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「家畜の安寧 虚偽の繁栄」


なるほど、まろびでてしまったか。


――原爆の日につきつけられた「まなざし」。私たちはいかに「日本」が「不気味の国」として見られているか忘れている。



2023年の夏、「原爆バービーの(合成)画像」が極東の小島で炎上した。原爆投下をおもわせる背景の中、映画「バービー」役の女性が映画の「オッペンハイマー」(原爆の父)役俳優の肩に腰掛け、はしゃいでる画像だ。それに、映画「バービー」公式が、「It's going to be a summer to remember😘💕(忘れられない夏になりそう)」と喜悦にみちた反応をして炎上していた。



もちろん興行成績的な快進撃を続ける映画「バービー」に「原爆の勝利のイメージ」が組み合わさっているから喜悦なのだろう。この「原爆」のイメージとは、「アメリカの偉業」「科学の勝利」「野蛮な国に鉄槌」――そんなところだろうか。

彼等はいつもは「ポリコレ」にやかましいのに、むしろ「原爆バービーのコラ画像」は称賛の嵐だった。ワーナー・ブラザース・ジャパンが慌てて謝罪したのは、あくまで日本市場での「売れ行き」を懸念したのにすぎない。要するに市場原理の話だ。


だが、こうした「すれ違い」を可視化する、わかりやすい例があった。

これである。

引用元→https://twitter.com/UNIC_Tokyo/status/1688852552593330177


国連の広報センターが、おそらくは何気なく呟いてしまった「核兵器をOFF 平和をON」のツイートが炎上していた。
日付は長崎原爆の日、不穏な黒いオーラの漂う引用リプ欄を私が、おそるおそるクリックしてみると、やはりというか当然というべきか、大炎上していた。




「わしら被爆国だというのに、核保有国にいいやがれ」
「中国、ロシアの大使館に直接メンションしろ」
「核兵器をもっていない日本人に対して、なにドヤ顔で言うんだ国連?」

――とにかく多くの人々のいうことをまとめていえば、「日本語で日本向けに核兵器をOFF? 言う相手を間違えてやしませんか?国連の常任理事国(核保有五大国)たちにいえよ!」ということになるだろうか。

そもそも「原爆バービー」事件などは、「原爆=勝利のイメージ」のカジュアルな利用なだけで、それ以上でも以下でもない。

それよりも、「核兵器をOFF 平和をON」のほうは、「土人どもへ正しい平和思想を啓蒙する仕草」を、よりにもよって「被爆国」相手にやっているだけに、あれ?これはなに?となるわけだ。
これは「喧嘩うってんのか」的に終わらせてはいけない。この「すれ違い」にこそ本質がある。彼等が一体「日本人」をどのようにイメージしていて、一体どんな「善意という悪意」をもっているか、その「無意識」が表出している。



そうして私が調べたところ、この「核兵器をOFF 平和をON」は日本だけを相手にポストされており、他の国には呟いていない。つまり国連広報センター的にはむしろ日本向けのサービスとして画像を作り、あくまで善意から、確信をもってこの「核兵器をOFF 平和をON」を日本向けにいったのだ。ああ~なるほどね、これですよ、これ、分かった。アレである。やはり書かなくてはいけない。

なぜ彼等、国連広報センターが、よりにもよって「被爆国」に対して「正しい平和思想」を啓蒙するような仕草を自信満々でしてしまったかといえば、多くの「日本人」には理解し難いかもしれないが、それは彼等にとって溢れんばかりの善意なのである、つまり、

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