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感涙小説 ヒェンデルとプレーペル

ヒェンデルとプレーペルは、いじわるな両親に森に捨てられてしまった。
そのことに感づいていたヒェンデルは、スパイダーウェブを落として歩いたが、あれは射出後、三時間後にはあとかたもなく消えてしまう設定なので、すべて消えてしまった。
(知恵者ぶって、無駄なことしやがって)
プレーペルは心の中でそう思った。

森の中で日はとっぷりと暮れ、このままでは「妖怪トップリさん」に襲われてしまう。

目玉のおやじ「鬼太郎! あれは妖怪トップリじゃ。ふだんはおとなしい妖怪なんじゃが、森を人間たちが開発しようとして、怒りで目覚めてしまったんじゃ!」

どこからともなく、目玉のオヤジの声が聞こえてきたが、幻聴だった。

ヒェンデルとプレーペルは真っ暗な森の中をさまよった。
さまよっているうちに、「お菓子の家」が見えて来た。

「お菓子の家」は、壁はういろう、屋根は「チョコレイ島のモアイ」でできていた。
中から、いかにも「魔女」って感じのばあさんが出て来た。
ばあさんが何か言いかけたとき、瞬時にプレーペルはばあさんをビンタした。
「何をするんだい!!」
ばあさんは怒ったが、有無を言わさず、プレーペルはビンタ攻撃を続け、ビンタは握りこぶしになり、いつの間にかばあさんに馬乗りになってマウントパンチを何発も食らわせていた。
ばあさんは何か呪文を唱えようとしていたが、激しい連打に呪文が続かなかった。これでは魔法が使えない。
3000発ほどの、プレーペルの無呼吸連打によって、ばあさんは気絶してしまった。

「さあ、このお菓子の家を食べて腹を満たしたら、おれたちを捨てた両親に復讐しに行くんだ」
プレーペルの提案に、ヒェンデルはおびえきった。
「おまえみたいな乱暴なヤツと行動したくない!! 第一、こんな森の中で、どうやって家に戻ったらいいかわからないだろ!!」

言うことを聞かないヒェンデルに、プレーペルは殴りかかった。
しかし、ヒェンデルが華麗なフットワークでサッ、とプレーペルを避けると、気絶して倒れている魔女のばあさんにけつまづいて、プレーペルはお菓子の家の「ういろうの壁」に激突。

プレーペルはういろうに埋まってしまった。

真っ暗闇の中、そんなドタバタが繰り広げられているうち、物語は佳境へ。

しかしこのアニメ番組は打ち切られ、真の最終回は「ヒェンデルとプレーペル」ロマンアルバムの巻末に、簡単な概要だけが記されたという。

後に、ヒェンデルとプレーペルと魔女のばあさんと妖怪トップリはチームを組み、道路の中央分離帯で酒盛りをすることになるのだが、それはまた別のお話(タイトル「妖怪トップリのハチャメチャ・たまりま・大冒険」)
(完)

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