虹と盲目の少女

あまりにも透き通る
声は憂愁すら軽やかに
リズムに刻まれ消える
甘やかなモノクローム

消えようとしていた
面影は一層深く白く
どうしてかよりも
きっとだけを見たかった

やがて全て消えていくこと
誰一人残らず
白いベッドの上で
形だけの名前と成り果て

そこにあったのは
断絶よりも解放の光であった
いつも最後の音が途切れることを
皆が待つ故に
そして
生きて残る者は
本当に大切なことを
忘れようとするように
誤魔化すように
忙しく動き出す

しかし
雨上がりの太陽を背に
虹は輝く
その麓では町さえ七色に染まる

見よ
あの完全な色彩の
虹と盲目の少女を
かの絵に
一言語るべきも無し

果てず続く見えぬもの
夕暮れの夏雲の茜に染まり
軽やかな消えゆく雄大
徴は光と共にあり


盲目の少女(1856年)ジョン・エヴァレット・ミレー