脇目ばかりを振るう

いまいち使い方を理解していない。よろしければよろしくお願いします。

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シン・エヴァンゲリオンの感想と考察

エヴァを観たので、感想と考察の覚え書き。 【注意】 ・平然とネタバレする ・なんの裏付けもない妄想垂れ流しの考察(断定している部分は根拠なし) ・劇中の時系列ガン無視 【感想/考察】 ・マイナス宇宙について ゲンドウが13号機と初号機とともに向かう地獄の門の先に広がる空間。 空間内には"ゴルゴダオブジェクト"なるもの?建造物?があり世界を思いのままに作り替える力がある。 エヴァの世界を思いのままに作り替えるとは、エヴァの世界を創造する、ないしは影響を与えるということ。 こ

    • 頑張れにチャック

      僕が他人に「頑張れ」と言うのは本意ではない。 「頑張れ」が使えそうな場面で、僕は違う言葉をあれこれ探す。 頑張ってる人に「頑張れ」と励ましても失礼だし、安易すぎるので口にしたくないのである。 もっとこの人の今の境遇に合わせた言葉があるはずだとしばらく考えてから喋るようにしている。 見つからないと歯痒い思いをする。 では、筆者は「頑張れ」が禁句になのかと問われれば、そうでもない。 度々、口にする。 僕が「頑張れ」を口にするときは社交辞令的になにも考えていない、要はくそどう

      • 彗星と箱庭

        姉とふたりで巨大な彗星を見たことがある。 その日は七、八年前の冬の寒い頃合いだった。 俺たち姉弟はニュースでしきりに報じられる大流星群を一目見るべく、実家の瓦屋根に登って観測会を開催していた。 雲ひとつないドーム状の夜空に数秒置きで細い光線がたくさん走る。 流星は達人の居合切りのごとく途轍もない速度で闇を切り裂くので、とても願い事を三度唱えるなどできないと思った。 小学校低学年だった俺は流星群もさることながら、普段寝ている時間に起きていることに興奮していた。 起立したま

        • 退屈な私と退屈な街

          出勤中、乗り換えの駅に降りると同時に「退屈」も舞い降りた。 私は子供のころから突如「退屈」に支配されるときがある。 一度、この感情に襲われるとなにもかもを放棄してしまう。 そんな日はなにかと理由をこねくり回して学校を休んだものだ。 大人になっても「退屈」は襲来し、「会社にいきたくない!」と強烈な衝動に扇動される。 私は勤める会社に電話をかけ、急な体調不良を訴えてみる。 日頃のおこないが良かったらしく、あっさりズル休みを取りつけた。 もしくは諦められているのかもしれない。

        シン・エヴァンゲリオンの感想と考察

          【中編】若者たちのすべて 完

          「それでは第二起動条件へ移ります」 「まだあんのかよ」 俺は辟易して言った。 メイは唇を開けたり、閉じたりしはじめた。 起動の第二条件は鯉のモノマネなのかと思案していると、メイは俺と絡まった指に力をこめた。 「僕はジュンちゃんが好き、大好き!」 「なんじゃそりゃ!」 「声紋承認、第二プロテクト解除シマス」 「えええ……」 起動条件は鯉のモノマネではなかった。 突拍子もないメイの告白が正しい起動条件だった。 「はあ、恥ずかしかった」 「俺のほうが万倍恥ずかし

          【中編】若者たちのすべて 完

          【中編】若者たちのすべて 23

          タイムマシンの製造なんて、にわかに信じがたい。 しかし、アフターエフェクトを施されたメイの発明品となれば疑う余地はない。 パソコンの構造もあやふやで、漫然と消費するしか能がない俺には、天才のとんでも発明を非難する権利など端からないのだ。 それに未知との遭遇に心躍らずにはいられないのは男の性である。 「どうやって動かすんだ?」 「よろしい、お教えしましょう」 メイは高尚な口ぶりで、悠然と立ち上がった。 タイムマシンの黒い球体を押し出すように、腕を水平に伸ばす。 俺は固唾

          【中編】若者たちのすべて 23

          【中編】若者たちのすべて 22

          「ジュンちゃん」 幼馴染の声がした。 俺の胸中が激しくざわめく。 やや懐疑的に、けれど確信をもってゆっくり顔を上げる。 「メイ、約束するなら時間を指定してくれ」 「決めちゃったら、ジュンちゃんこないかもしれないじゃん」 「策略家の悪女め」 メイは息を切らしながら、にへへといたずらっぽく笑った。 俺は二日ぶりに邂逅したメイをまじまじと見た。 少年みたいに短く切られた栗色の髪、吸いこまれそうな大きな瞳、滑らかな白い肌に薄く浮かぶそばかす、紛れもなくメイだ。 メイだ。

          【中編】若者たちのすべて 22

          【中編】若者たちのすべて 21

          息が苦しい。肺が破裂しそうだ。 太ももが重い。筋肉が千切れそうだ。 それでも俺は左右のペダルを全身全霊の力でこぎ続ける。 商店街を抜け、街路を縫い、小高い丘を登り、リュウコツ川沿いの遊歩道を疾駆する。不思議と誰ともすれ違わなかった。 信号機は常に青を灯していた。 追い風が前へ前へと背中を押す。 「自分が間違っていた。俺が悪かった」と猛省するつもりなどさらさらない。 俺は俺の思う最良の楽をしたかっただけだ。 諦めは思考を停止させて、煩わしい面倒を放り出すことができる。 終

