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就活の話~地方×大学院生⑥就活してると学業に集中できない問題について編~

正に「そ!れ!」と言いたくなる記事が出ていました。

こんな記事を、大学の教員が書いてくれたことにとても感謝しています。
この記事がどんどん広まって、就活に関わる人がちょっと立ち止まってあり方を考えるきっかけにしてくれることを願います。

今日は上の記事を引用しながら、つらつら私の感想や細かな現状について書いていきたいと思います。

〇就活情報企業の煽り

就活するためには、求人サイトに登録します。そうすると、じゃんじゃかメールが届きます。

どんなメールかって言うと、↓こんなの(太字は筆者によるもの)。

「メールボックスにすごいありますよ。200通くらいのメール」「メールを見ると不安になります」「僕は無視していますけど」。届いたメールを見せてもらうと、商品の勧誘と見間違えるような、煽り文が並んでいた

お急ぎください もう採用活動は始まっています!」
「*就活ルール撤廃* その影響によりすでに内定を出している企業も・・・ そこで、大手内定実績を誇る“特別プログラム”をご用意しました!」
「激戦企業から【サマーインターン特別選考枠】や、【シークレットセミナー】などの個別案内が届く○○のご紹介」
出所: 大学生のインターン参加が急増した結果、ゼミ合宿ができなくなった話

多くの就活生は、学部3年時or修士1年時に人生で初めて就活をします。
高校受験や大学受験のようなもので、類似するものを人生で経験することってあまりないんじゃないかな。

故に不安です。
人の体験談をいくら聞いても、所詮は他人の話なので、「こうやったら絶対に大丈夫」という確証が得られません。
応援してくれる人はいても、結局は自分ですべて判断していかなければなりません。

そして、以前よりも就活が多様化しています。
従来のやり方に加え、上のメールの通りに早期選考しているところもあるし、逆求人型サービスを使って求人しているところもあります。
私は20卒ですが、21卒からは経団連によりルールが撤廃されるので、ますます混乱の中でやっていかなければならないでしょう。

そんな不安に寄り添う、もとい、不安を煽ってくるのが就活情報企業です。
全ての企業がそうとは言いませんが、一部の企業は確かにこんなメールを送ってきます。

一見ぎょっとするようなタイトルで、とにかく中身を読ませようとしているもの。
敢えて短文で、メールを読んだだけでは詳細がわからず、URLにアクセスを誘うようなつくりになっているもの。

普段の自分なら流すようなしょうもない手口でも、「内定出るかな」「就活ってどうやったらいいんだろう」という不安を抱えていると、ついついメールを開いてしまうのです。
しかも、どうやっているのかわかりませんが、夜中でも早朝でも、大量にメールが届くため、次第に処理しきれなくなっていきます。
メールボックスにメールがざくざく溜まっているだけでもストレスです。

〇選考に関係あるのどうかよくわからないイベント

大抵の企業は説明会を開催してくれますが、それだけじゃない。
インターンや、時には「面談」や「相談会」といった名目で呼ばれることもあります。
これがまた曲者なんですね…。

「インターンの募集要項とかメールに『このインターンシップは本選考とは関係ありません』って必ず書いてあるんですよ。でも、そんなの嘘だってみんな知ってますよ。アハハハ(笑)」
出所: 大学生のインターン参加が急増した結果、ゼミ合宿ができなくなった話

企業が開催するイベントの中には、「本選考には関係ない」と言いつつ、参加すると有利になるものもあります。
正直に関係しますって書けばいいのに…と思いますが、経団連のルールに則っていると、時期から外れて選考していることを公言できないため、このような手段に出るのです。

中には、本当に本選考には関係なく、単に就活生向けに就活ノウハウを提供したり、業界について知ってもらったりすることを目的にしているイベントもあるでしょう。
でも全部が全部そうじゃないし、見分けるのも難しい。
そうなると、行けるだけたくさんのイベントに行っておこうかな…と思ってしまうわけです。

日本的な「本音と建前」の文化が見えて、嫌な気分になりますね。

〇就活が長すぎる問題

私が現状に関して最も不満を抱いているのは、就活している期間が長すぎることです。

就職コンサルタントの福島直樹氏は、学生も人事も「『14カ月間』長期化する就活でヘトヘト」という記事を書いている。

それによると、現状の就活は大学3年の5月に就職ナビへの事前登録が始まり、夏、秋、冬のインターンを経て、保守的な日本企業では大学4年6月に内定が出て終わる。早期に就活を終える学生もいるが、大学4年の6月まで継続する人も多い。この場合、就活はなんと実質14ヵ月間も継続することになる、という(4)。
出所: 大学生のインターン参加が急増した結果、ゼミ合宿ができなくなった話

