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〜シード期から100名規模の企業の組織拡大フェーズにおける面接設計【初級編】〜面接設計時に考えるべきこと

こんにちは!
ポテンシャライトの庭田です!

12月は「Potentialight Advent Calendar 2023」と題して、25日まで毎日(営業日)ブログを公開する企画を実施中です!

今年度、当社のブログ公開数は「累計500本」を突破しました!
このままアウトプットのスピードを緩めることなく、今年を締めくくることができるよう本企画を進めています!

スケジュールはこちらです 👆 

当社メンバーからの発信をぜひお楽しみください!
全てのまとめnoteは こちらでは、本ブログをご覧ください。

当社のご支援する企業さまは、ベンチャー / スタートアップ企業さまから大手企業さま、100名規模の中堅企業さままで多岐に渡ります。特に最近増えているのが、シード期/シリーズAの投資ラウンドフェーズの企業さまです。

そのため、今回は「シード期〜100名規模の企業が組織拡大フェーズで何を考えてどう面接設計をしていくべきか」という課題を整理し、その背景と打ち手について記載したいと思います!

当社の見解をもとに記載しますので、ぜひ最後までご覧ください。


0. はじめに

企業さまがシード期から組織の人数が100人になるフェーズで複数回の「壁」に直面する、という話を耳にしたことがある方も多いと思います。

一般的に言われる「壁」は以下です。

30人の壁・・・成長ポテンシャルのある事業がつくれるか
50人の壁・・・組織を率いることのできるCxOクラスを揃えられるか
100人の壁・・・CxOクラスに負けずとも劣らない部長・事業責任者クラスを揃えられるか

corner社「30人の壁・50人の壁・100人の壁」を越える組織づくりとはより

この「壁」が生じる要因を深掘りしてみると、事業成長に対して内部環境が整っていない、事業成長を推進する人材を育てられていない、など様々です。

上記の「壁」を採用観点で捉えた際に、入社する社員が定着するか、定着した後に活躍していただけるかという問題(=入社後のミスマッチ)にも置き換えられると思います。

なぜ組織が拡大するフェーズで、入社後のミスマッチが発生しやすいかというと、その問題の1つに、面談 / 面接の面接官の担当変更と、変更に伴う選考基準の”揺らぎ”があると感じています。

創業期は社長のマンパワーでうまく回っていた組織に、専任人事の配置、面接官の増員によって、面接における判断基準の不明瞭さが出てきます。

例えば、社員数が5〜10人の企業さまであれば、社長のマンパワーで求職者さまを「入社させるか / 否か」を決定している組織があったとします。
仮に社員数が30人フェーズになった場合、社長の一存では入社を決めづらいことがあります。理由は現場リーダーと社長との目線の乖離が発生するためです。
タイミングによっては、社長が内定を決めるのではなく、現場リーダーが判断するのが是である場合もあります。

それでは面接について、「どのようなタイミング」で「誰に」任せれば良いのでしょうか?

1. 面接官を変更するタイミング(When)

どのようなタイミングで面談 / 面接におけるCxOクラスからメンバーへの権限委譲を考えるべきなのでしょうか?

結論としては、企業さまの採用ポリシー次第かと思っています。
当社もカジュアル面談担当や一次面接官を誰にするかにはさまざまな変遷がありました。

そのため、今回はオーソドックスな面談 / 面接の権限委譲パターンを記載していきます。

1-1. 月間の面接人数が30件を超えたら

面接件数で権限委譲を決定する場合は少ないですが、わかりやすい数字として把握いただきやすいため記載します。

1日に1.5件(営業日換算)以上ある場合には、面接の裁量/責任を他のメンバーへご依頼することを視野に入れていただいても良いかと思っています。
理由は、定常でそれだけ面接があるということは、一次面接担当のリソースを使いすぎてしまうことです。

1名入社決定をするために必要な1次面接数は13件程度だと当社は考えています(過去の各社の歩留まりの平均値)。
仮に1日 1.5件の面接をする場合、1ヶ月で営業日が20日あるとして、1.5件 × 20日=30件の1次面接が1ヶ月で実施されます。3ヶ月そのペースで1次面接を実施すると、90件。90 ÷ 13件=6.9名。

