就職活動とポケモンバトル
「20代で色んな経験させてくれる会社に行きたいです!」
特にやりたい仕事がはっきりしていなかった大学3年生。面接官の方が聞き慣れているような傲慢なセリフを吐いて、私は就職活動をしていた。
今思えば下手くそな就職活動をしていたと思う。『有名な企業』ということ1点に絞りエントリーシートを出し、ネットに出ている「就職活動で使える志望理由」「面接官ウケする逆質問」を事前に暗記し、面接に臨む。
就職活動は自分の強みを示し、会社に「私はこのように貢献できますよ」というように『尖った自分』を売り込む必要がはるはずなのに、なぜかその逆方向の『平凡な自分』をアピールしてしまっていた。
今思い出しても、浅はかな行動だったと思う。
ただ1つ、私が本心で思って、自分の言葉で伝えていたことがある。
「成長したい」だ。
冒頭で書いたような「誰かに与えられる経験」を望んでいるわけじゃない。あれは伝え方が下手くそすぎた。
ただ、「成長したい」。
昨日より強い自分なりたい、という言葉を信念に持っていた。
(紆余曲折を経た結果いまの職業を選択したのだが、それはまたいつかのnoteで)
①思考パターン
じっとしているのが苦手だ。それならば本を読む。
暇になるのが苦手だ。それならば予定を詰め込む。
ぼーっとするのが苦手だ。それならば考え事をする。
1分1秒も無駄にしたくないという私の思考は、小学生の頃にルーツがある。
当時、自分と一緒のバスケットボールのレベルだったライバルの子(A君)が、久しぶりに会った時に自分以上の存在になっていた。A君は言う。「朝も昼も夜も練習したよ」。その言葉を聞いてから、「自分がこんなことをしている間にA君は練習しているのかも」と強迫観念に駆られるようになった。そこから、私の先述の思考が育まれた。
今は昔と違って「強迫観念」と形容するほどのものはないが、思考のクセとして残り続けている。暇があるなら何かしたい、と。
でもマイナスの面が大きいのがこの思考の特徴である。まず、融通が効かない。余白がないからアイデアが生まれない。自己本位になりがち。反省の日々である。
②ポケモンバトル
改めて考える。
「成長」とは何なのだろうか。
私はこれを「経験値を貯めること」と定義したい。
ポケモンをしたことはあるだろうか。
最初のポケモンを選ぶところから始まり、レベルアップしながら力をつけ、チャンピオンに挑む。また、同じソフトをもっている友達と持っているポケモン同士で勝負をできるゲームだ。
ポケモンは「レベルアップ」という形で成長していく。では、レベルアップするために必要なものは何か。
経験値である。
ポケモンバトルにおいて"勝利した場合"に経験値というものが得られる。この経験値が一定数貯まるとレベルアップし、ステータス強化される。
もらえる経験値は一定というわけではない。倒したポケモンのレベルが高いほど獲得経験値は高くなるし、相手のレベルが低いと経験値はあまりもらえない。対戦するポケモンは強ければ強いほど良い。
この経験値の仕組みは、人生に共通するなと常々思う。
自分ができなかったことができるようになった時、勝てなかった相手に勝った時、行ったことのない国に行った時。経験値を獲得し、蓄積され、私たちはレベルアップできる。自信を得たり、知識が増えたりすることで、昨日の自分より強くなれる。
ただ、私たちの人生において、ポケモンと明確に違う部分がある。
それは、負けたとしても、失敗したとしても経験値がもらえるということだ。
私たちは失敗から学ぶ。
勝てなかった相手に勝つにはどうしたら良いか。行ったことのない国で上手く話せなかったら、次は何を勉強すれば良いか。
失敗の原因を考察し、改善することで私たちは成長できる。
不思議なことに気づく。
成功しても、失敗しても、経験値貰えるじゃん、と。
そう、挑戦することそのものがプラスなのである。さらにその挑戦は自分のレベル以上であればあるほど良い。
逆に、行動しない限りは経験値はゼロである。
何事も、迷ったらやったほうがいいのだ。
③中国に行った
先日、バスケットボールの事業に参加し、中国に行った。
知らない環境、知らない言葉、知らない料理。
富山県に過ごし続ける私にとって、未知の世界だった。この挑戦を形容するなら、『自分より上のレベルのポケモンとのたたかい』のようだった。何が言いたいかというと、割とビビってたのである。
けれど、挑戦させていただいて良かった。
価値観が揺さぶられた。テレビやYouTubeでしか見たことのない環境に触れられた。意外と英語で話せた。
中国に行く前と行った後の思考は明らかに違うように感じる。成長した。広い視点で物事を考えられるようになった。これは挑戦して経験値をゲットしたからこそ得られたものだ。
誰かが言った。
「人生、犯罪以外はすべて経験すべき」と。
また強いポケモンに遭遇したら、迷わず「たたかう」を選択できるようにしたいものである。
*
いま就職活動をしたらどういう風に自分を売り込むだろうか。
「私は強いポケモンと戦いたいです!!!」
だろうか。
間違いなく、お祈りである。
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