えてみよう

          ①飛べなくなった「飛べるノミ」「ノミ」をご存知でしょうか。 2mm程度の超小さい生き物です。 ノミはジャンプすると1m近く飛ぶそうです。 このノミを30cmほどのコップの中に入れ、蓋をしたという実験があったそう。 ノミはコップから出ようと何度もジャンプします。 しかし、ジャンプするたびに天井であるコップの蓋に頭をぶつけます。 やがてノミは、コップの蓋にぶつからない程度のジャンプしかしなくなります。 そしてその後、コップをひっくり返してノミを自由にジャンプできるよう

          「レイアップを外したら怒られる」について改めて考えてみよう

          就職活動とポケモンバトル

          「20代で色んな経験させてくれる会社に行きたいです!」 特にやりたい仕事がはっきりしていなかった大学3年生。面接官の方が聞き慣れているような傲慢なセリフを吐いて、私は就職活動をしていた。 今思えば下手くそな就職活動をしていたと思う。『有名な企業』ということ1点に絞りエントリーシートを出し、ネットに出ている「就職活動で使える志望理由」「面接官ウケする逆質問」を事前に暗記し、面接に臨む。 就職活動は自分の強みを示し、会社に「私はこのように貢献できますよ」というように『尖った

          就職活動とポケモンバトル

          ストレスのない日々の記憶は蓄積されない

          夏が始まった。 夏の始まりに 清水翔太の「ナツノオワリ」 にハマりだすのが私のお決まりである。 清水翔太は夏の始まりを「恋が始まるとき」だと形容したが、私にとっての夏の始まりは自分の誕生日である。 7月17日で25歳になった。 25歳はどんな1年になるだろう。 20歳の時に書いた「死ぬまでにやりたいことリスト」は25歳の現時点で斜線が引かれているものが多くなった。 それは幸か不幸か、5年前のやりたかったことをほとんど終えてしまっているということである。 * 昔

          ストレスのない日々の記憶は蓄積されない

          スマホ・AI時代で、スポーツ指導者の心構えは何が正解か

          以前、Z世代に関するツイートをした。 現在、私が関わっているチームの指導対象はいわゆる「Z世代」にあたる。 ①いまの時代の学び方Z世代はデジタルネイティブな世代で、スマホを扱い慣れている。そのため、彼らは「自分の課題を自分で解決するための要素」をたくさん持ち合わせている。ネットを使えば、簡単にシュートの技術を学べる。YouTubeを使えば、ドリブルの自主練方法を学べる。Twitterを使えば、論理的な情報が言語化されたチーム戦術を学べる。 スマホをひらけばそこにはたくさ

          スマホ・AI時代で、スポーツ指導者の心構えは何が正解か

          「あの人は僕たち1人ひとりのことをちゃんと見てくれるから、」

          「本当に良い人です。あの人は僕たち1人ひとりのことをちゃんと見てくれるんです。ふざけてるように見えるのに、すごく細かいところまで見てくれる」 去年の12月。バスケットボールで親しくなった高校生に、「君のところの指導者の方ってどんな人?どんなところが好き?」と何気なく聞いたところに返ってきた言葉である。あの日からこの言葉が忘れられない。 私は現在所属しているバスケットボールチームにおいて、監督という役割を任せていただいている。その役割に就くと、どうしても「全体」を最優先に見

          「あの人は僕たち1人ひとりのことをちゃんと見てくれるから、」

          指導メモまとめ(2023年1月)

          これは2023年1月の時点での私のバスケットボールの指導メモである。個人的に得た知見だけでなく、優れた指導者の方達からいただいた言葉も含まれてる。 この指導メモは月日が流れるにつれて正解が変化していくものであり、永遠にこれが正しいということを期待していない。現在の思考を記録として残し、その後の指導と比較することを目的とした。 ①「個の力」とは ・プレッシャーリリースができる ・1on0にできる(相手を抜く) ・1on1で抜かなくても得点が取れる(ジャブステップ、プルアッ

          指導メモまとめ(2023年1月)

          "感情の使い方"

          先月の話である。 NBAのダラス・マーベリックスのルカ・ドンチッチがテクニカルファールを取られた。 仲間を鼓舞するつもりで声を荒げたのを、審判への抗議と審判自身が勘違いしてしまい、テクニカルファールをコール。 呆気に取られるドンチッチ。 自分に怒ったのだと主張するパウエル。 意見を曲げない審判。 という構図になった。 この事例自体は別に珍しいものではなく、NBAでは"よくある"勘違いの例である。それは、NBAが感情を爆発させまくる選手で溢れたリーグであり、審判に

          "感情の使い方"