つまり3ヶ月で6.9名の入社決定を見込める場合は、権限移譲を進めても良いのでは?と考えています。

当社メンバー(リーダークラス)でも1週間に5〜7名(1日1.5面談)のほどの1次面接があると、業務面、マネジメント面も逼迫する傾向にあるため、普段の業務の質担保の意味でも、1ヶ月に1次面接が30件以上の場合には、現担当(一次面接が社長である場合は特に)から他の方に面接の権限委譲をお勧めします。

1-2. 社員数が増えてきたら

社員数が増えてきた際に権限委譲することは一般的です。
例えば、

①事業数増えて事業部が分離した or 社員数が増えて事業部ができた(10人前後のタイミング)
②事業部の中でも部署が増えてきた(30人前後のタイミング)
③部署の中でもチームが増えてきた(50人前後のタイミング)

社長以下の組織がフラットの場合には、社長が採用周りの権限を全てもつことがありますが、組織が細分化されてきた場合、成長責任は企業全体から、事業部に転嫁していきます。
したがって、権限も社長から別の場所に委譲することを検討したほうが良いと考えています。

ここでは面接官の変更タイミングである、「いつ」見直すのかを記載したので、次は「誰に」面談 / 面接を権限委譲していくのかを記載します。


2. 誰に権限委譲するか(Who)

本項において、権限委譲の意味は「一次面接通過 / 最終内定通知を決める権限」のことを指すとします。
例えば、社員数が20人以下のタイミングであれば全て社長判断で合否(内定)を判断する企業さまもいらっしゃいますし、組織が大きくなればなるほど、現場社員へ合否(内定)の判断を委ねる企業さまもいらっしゃいます。

そこで権限移譲先を「誰に」するのが良いのかについて記載します。

2-1. 全て社長が権限をもつ

従業員数が100名規模になったとしても社長が「一次面接通過 / 最終内定通知を決める」権限を持ち続けるパターンはあると思います。

ただ、メリットがある一方でデメリットも存在します。

◆メリット
・社長自身が判断をすることで、企業運営に必要な想いがあるかどうかを判断することができる
・肌感覚で企業に合わない求職者さまの入社を食い止めることができる
◆デメリット
・社長の目が届く限界が来てしまい、工数的に逼迫し採用周りの対応に遅れが生じる可能性がある
・現場が求める人物像と社長の目線のずれが生じてしまう場合があり、現場メンバー / 入社メンバーそれぞれへの不信感へつながる可能性がある

2-2. 事業部 / 部署のマネージャーに権限委譲する

内定(合否)を判断する権限委譲先は、各事業部長もしくは各部署のマネージャーでも可能かと思います。

2-1で記載した内容と同様に、各事業部長もしくは各部署のマネージャーに権限委譲をした場合のメリット・デメリットを記載します。

◆メリット
・各事業部もしくは各部署が入社メンバーの成長に責任をもつこととなるため、結果的に新メンバーの成長に一番コミットできる
・社長 / CxO陣から現場への権限委譲が進むため、より工数的に余裕のある各事業部 / 各部署毎での面接実施数を増やすことができる
 − 面接数が増えることで、安定して新メンバーを採用できるようになる
 − 十分な面接数を担保できることで、採用決定につながり、結果的に社員数100名以上の企業に成長できる可能性がある
◆デメリット
・各事業部もしくは各部署ごとに採用したい人材像が一人歩きして、企業全体でみると統一感のない組織になる可能性がある

企業全体でなぜ統一感が必要なのか。それは特に30人規模のスタートアップ / ベンチャーフェーズでは、メンバー一人ひとりが企業「Mission」「Vision」へ共感することが、事業成長を促し、個として独立しながらチームとして1枚岩になれる組織を作るからです。
しかし、各事業部もしくは各部署が「業務スキル」を優先して採用した場合、「Mission」「Vision」への共感が薄れてしまい、内部的に意思統一を図ることが難しくなる可能性があります。

次は「どのように」面接を設計するか記載します。

3. どのように面接を設計していくか(How)

そもそもなぜ面接設計をするかですが、
求職者さまとの限られた面接回数、という接点の中でより精度高く求職者さまを「見極める」ことができるからです。

一般的に、一次面接:60分+最終面接:60分の計120分で求職者さまを見極める必要があります。
もし仮に見極めポイントを抑えられておらず、感覚値だけで求職者さまを評価し、最終的に入社してしまうと、入社後のギャップ(企業側からの期待値のずれ)につながる可能性が高まります。
そのため、「どのタイミングで」「何に焦点を当てて」見極めるべきなのかを面接設計していく必要があります。