          【中編】若者たちのすべて 21

          【中編】若者たちのすべて 20

          俺は自転車をだらだらこいでフクジュ商店へむかう。 少し寒い街路に所々、通行止めの看板が片づけられずに放置されている。 空に浮かぶ雲がずんずん彼方へ流れ、大気は草木の匂いをふんだんに含んでいる。 メイが地球に滞在する最後のひと時は、楽しかった思い出が鮮明に寄り添っているだろう。 メイの笑顔の先に過去の俺がいる。 ふたりは手と手を取りあい航宙艦に乗りこんで、宇宙でも仲睦まじく暮らすのだ。 それだけで、俺は恐悦至極だ。なんの不満もない。 フクジュ商店の前で自転車のサドルを下

          【中編】若者たちのすべて 20

          【中編】若者たちのすべて 19

          目覚めると学習机に伏せたまま、俺は眠ってしまっていた。 伸びをすると関節がぱきぱきと鳴り、節々が痛む。 「いい天気だ」 背もたれに寄りかかり、窓を眺める。 絶好の出航日和、メイが大宇宙の海原へ旅立つ日にお天道様は華々しく凱旋していた。 強大ななにかに翻弄され、引き裂かれる若者たち。 今までにどれほどの男女がこんなベタな恋愛をしたか知る由もない。 さようならをする前に、メイへ感謝を述べておけばよかった。 人嫌いなメイを守っているつもりが、人を遠ざけようとした俺を彼女は守

          【中編】若者たちのすべて 19

          【中編】若者たちのすべて 18

          大雨はなおも勢いを増す。 学習机にぽたぽたと滴が垂れる。 雨漏りかと天井を見上げるけれど、あらゆる物体が水中みたいに歪んでしまって判別できない。 「なんだ」 俺は苦笑した。 「雨漏りしているのは俺か」

          【中編】若者たちのすべて 18

          【中編】若者たちのすべて 17

          両親が搬送された病院へむかうタクシーの中、俺は車窓から流れる景色を眺める。 嵐はとうに過ぎ去り、嫌味なほど清々しい快晴であった。 澄んだ風になびく植物も、大空を羽ばたく鳥たちも皆、活き活きと生を謳歌している。 隣に座る祖父は口を一文字に紡ぎ、じっとフロントガラスを見据えていた。 祖父の対応は迅速かつ冷静であった。 俺の通う小学校に欠席を伝えると、すぐにタクシー会社へダイヤルを回す。 祖父は動揺せずにいつもと変わらず毅然としていて、俺の悲しみをいくらか紛らわせてくれた。 し

          【中編】若者たちのすべて 17

          【中編】若者たちのすべて 16

          両親が亡くなったのも、こんな大雨の日だった。 当時、俺は小学校低学年で、季節は夏だった。 母はお腹に第二子を授かっていた。 出産を間近に控え、満月のようにまんまるになった腹部を母と父が愛おしそうに撫でる情景が目に焼きついている。 俺たち家族は慎ましくも小さな幸福でいっぱいになった狭い一軒家で、毎日をぽかぽか過ごしていた。 世界の終わりでさえ、俺たちを邪魔する手立てはなかった。 小さな幸福を転覆させる大きな不幸は前触れなく訪れるらしい。 町が激しい雷雨に見舞われた日が

          【中編】若者たちのすべて 16

          週末日記 2018.6.24~6.30

          ■ 2018年6月24日(日) ・映画「アイアン・スカイ」 ティモ・ヴオレンソラ監督 ハイパーくだらない。 シュワちゃんのトータルリコール並みにむちゃくちゃ。 パロディやりすぎ。 だが、それがいい。 実は風刺がきいてる政治批判の深い作品とか阿保な感想抱くやつは本当に阿保だと思う。 全部ギャグ。シンプソンズ的な。 宇宙空間に飛行船は目からウロコ。 続編が制作予定らしい。 エンディングでおもいっきりと地球で核戦争はじまってましたけど。 「ドイツの科学力は世界一イイイイ!!!

          週末日記 2018.6.24~6.30

          【中編】若者たちのすべて 15

          外はどしゃぶりの雨が降っている。 今朝の天気予報通り、嵐が町に直撃した。 曇天の雲は厚い壁となって太陽を遮り、雨粒は屋根や林に激しくうちつけて、町中を騒がしく奏でている。 俺は寝巻姿で自室に篭っていた。 学習机に頬杖をついて、窓枠にはめられている磨りガラスを眺めている。 窓ガラスを無数に伝う水滴は木の根っこみたいに分岐していき、やがて消えてしまう。 何度も何度も伝わっては消える。 メイが地球からいなくなる。 いつかその日がきても、俺は茫然自失に陥らないよう、メイと友人

          【中編】若者たちのすべて 15

          【中編】若者たちのすべて 14

          翌朝、遂行された牛歩戦術は熾烈を極めた。 天候は芳しくなく、小雨が降っている。 天気予報では今晩、嵐になるらしい。 暇を持て余す俺は雨宿りと称してバス停の待合所で文庫本を読み、自販機で温かいミルクティーを購入して暖をとらなければならかった。 やっと校門に到着すると時刻は正午を過ぎていた。 四限終了の五分前、昼休み目前だ。 校内は耳が痛むぐらい森閑としている。 地球が滅亡したら、こんな静寂が永遠に訪れるのだろうと思った。 終業のチャイムが鳴ると、地球は息を吹き返し、がや

          【中編】若者たちのすべて 14