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再会の日


巨大な装置が
答えの出ない演算を続けている
人類がほぼ滅び
文明が崩壊する最後のときに
希望または絶望という
展開または断絶という
答えを等価に演算し続けていた

少年が一人
その熱で暖をとっている
棲みかにしている
父も母も帰らないままに
それでも待ち続けている
希望の言葉と
絶望の言葉を
繰り返しながら

それでも夜明けは美しく
星空は煌めいた
装置の熱で食べ物が生まれていた
そこに最後に希望を満たし
子どもは眠った
その夜
装置は決断した
……希望……

しかし
次の日も
次の日も
少年は絶望した
いよいよもうダメだというとき
装置が覆いを割り
中からは
一人の美しい少女が起き上がった
(それまでの人類の
  最も上質のDNAを備えた)

少年と少女は出会う
アダムとイブの再会の日
世が開けるとき
人は敬虔に
そして知識は助けとなる

空に知的存在の影が近づいている
装置が発信した信号により
またこれから始まりが語られる

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