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「マーチン D-18の話」

「終活ギター アコギ庵」「アコギ弾き比べサロン アコギ庵」です。
 アコギ一筋54年。アコギの終活をやろうというオッサンが、《何かアコギ好きのためにできることはないか?》というところからスタートしました。アコギ好きのための”Support and Assist”を目標に、何かしらお役にたてることがあればいいなと思っています。
 そうそう簡単に弾くことができないと思われるギターも、何本か用意しています。初心者の方用、中級者用のギターもあります。とにかく来て弾いていただいて、そこから何かが始まることを期待しております。アコギ好きの皆様とお話しすることを楽しみに、お待ちしております。

「マーチン D-18の話」
 マーチン D-18の話=サイド・バックがマホガニーのギターの話、と言ってもよいかもしれません。マーチンと言えばまず思い浮かぶのが、D-45かD-28でしょう。その次がD-35かD-41もしくはD-42。そして最後にD-18という感じでしょうか?個人差がありますので人によってはこの順番は違うと思いますが、私の場合はこんな感じです。長い間自分の中でD-18というギターは評価の低いギターでした。マーチンのギターを始めて手に入れた(自分のものにした)のが1973年でしたので、まずはそのあたりの個体が最初のD-18のイメージを作り上げてしまったのかもしれません。

 当時の印象は「音の芯が細く、頼りない感じ。パワーも弱い。」というものでした。当時はまだヴィンテージという言葉さえ知らなかった頃で、古いギターは「オールド」と呼んでいました。オールドは市場にもほとんど出回っていなかったので、その頃のD-18で評価するしかありませんでした。(その頃のD-18も今ではヴィンテージと呼ばれるようになってしまいましたが・・・。)当時よく読んでいたアコギの雑誌等で海外のミュージシャンがD-18を弾いている写真も見ていましたが、自分には疑問でした。「何で、こんな頼りない音のギターを使ってるんかな?」と思っていました。先入観もあったと思います。マーチンのラインナップの中では最も価格が安いギターでした。同様に国産のギターでも同じような位置にいましたので、サイド・バックがマホガニーのギター=安物のギターというイメージを持ってしまっていたようです。

 70年代のD-18は何本か弾きましたが、欲しいと思えるような個体には出会いませんでした。そのことも余計に、D-18の「良いギターとは思えない。」というイメージを固めてしまったのだろうと思います。

 「マーチンフリークが最後に行き着くのは18」とか、「最もマーチンらしいマーチンは18」という話をよく聞いていましたが、自分にはその意味が理解できませんでした。一番不思議だったのはブルーグラスでD-18が使われていることでした。D-28とD-18がブルーグラスでは定番になっていました。28の方はわかるのですが、自分の知っている(弾いたことがある)D-18は音の芯が細く頼りないというイメージしかなかったので「信じられへん!」というのが正直なところでした。50年代、60年代のD-18も何本かは弾かせてもらいましたが、そのイメージが変わることはありませんでした。

 それでも少しずつですが、マーチン以外のギターでマホガニーのサウンドもいいなと思えるようになってきました。そんな中、今から10年ほど前のことです。初めて「こいつは違う!」と思えるD-18に出会いました。1951年製の個体です。弦を緩めてある状態からチューニングする時、いつも6弦から音を上げて行きます。最初の6弦の段階で、低音の太さがまったく違いました。「うわっ、これ今まで弾いてきたD-18と全然違う!」チューニングが完了して弾き始めてからも、かなりの衝撃でした。「こんなD-18があるんやな。」初めてD-18がブルーグラスで使われても不思議ではないなと思えた瞬間でした。

 ヴィンテージギターとしての価値はそれほどないなと思える状態でしたが(時期は不明ですが全体的にリフィニッシュされていて、バックには割れ止めのパッチが何か所にも貼られていました。)、プレイヤビリティはバッチリでした。リフィニッシュされて以降は大事に使われていたようで、1951年製ということからするとメチャクチャきれいな状態でした。

 D-18に対するイメージが、このギターによって一気に変わってしまいました。と同時に「リフィニッシュされていても、必ずしもダメではないんや。」ということもはっきり認識しました。通常全体的なリフィニッシュをしてしまうと、どうしてもこじんまりとした鳴り方に変わってしまいます。絶対ではありませんが、かなり高い確率でそうなってしまいます。このギターからそんな感じは、まったくと言っていいほど受けませんでした。かなり以前のリフィニッシュで、相当の時間が経過していたのかもしれません。(その割にはきれいすぎるほどの外観です。リフィニッシュされた後は、よほど大切に使われていたのだろうなと思います。)

 このギターと出会ったことで、D-18以外のサイド・バックがマホガニーのギターの見方も変わったように思います。以後ギブソンのJ-45、J-50やギルドのD-40等を探すようになり、購入して行くことになります。
 今はもう自分の手を離れて、親しい友人が弾いてくれています。なかなか無いだろうとは思っていますが、この1951年製のD-18を超えるサイド・バックがマホガニーのギターを見つけることができないかな?・・・などということを密かに考えています。終活をやっている最中なのに「何をアホなことを!」と叱られそうですが、それぐらい”当たりのD-18”を探すことが自分の中では難しく高い目標になっています。

以前所有していたSomogyi MD-Cのキルトマホガニー(バック)
以前所有していたSomogyi MD-Cのキルトマホガニー(サイド)

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