当社では、面接においての求職者さまの「見極めポイント」を大きく3つに整理しています。
・人間力
・価値観
・業務スキル

詳細のブログは以下です。

特にアーリーフェーズであれば、採用ターゲット( = 求職者さま)が即戦力であることも重要ですが、人間力/ 価値観も同等に重要な要素だと考えています。

こちらも合わせてご参照ください。

3-1. 各面接フェーズで見極めをしたい項目を設定する

再掲しますが、各面接に合わせて「何に焦点を当てて求職者さまの見極めをするか」をあらかじめ設計する必要があります。

なぜ、見極める項目を絞って面接を実施するのか。1回の面接の中で求職者さまのことを全て「見極め」ようすると、見極めきれない項目が発生してしまうからです。

具体的には、「業務スキル」での見極めが漏れてしまった場合、ミッション/ビジョンへの共感など他の項目がマッチしていたとしても、入社後に「スキル不足」が課題となり現場への大きな負担になってしまうことも想定できます。この場合は、結果として短期離職の可能性も高まってしまうのではないでしょうか。

そのため、まずは「業務スキル」が採用したい職務要件を満たしているか、つまり現場で活躍できるかどうかを多方面から質問を通して「見極める」ために、一次面接では見極め要素を「業務スキル」に寄せてよいと考えています。

当社から企業さまにご紹介している質問例を記載します。

図1:質問例

表内に記載されてる質問に対して、求職者さまの回答方法をそれぞれの質問ごとに5段階で評価します。

合計点で何点以上を「通過」にするというような基準や、ある質問に対して2点以下の評価であれば、「お見送り」にするなどの選考の合否ラインを整えておくことが、求職者さまを明瞭に判断できる軸となります。
(例えばAの質問だけ3点未満の場合は、どんなに全体の点数が良かったとしてもお見送りにするなど)

1次面接で見極めをしなかった「価値観」や「人間力」は、最終面接(社長/CxO面接)で深く聞くことをおすすめしています。求職者さまの「価値観」と自社の「価値観」の入念なすり合わせを行いましょう。

最後に、当社での「価値観」や「人間力」を見極めるために実際に質問している内容を以下に記載します。

1. MVへの共感
      ・ HR業界のジレンマについての原体験はございますでしょうか?
2. 仕事への価値観
    ・ (仕事)これまでで1番成果を挙げた実績とその成果を上げるために実施したアクションについて教えてください
3. 素直さ・謙虚さ(チームワーク)
    ・どのようなメッセージが動機になってあなたは動きますか?例えば論理的なメッセージなのか、感情的なメッセージなのか、など。
    ・ 率直にいって、人の意見を受け入れるタイプですか?それとも指摘するタイプですか?

3-2. 各面接でグラデーションのようにヒアリングしていく

3-1では各面接ごとに、一次面接は「業務スキル」のみ、最終面接は「価値観」と「人間力」を見極める方法を、ご紹介をしました。

本項では、各面接(一次面接と最終面接)で見極めポイントを全て確認するが、それぞれの面接で見極め項目に比重をつけるイメージです。具体的に、一次面接では「業務スキル」寄り。最終面接では「人間力」「価値観」寄りでヒアリングすることをお勧めしています。

順番が3-1と似通うのは、一次面接は通常現場メンバーが行うことが多いからです。

「見極め」項目を面接ごとにグラデーションのように重みづけを変えてヒアリングすることで、3つの見極め要素の他に、求職者さまの意見/意思の一貫性も見極めることができます。

あらかじめ、面接でヒアリングする項目を「どれぐらいの割合で」深掘りをするのかを設定することで、面接官側も気持ちの余裕が生まれます。その結果、最終面接官は、一次面接の引き継ぎ事項などからの「憶測」に左右されず、求職者さまの「率直な想い」や「事実」を適切に評価することができます。

具体的には以下の図のように、各面接における見極め項目の重みづけを設定します。
(各面接10段階で分けて、重要な項目ほど数字が大きくなります)
※ 当社では、カジュアル面談に対して見極め要素を入れることを推奨していないため、こちらの表の中に記載をしておりません。