この記事の筆者のゼミでは、ゼミ合宿を開催するはずだったのに、ゼミ生が参加する夏季インターンシップの日程がわからないために予定を立てられず、ゼミ合宿の開催が難しくなってしまったそうです。
記事中にありますが、ゼミ合宿の内容だって力を入れていて、きっと大きな学びになったろうな…という内容でした。

学びたい人が学びたくてお金を払って大学に来て、合宿してまで学びたいと言っていたのに学ぶ機会を喪失する。
これが、これが社会の損失でなくてなんでしょうか。

かくいう私は1月くらいからちょろちょろ就活を始め、3月中旬から本格的に就活していますが、それでももう半年以上が過ぎます。
その間、自分の研究に落ち着いて取り組めた時間はほとんどありません。

自己分析に適性検査の勉強、説明会への参加を含む企業研究、そしてES作成に面接準備、地方なら面接場所までの移動と、就活には多大な労力が掛かります。
研究したくて大学院に来たはずなのに、何してんだろう…と呆然とすることもあります。

でも、しないと内定出ないんです。
なぜなら、就活は相対評価で、多くの就活生は全力で就活に取り組むから。
自分だけやっていなかったら、企業からはやる気や熱意の面で劣っていると判断されます。
数値での絶対評価だったら合格ラインを超える程度に労力を調整できますが、そうもいかないんですね。

理系大学院生で専門性を活かして就活する場合、ライバルがそもそも少ないということもあり、もしかしたら、そこまでの手間は掛からないかもしれません。
文系大学院生の場合、専門性を活かして就活することは難しいので、学部生・専門に関係なく就活する理系大学院生の全員がライバルになります。
ライバルが多いと必然的に競争が激しくなりますよね。

長い就活で失う機会は他にもある。留学を希望する学生から、「帰国時に就活に間に合わない」という相談をよく受ける。
(中略)
就活が早期化・長期化し、留学しにくいし、学業にも集中できない。海外生活を体験したり、研究や学問の楽しさを知るには時間が必要だ。
出所:  大学生のインターン参加が急増した結果、ゼミ合宿ができなくなった話

こんなこと読むと泣きたくなります。
働き始めたら留学できないわけではないでしょうが、学生の内の方が圧倒的に難易度が低いでしょう。
就活を気にして留学できないなんて、何回も言いますが社会の損失です。

長期化のもう1つのデメリットは、長期間に渡ってストレスにさらされることです。
14ヵ月も「将来どうなるんだろう」「仕事見つかるかな」というストレスにさらされるなんて、しかも学業も抱えていなくてはならないなんて、怖くないですか?

私なんかたった半年ですが、「長いな…」とじわじわエネルギーを削られています。
ただでさえ修論もあるのに、就活のおかげで常にストレスフルです。
就活のおかげでアルバイトに出られなくて金銭的にも厳しいです。

しかもそのストレスは、自分だけで解決できるものじゃないんです。
「企業」という、あくまでも他者によってしかそのストレスからは解放されません。

そんなことくらい耐えられないと働けないという声もあるでしょう。
でも、本当に有用で、必要な困難なんでしょうか?
学業の時間を削ってまで就活に時間を割いて、得るものの少ない困難に耐えるメリットって、何でしょうか?

こんなに長期間を採用活動に費やすなんて、企業の人事にとっても負担なんじゃないのかと思います。
人事ってただでさえやることが多い上に、企業規模によっては1人でやっていたり、そもそも人事部を設置していなかったりです。
新卒採用のためにチームを組んでいる場合もありますが、その場合は本業が他にある人たちってことですよね。

現行の就活は、企業も学生もあんまり得していないシステムな気がするのですが…どうやったら変わるんでしょう。
数社だけ変わっても、就活生が混乱するだけだから…結局は何らかの方法で、一気に変革が起こるのがいいような気がするのですけれど。

〇まとめ

じゃあ、どうすればいいのか…ということについては、就活が終わってから改めて書こうと思っています。

就活の目的は、至極簡単に言えば下のようにまとめられるはずです。

企業…求める人材像に沿う学生を獲得する
学生…学業と両立/を優先しつつ、自分の要望に合った企業に就職する

この目的に、今のシステムは本当に沿っているのかな。
今まで行われてきたものだからと黙って従わず、一歩立ち止まって考える時間を大切にしたいです。

~就活について、他にもnoteを書いています~

地方から東京への就活にまつわるあれこれ

煽られるのにも疲れた、という話


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最後までお読みいただきありがとうございます。 これからもたくさん書いていきますので、また会えますように。