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縁起物のフクロウ

 少し用事があって、百貨店に行った時のこと。
 催事場に、大量に並んでいる粘土細工が目に入った。
 その量が凄くて、吸い寄せられるように立ち寄ると、微妙な物からハイクオリティな物まで、ジャンルもファンタジーから、赤鬼青鬼、ひょっとこみたいなものまである。
 情報量が爆発している感じ。

 その中でひと際目だっていたのが、フクロウの置物だった。
 他のを見比べても、段違いの出来栄え。
 その近くに並んでいる蛙と比べたら、やっつけ仕事と、職人の本気くらいの差があった。
 手に取ってまじまじと見る。
 楽器を持っていて、大きさ的にチェロにも見える。

 父はその昔、ジャズバンドでダブルベースを弾いていた。
 ピアノもたまに弾いて、歌も歌っていたらしい。
 ピアノを弾いている写真は、見せてもらったことがある。
 チェロもやってみたいと言っていたのに、日々に追われて結局チェロはやらずじまいのようだが、ピアノは初孫の姪っ子に教えていた。
 残念なことに、ピアノをとフクロウの作品は無かった。

 作っている人は元々は、粘土細工の先生をしていたそうで、よく喋る気さくなおばあちゃんだった。
 色々なお話をしてくれて、楽しいひと時だった。

 その作品の多彩さと、統一感がない所と、お話の内容が多岐に亘っているのとがリンクしていて、面白いなと思いながら、包んでもらったフクロウの置物を受け取った。


 これからの一年、色んな福がきますように。

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