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小説「コードネームは黒電話」2024

おれのコードネームは「ブラックテレフォン」。通称「黒電話」。
この名前に、とくに意味はない。

西新宿と東十条が冷戦に入って、20年の歳月が過ぎた。

おれは西側のスパイとして、東十条に潜入してはその情報をせっせと送っている。
西新宿のボスは、「懐中時計」というコードネームを持つ年齢不詳の男だ。
彼は、生まれつき痛覚がない男といううわさだった。
はっきり言って夢枕獏の小説「魔獣狩り」に出て来る「美空」という人物と同じである。

痛覚がないため、捕まって拷問にあっても平気である。そりゃ指を切り落とされたりといったリスクはあるが、拷問する方も、彼に痛覚がないことを知っているし、痛覚のない人間の指を切り落としていくのは、かなりの精神的苦痛を伴うらしい。

おっと、ボスである「懐中時計」の話ばかりになってしまった。
西新宿と東十条がなぜ対立しているのかを説明しなければなるまい。

理由は西新宿の山岳信仰に、東十条が異議を唱えたことから始まる。
西新宿には山がない。山もないのに何が山岳信仰だ、と東十条のリーダー「小籠包」は常々、言っていたらしい。

しかしそんな対立もついに決着した。
理由は、

「女性がケツだけ星人をやるのが当たり前の世の中になった」

からだ。

理由はまったくわからない。しかし、老いも若きも、女性がハイテンションで「ケツだけ星人」をやるまくるのを観たら、だれもが「なんかやる気がなくなる」であろう。
男性はもちろん、「ケツだけ星人なんかはしたなくてできない」と思っている女性たちもテンションが下がるだろう。

ちなみに「男性のケツだけ星人」は、法律で禁じられている。
理由は、汚いからだ。

こうして西新宿と東十条は合併し、
「ゴッドランド」
と改名。

「ゴッドランド」が生まれた日には、多くの女性たちが「ケツだけ星人」をやりまくり、男たちは、全裸でちゃんちきおけさを踊り狂った。

そして全員、警察に捕まった。

当然である。

日本は法治国家なのだ。

おしまい


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