(図2)各面接フェーズでの見極め割合

補足として、「ポテンシャル採用」であれば、自社の業務領域における「業務スキル」をほぼ持ち合わせていないことが想定されます。その場合、面接では「人間力」と「価値観」の見極めに寄せて良いと思います。

特に重要なのは「価値観」の見極めについてです。最終面接はもちろん、オファー面談でも自社と「価値観」がマッチしているか、すり合わせを入念に実施することをお勧めします。いくら「人間力」がある求職者さまだとしても、「価値観」のすり合わせができない場合、そもそも企業カルチャーに馴染めない可能性が高く、短期離職などの懸念が残るためです。

「即戦力」採用においては、一次面接で「業務スキル」に重きをおいて見極めを行うことをおすすめします。
まずは一次面接で「業務スキル」の見極めに軸足をおき、具体的に現在の業務や過去の成功事例/失敗事例を中心にヒアリングを行います。その中で「人間力」や「価値観」で気になることがないかを感じとり、業務のミスマッチだけではなく、カルチャーミスマッチがないかを確認します。

続いて最終面接でも「業務スキル」のヒアリングは行いますが、「人間力」「価値観」の比重を上げて、カルチャーミスマッチがないように注意深くすり合わせを行っていきます。
万が一、最終面接で「価値観」のすり合わせが足りないと感じた場合には、オファー面談もしくは現場面談(現場のメンバーとの顔合わせ面談)を1つ追加して会話の機会を設けることも有効な施策です。


4. 採用に関わる人が増えることへの落とし穴

「一次面接通過 / 最終内定通知を決める権限」が社長から現場メンバーへ移譲したり社員が増えて採用選考に関わるで面接官が増えたりすると、その分関わるメンバーそれぞれのの「解釈」が発生してしまいます。

それは価値観の違いによって発生してしまうものなので、仕方がないことなのですが、
採用領域においては「事実」と「解釈」は慎重に取り扱うべき情報です。

皆さんも経験があるかと思いますが、以下の会話を想像してみてください。

採用担当「当社への内定承諾の意向が強いみたいですよ!」
代表  「それは嬉しいことだね、内定通知書を早く送付しよう」
採用担当「ありがとうございます!採用決定まで進めます」

〜〜求職者さまより内定辞退の連絡〜〜

採用担当「内定辞退でした。理由は他社に内定を決めたとのことです。」
代表  「内定承諾の意向が強いと聞いていたのだが、どういうことかな?」

内定フェーズにおいて、求職者さまの「内定承諾の意向が高い」と聞いていたけれども、結果的には他社への入社を決めてしまう(内定辞退)という経験はございますでしょうか。

上記問題の要因は、採用担当の方が何を根拠に「内定承諾の意向が強い」という「解釈」を持ったのかがうまく共通認識を持てていないことです。

(「事実」と「解釈」を分けないことへの怖さについて当社山根が執筆しているのでこちらをご参照ください)

採用担当の方が求職者さまの「内定承諾の意向が強い」と解釈した背景として、可能性があるものは以下が考えられます。

▼ 採用担当の方が求職者さまより聞いた内容
・貴社は第一志望群に入っています
・内定をいただければ入社したいです
・希望年収を下げてでも貴社に入社したいです
・他社の選考進捗を全て辞退して最終面接に望みます

いずれも「入社志望度」としては高いのですが、自社への温度感が違うことがご認識いただけると思います。
このことから、「誰が」「いつ」「何を言ったのか」を「事実」として整理することが重要です。

社内での情報共有は、以下のポイントに注意していただければと思います。
・「数値 / 評価」で把握する(志望度度合いを、「80%」や「A評価」などで把握する)
・「主語」が誰で、「いつ」話された内容なのかを明瞭にする
・「事実」なのか「意見」なのかを明瞭にする

5. まとめ

いかがでしたでしょうか?
以下本記事のまとめを記載します。

・面接官を変更するタイミングは30件/月以上になったら
・組織が拡大してきたら、社長 CxO陣から現場サイドに内定通知の権限委譲する
・「見極め」項目を明瞭にし、各面接でどこに比重を置いて「見極め」をするか基準を作ること
・面接官など関わる人が増えるときほど、「事実」と「解釈」を切り分ける

シード期から大きくなるタイミングの企業さまの面接設計の1つの参考材料としてお役に立ちましたら幸いです。
長文でしたが、最後までご覧いただき、ありがとうございました!

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