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「マイギター、最後はどうする?」「ヴィンテージギターではないけれど」「比較的新しいギターでも・・・。」

「終活ギター アコギ庵」「アコギ弾き比べサロン アコギ庵」です。
 アコギ一筋54年。アコギの終活をやろうというオッサンが、《何かアコギ好きのためにできることはないか?》というところからスタートしました。アコギ好きのための”Support and Assist”を目標に、何かしらお役にたてることがあればいいなと思っています。
 そうそう簡単に弾くことができないと思われるギターも、何本か用意しています。初心者の方用、中級者用のギターもあります。とにかく来て弾いていただいて、そこから何かが始まることを期待しております。アコギ好きの皆様とお話しすることを楽しみに、お待ちしております。


「マイギター、最後はどうする?」
 少し前の話ですが、自分よりも年配の方からギターの処分についての相談を受けました。自分も似たようなものですが、長年大切にしてきたギターを最後はどうするのか?という終活の一環とも言える相談でした。

 対象となったギターはマーチンの1920年代のもので、非常に珍しいモデルでした。ご家族はそのギターの価値をわかっておられないとのことで、「私が死んだらゴミ処理場行きだと思います。その前に可愛がって頂ける方を何とか見つけたいと考えています。」という内容でした。
 遠方の方(関東在住)でしたので、現物を見せていただくことはできませんでした。かなり詳細な写真をたくさんメールに添付していただき、それである程度の判断をさせていただく感じでした。残念ながら状態は悪く、そのまま使うことは難しいと感じました。

 その方のご希望は、きちんとリペア、調整をして次の方にお渡ししたいとのことでした。何度もメールのやり取りを重ね、その間に信用できるショップ(東京のお店です。)の知り合いに電話等をして事の成り行きを説明。実際にショップにギターを持ち込んでもらって相談してもらう段取りをしました。結果、概算でリペア代金は50万円ほど、期間は1年半から2年ほどかかると。相談者が年配の方でしたので、かかる費用もさることながら、時間的に待っていられないとのこと。それで、別の知り合いを紹介し、別のリペア工房の見積りを出してもらうことにしました。が、そこでもほぼ同様の費用と期間がかかるとの結果でした。相談を受けてから約2カ月、30回ほどメールのやり取りをしました。最終的に「ショップに買い取ってもらうことを考えています。」という連絡をいただきました。

 営業的には一銭にもならないことでしたが、それなりにお役に立てたのではないかと思っています。と同時に、同年代の方々もたぶん同じようなことは考えておられるのだろうと思いました。業界ではヴィンテージギターの場合、リペアやパーツの交換等はその価値を下げてしまうことになっています。難しい問題ですが何もせずにほったらかしのままにしてしまうと、いざという時に驚くほど費用がかさんでしまうこともあります。多少の調整等は必要かなと思います。


ご自分のギターの状態、ちゃんと把握していますか?


D-45 Conv. From1957 D-28
ヒロコーポレーションで10数年前に製作されたD-45のコンバージョンです。


「ヴィンテージギターではないけれど」
 そう頻繁にある訳ではないのですが、それほど古いギターでもないのにひどい状態のものを見かけることがあります。めちゃくちゃ弾きにくいうえに、ピッチも合っていないことがほとんどです。普段どういう状態で保管しているのかを尋ねたら、ほぼ間違いなく「弦を緩めたこともなく、ほったらかし」という答えが返ってきます。

 よくよく話を聞いてみたら、「アコギって、こんなもん。」と思っていたり、調整できることを知らないという方がほとんどでした。それともう一つ、きちんと調整された弾きやすいギターを弾いた経験がないということも考えられます。      

 できるだけ多くのギターを弾く経験を積むためにも、ギタ友は多い方がいいかもしれませんね。今は昔と違ってSNS等があり、そういった繋がりを創っていきやすい環境があります。「そうしないといけない。」という訳ではありませんが、同じ趣味を持つ人と繋がる事ができればプラスになることもたくさんあると思います。

 アコースティックギターは、大部分が薄く加工された木材の組み合わせでできています。目で見てわかることは少ないですが、温度や湿度等の影響を受けて常に変化しています。可能な限りそういうことが起こらないようにシーズニングされた材料を使うのですが、それでも動かないことはありません。いくら良い状態にセッティングしてとしても、時間の経過とともに変化します。まったく同じ状態を維持し続けることは不可能です。

 では、どこまでが許容範囲なのか?決めるのはプレイヤー自身ですが、折に触れて確認することが大切です。それぞれのプレイスタイルによって、その許容範囲も同じではないでょう。自分のベストのセッティングを把握しておくようにしましょう。

Martin OOO-28 1974 かなりコンディションの良い個体です。


「比較的新しいギターでも・・・。」
 比較的新しいギター(新品を含めて)でも、驚くほど状態が変化しているものがあります。おそらくシーズニング不足であろうと思われますが、専門家ではないので本当のところはわかりません。もちろん保管状態も関係しているのでしょうが、その部分については以前とそれほど変わっていないのではないかと・・・。(ひょっとしたら空調等を含め、ショップの保管環境は今の方が良くなっているかも?。個人となるとバラバラなので、ひどい環境下に置かれているものがあるかもしれません。)
 何もしていないのに(店頭に展示してあっただけなのに)あちこちに歪みが出てきたり、バインディングがはがれてきたりという話をよく聞くようになりました。親しいリペアマンにきいたところ、バインディングの剥がれがある場合かなり高い確率で力木もはがれているとのことでした。こういった話は、70年代以前はほとんど聞いたことがありませんでした。考えられることと言えば、前述したシーズニング不足と材料の質の低下です。製作工程も昔とは違うだろうし、他にもいろいろ要因はあるだろうと思います。

 また、そういった悪い現象が全てのメーカーや製作家に当てはまる訳ではありません。逆に、「このメーカーのものは、トラブルが起こったという話を聞いたことがない。」と言われるメーカーもあります。運、不運もあると思いますが、そのあたりの情報もきちんと把握しておかないと思わぬ出費に繋がってしまうかもしれません。

 拙い文章をお読みいただき、誠に有難うございます。皆様の感想、ご意見をお聞かせください。 またアコギに関する相談等がございましたら、どんなことでもOKです。遠慮なくお尋ねください。
 アコギ庵は「ギターを弾いてもらって、ゆっくりアコギの話をする。」そんな場所です。勝手ながら、完全予約制で運営させていただいております。
お手数ですが、まずはメール、もしくはメッセージでご連絡をお願いいたします。
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