日本の処理水海洋投棄でも塩の買い占めを抑制する中国

中国政府、自国民の塩買い占めに「韓国人のマネをするな」

だそうである。塩は多くは海水を乾燥させて作るので、もし本当に中共政府が日本の処理水の海洋投棄で製造する塩に有害レベルの放射性同意元素が含まれる可能性があるとするならば庶民の塩の買い占めを止めようがないだろう。そこから類推するに中共の禁輸政策は多分、数年前の台湾のパイナップル禁輸などと同じように政治的意図を含んだものなのであろう。

2005年には中国では官制反日デモを繰り返してもう旋風を起こしたが、現状ではそれをやると日本の世論は硬化するのではないか。いや、あれはちょうど重慶でサッカーの試合があって、当時契約していたケーブルテレビで視聴できたBBCが「日本選手がサッカーの試合が終わった後も試合場から出られません!」という緊急ニュースを流したのが始まりであった。その後、上海やその他の都市に飛び火してデモが行われたのだが、日系のスーパーのガラスの壁に投石などされて大きな被害が出ていたはずである。この時に印象に残っているのは、デモで威勢よく声を張り上げていた女性が、デモが終了した後に自分の所有する日本車がデモ隊にひっくり返されて涙している姿であった。

それからおよそ20年近くである。当時は飛ぶ鳥を落とす勢いであった中国経済も変化している。

現状の中国の経済について

外資の中国投資最少 4〜6月87%減、米との対立激化懸念:日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM095620Z00C23A8000000/

外資の中国投資、過去最少に:日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO73812060T20C23A8EAC000/

日経新聞もこういう記事を載せるようになってしまった。この状況で小日本を叩け!とばかりに暴走させると、コロナ禍以降不満の溜まっている中国国民は喜んで暴走するだろうけれど、それを経済リスクと見た欧米諸国の投資や日本企業が一斉に撤退しかねないわけである。

既に米国に対しては中国は輸出国第1位の座から滑り降りている。

米国の輸入、中国15年ぶり首位陥落 貿易構造一変:日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN0814E0Y3A700C2000000/

今後の日本がとるべき道

いまだに日本には中国礼賛主義者がいるので「中国こそ日本の貿易1位国であるから中国のわがままを日本は聞くべきである」という意見は強いが、既に世界の趨勢は変わり始めている。ここで中国が暴君ぶりを発揮して日本を踏みつけ、突き放すような真似をすれば日本も米国に追随することは十分に考えられるのである。

日本はむしろ中国が今後経済的苦境からヒトラーのように無謀を起こすことは阻止しなければならない立場であろう。英国のチェンバレンのように宥和政策をとってゆかなければならず、中国が今後おとなしくダウンヒルを受け入れるように監視する役目を負っているのではないかと思うわけである。

その意味では今後の中国の行動、選択は注視すべきであろうとおもう。英国だって英国病を克服するのに苦労したし、日本だって失われた30年という苦い経験がある。中国もこれからそういう暗黒時代を迎えることはやむを得ないであろう。まさに平家物語の盛者必衰である。幸いなことに英国も日本も滅びることはなかった。戦争を起こすこともせず、一定の地位を回復している。中国もダウンヒルを乗り越えて英国や日本のように平和に世界と共存する道を探るべきであろう。

悪い例に導かれてはいけない

悪い例も存在する。いうまでもなくロシアである。ロシアはペレストロイカ以降は必死で西側の民主主義や資本主義を取り入れて経済復興の道を目指してきたが、ウクライナと戦端を開いてしまったわけである。これはロシアのウクライナを併合したいという私利私欲から発せられたものである。大義名分もなく、ロシアは戦争とも言えずに「特別軍事作戦」と呼称せざるを得なかったのである。

ウクライナはかかる不正なロシアからの攻撃に対して小国でありながらもう一年半も持ち堪えている。けれどもこれは両国民にとっての不幸であることは言うまでもないことである。おそらくは水面下では和平への道も探られているのだろうが、我々のようなものにはそんな朗報はまだ聞こえてこないのである。聞こえてくるのは左派の鳴らす「ウクライナが無条件降伏してロシアに併合されればそれで平和になるじゃないか」という無責任な音ばかりである。

中国も台湾侵攻という切り札があるわけである。それは反米のシンボルとして時に甘美な誘いに見えるかもしれないが、苦しい時こそ平和を守り協調してゆく姿勢を忘れるべきではない。中露共に正当性のない戦争に足を突っ込むならば、大義名分は西側諸国のものとなる。かかる不正当な戦争を起こす中露は懲らしめなければならぬという言葉に賛同した諸国が連合して中露に立ち向かうとなれば、これはもう陰謀論者の喜ぶハルマゲドンである。

もしハルマゲドンを起こすようならば78年の平和への努力、そのための忍耐は何のためだったのかということになる。

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