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東京を守れ!人工島要塞「東京湾 第二海堡」をゆく

江戸時代末期、多くの外国船が日本周辺に見られるようになります。
イギリスで始まった産業革命による技術躍進で、ヨーロッパ諸国はアジアやアフリカ地域へと勢力を伸ばしていきます。
日本においても例外ではなく、その脅威が目の前まで迫る勢いでした。
そこで幕府は江戸湾の海防に着手。防衛策は明治政府に引き継がれ「東京湾要塞」が築かれるようになりました。
今回は普段なかなか上陸できない、砲台を備えた東京湾に浮かぶ人工島要塞「東京湾 第二海堡(かいほう)」をご紹介。

第二海堡に上陸

第二海ほ①

横須賀の三笠ターミナルから出航。3つの海堡のうち現存する第一海堡、今回上陸した第二海堡は千葉県の富津市にあります。(スカ散歩なんですが、そこはご容赦ください)
ご覧の通り国有地につき本来は立ち入り禁止区域です。
安全上の問題もあって管理者や関係者しか上陸できなかったのですが、2019年よりツアーによる上陸と見学が認められました。
今回はツアーの最後にアンケートなどが求められる、モニターツアーとして参加しています。
(ちなみに貴重な体験だからと、この位置で写真を撮ることをツアーガイドさんに薦められました)

第二海ほ②

レンガで囲っています。ここは「イギリス積み」ですね。

第二海ほ③

丸く囲われたカノン砲の砲台跡。そのすぐ後方に灯台が立っています。
初代は明治27年に作られシンプルな航海標識だったそうです。
現在の灯台は4代目。もちろん現役で稼働しています。

第二海ほ⑥


灯台と言えば、今年2021年に新規登録されたフランスの世界遺産に「コルドゥアン灯台」というものがあります。
16世紀末に建造されたフランスの灯台で、世界遺産委員会では「航路信号施設の傑作」と評価。こちらも現在使用されている稼働遺産です。

第二海ほ⑫

カノン砲はこんな感じ設置されていたそうです。

ここでかなりの興奮状態!!

第二海ほ⑪

第二海ほ⑤

第二海ほ④

一番左側に位置するレンガ構造物。こちらも砲台跡のようです。
まだ発掘調査中のようですが、なんか古代都市遺跡みたいですね。
イタリアの世界遺産「ポンペイ」や、パキスタンの世界遺産「モヘンジョダロ」を連想してしまいました。

第二海ほ⑧

こちらは中央部砲塔観測台。人工島の真ん中に位置します。
地下の指令室や通信室と一体となって機能していたようです。

第二海ほ⑦

第二海堡から見える第一海堡。
まだ整備されていなく、現在は上陸が難しいのでこちらから眺めるだけです。いずれ上陸できる日が訪れるかも?とのことでした。
実は千葉県の富津岬からすぐの場所にあります。

第二海ほ⑩

第二海ほ⑨

3つの海堡は関東大震災の発生により主要部が大きな被害を受けました。
ただ、新しい技術が導入され3つの海堡の必要性が薄くなったことから、修復はされなかったそうです。
三笠ターミナル2階にある「猿島ビジターセンター」でも詳しい資料や案内が展示されていますよ。

第三海堡の遺構は・・・

第三海堡はタンカーなど大型船の東京湾航路の安全のために撤去されました。陸揚げされた建造物は、横須賀市の浦郷に移設されています。

第三海ほ①

第三海ほ②

第三海ほ③

第三海ほ④

第三海堡の遺構と資料画像。
竣工まで30年かかったようですが、完成の2年後に関東大震災に遭い機能を失いました。

明治から大正時代にかけて建造された防衛設備の東京湾第二海堡。
長崎県にある世界遺産「軍艦島」と廃墟感の雰囲気が似ていることから、「東の軍艦島」とも呼ばれているそうです。用途は全くの別物ですけどね。
(世界遺産検定の合格者なので、その辺りはちゃんと勉強しています)
ちなみに以前、ツアーで軍艦島(端島)にも上陸したこともありますよ。
そちらの旅話はまたそのうちにでも。
長年横須賀市に住んでいますが、この海堡の存在を知ったのはつい最近のことです。地元のことについて知らないことは、まだたくさんあるんだなと感じました。
また次の旅でお会いしましょう。




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