孤独な毎日(大爆笑エッセイ)

晩飯どきを少し過ぎた午後8時半頃。
常連たちでにぎわう定食屋。
私が入店すると、そこでわいわいとしゃべっている人たちがピタリと黙り込む。
中にはかなり酒も入っている者もいるのだが、私から目をそらし、ぎこちない感じ。椅子に座り直すふりをして私に背を向ける。

店主のおばちゃんは、咳ばらいをしながら今までついていなかったテレビを、リモコンでつける。私が来たことで店内が静かになったことをごまかすためだ。

「はい、いつもの?」

わざと明るい調子で、看板娘のみどりちゃんが私に注文を聞いてくる。が、顔はひきつっている。心なしか、額に汗をかいているようだ。

そこで私は、とつぜん踊り出す。

メチャクチャで、激しい踊りだ。

そして大声で叫ぶ。

「おまえの!」
「顔は!!」
「フランスパン!!!!!!!」

しばらくすると、巡査がやってくる。
「またか」という顔だ。

私は巡査にそっと肩を叩かれる。

そう、「もっとやれ!」の合図だ。

そして私は激しく踊り、叫ぶ。

「おまえの!」
「顔は!!」
「フランスパン!!!!!!!」

だれにも止められない。
夜はまだ長い。

これを午前二時くらいまで、やる。

おしまい

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