見出し画像

10月4日

夜、近所にある古い銭湯へ向かった。私は普段、銭湯にはあまり行かないのだけどここのところはなぜだか無性に熱い湯に浸かりたい、できれば家じゃないどこかで、と倒置法を用いた文言がエンドレスで脳内再生されるくらい考えてばかりいて、ようやく今日、ついに、来ることができた、念願の、熱い湯、家じゃない、風呂、夢じゃない、きみが、そばに、いるかぎり。

ちょうど空いてる時間に来ることができたので、誰もいない脱衣所でするすると裸になって浴場にとびこんだ。受付でもらったボディーソープと、ドラッグストアで購入した1回分のシャンプーとトリートメントを使用して入念に洗い上げ、ついに私は湯船にinした。きれいな山芋が鍋に自ら入っていく映像を思い浮かべてもらいたい。それが、その瞬間の私である。山芋、うれしそうでしょう。茹でてどうなるかはわかりませんが。あたらしいタイプのおでんでも作るんでしょうか。

身体の疲れが溜まっていたのかはわからないがそれはもうとてつもなく、例えるならそう、全身の穴という穴から植物が芽吹く勢いで湯が体に染み入ってきた。効能とかはよく知らないけど、きっとなにもかもにいいんでしょう。銭湯、これが私のKAIKANフレーズ。そういっても過言ではないくらいだと思った。アニメ観たことないけど。この銭湯、絶対また来よう。今度からはもっと定期的に来ることにしよう。あーーーきてよかったーーーーー。




というタイプの嘘を思いついた。今日はどこにも寄れなかった。雨も降っていたし。行きたかった、家じゃない風呂、熱い湯、もう雨の代わりに頭上から降らせるか、もしくは飲ませてくれ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?