伴奏ピアニストになるには

というワード(伴奏というワードに抵抗がありつつ)でググッてみると、、

<伴奏ピアニストに求められる技術や就職

伴奏ピアニストの活躍の場は意外に広く音楽学校、オペラハウス、バレエ学校などでも雇われています。ただ求められる技能は極めて多様で、まず初見で弾けなくてはいけない場合が多いです。さらに指揮者や伴奏する人のタイミングに合わせ弾く力も求められます。初見で移調ができれば尚良しです。

それ以外には即興ができる方はお仕事の幅も広がることでしょう。伴奏ピアニストといってもどこでどういう演奏をするかによって難易度も異なりますが、いずれにせよ読譜力と伴奏の練習が不可欠です。>

というのが、出てきました。

それだけ!?

おっと、こちらは良いページが見つかりました!

http://music.geocities.jp/ashizuka_sensei/bansounituite.html

しかしこちらにも書いてありますが、深刻な伴奏者不足、伴奏ピアニストが育たない国、日本、と。。

ただピアノパートを弾くならば、邪魔にならない伴奏にするならば、割と誰にでもできるかと思います。
アンサンブル(音での会話)のできるピアニスト、共演者と共に呼吸のできる奏者、となると、ガクッと減ってしまうということなのかもしれません。
実際私が、ぱっと代わりにお願いしたい時、思い当たる人たちはみんな引っ張りだこで大忙し、ピンチヒッターを見つけるのって、結構一苦労なのです。

フェイスブックで炎上(笑)していましたが、伴奏とアンサンブル、共演、の使い方について。私たちは、伴奏、という言葉ももちろん使いつつ、この仕事を愛するがゆえ、ぴったりなのは共演とか、アンサンブル、とか、シンプルにピアノ、とかかなぁ、と考えています。

もともと、伴奏、というイメージは、一歩下がって伴って奏でる、絶対に間違えてはいけない、死んでもテンポキープ、邪魔しちゃいけない、けれど失敗したら超目立つ、うまくいっても目立たない、という地味で損な役回りであり、ピアノの人が片手間にやるもの、ソリストになれないからやるもの、仕方なく引き受けるもの、というようなイメージもあるのではないでしょうか。

というか、学生の頃の無知な私はそうでした。

実際、伴奏なんだから控えて、とか、ピアノの蓋しめて、と、特に年配の声楽の方はおっしゃったりします。

しかし、時代は変わってきました。伴奏ピアノ、というと確かにそんな窮屈な世界にとどまるイメージですが、アンサンブルピアニストとなると、もう、実際の取り組み方やバランス、考え方、精神的にも180度見方が変わります。

『伴って』奏でる、のではなく、『共に』、奏でるからです。

亭主関白で夫に従い、じっと夫の世話で出掛けることもできない妻、けれど夫は仲良し夫婦だと思っている、のが伴奏。
妻も夫も精神的に自立していて、自分を生きている。好きなこともできる、けれどそこにはお互いに思いやりが溢れていて、いつも新鮮で笑いに満ちた会話があり、どちらかがコケたら、すぐに手を差し伸べるけれど、そこに利害関係や上下関係はない、というのがアンサンブル。

というと、わかりやすいでしょうか(笑)

私も大学生の頃、最初は、伴奏と思っていました。
ある日、中高時代の仲間とのコンサートでチェロソナタを弾くことになり、実技の先生に言いました。「今度ブラームスのチェロソナタの伴奏をするんです。」
すると先生「あら大変、伴奏じゃないじゃなーい!レッスンに持ってきなさい」

え、なんで、伴奏じゃないの?とぺーぺーの私は思いましたが、実際、曲名は「ピアノとチェロのためのソナタ」
略して、チェロソナタ、と言われるうちに、チェロが主役、をイメージしてしまったのです。

コンチェルトのオーケストラパートをピアノで、とか、本当に添え物程度にしか書かれていないピアノパートなどは、伴奏、といっても違和感がないかもしれませんが、ソナタや、リート(歌曲)ともなると、作曲家は最初からピアノと楽器、や歌、のために書いてくれているのです。
なので、これを数人で合わせ、アンサンブルになったときの楽しさと言ったら、、それぞれが主役であり、おしゃべりし合っているようなものなのです。

さらにそれを上手な相手とやると、普段できなかったようなことまでできてしまったり、さーっと暖かい風が吹いたり、ワクワクして一瞬で曲が終わったり。
クラシック聴くのは苦手(笑)な私でしたが、人生で一番幸せだったのは?と聞かれて迷いなく答えるのは、「ゲヴァントのチェロの方とベートーヴェンのチェロソナタを初合わせした時!」と答えるでしょう。
そのくらい、満たされ、人生バラ色になりかねない仕事なのです。こうなるともう仕事というか、麻薬です(笑)

そして、自分をアップデートしておけばしておくほど、次のチャンスがいつか舞い込んできます。自分も輝ける、相手も輝かすことができ、お客さんにも楽しんでもらえる、そんなアンサンブルが、ピアノで可能なのです。

なので私は、伴奏なんかー、というちっぽけなマイナスイメージでいじけてなくてよかった、と今心から思います。

リート(歌曲)の場合は、三上かーりんさんいわく、歌はことばを語る、ピアノは背景の絵を任されています。二人で一枚の絵を描くということ。私の今の師匠ノーマン・シェトラーは、ヘルマン・ブライやディースカウらと活躍していたリート弾きなのですが、ソロも素晴らしい。リートを弾くときは、そのあまりの語りっぷりに、歌手が「歌わされてしまう」そうで。

あまりに濃いので、もっと遠慮してよ、僕の歌の印象がなくなっちゃうじゃん!と文句を言っている歌手もいましたが(笑)、いやいや、ここは、、と先生も引き下がりません。とても面白い、日本では見られないやりとりだなぁと思いました。


さて、実際仕事にしてゆきたいという場合、実際最も重要となってくるアンサンブルピアニストの3つの能力、それは、、


それらを身につけてゆくには、1に実践、2に実践

に加えて、もちろん、アンサンブル専門技術を学ぶことにこしたことはありません。

かといって室内楽コースが激減している今の時代、アンサンブルのためのピアノを学べる場が本当に少ない。
講座など探しても、オーディションがあったり、人数制限や年齢制限があったり、受講料がめちゃくちゃ高かったりして、あまり気軽に学べません。

そこで私は、やはり教える方はソロのピアノばかりでしたが、これを機に、アンサンブルピアノの方法を中心にお伝えしてゆきたい、と思うようになりました。あまりやる人がいなそうだからです。

というわけで、簡単だと思われがちでめちゃくちゃコツのいる子供の伴奏から、本格的な室内楽共演まで、実技レッスンで知ってみたい方、いつでもお手伝い致します。ここに書いていることを実践するワークショップなども、開催してゆきたいと思っています。

次回、2021年9月開催!

第3回ピアノ室内楽・伴奏法講座
     〜チェロとのデュオ編〜
ゲスト講師 宮坂拡志(NHK交響楽団チェロ奏者)

9月16日(木)10~16時 横浜市イギリス館
21日(火)同上
29日(水)鶴見サルビアホール音楽ホール

<課題曲>
・サン=サーンス 白鳥
 エルガー 愛の挨拶
 フォーレ 夢のあとに  のいずれか1曲
・ベートヴェン:任意のチェロソナタ第1楽章

*チェロパートはすべて宮坂氏が一緒に演奏、ピアニスト、チェリスト双方からのアドバイスレッスンになります。

募集対象
・アンサンブル技術を向上させたい方
・上手な人と演奏してみたい方
・原則的に全日程参加できる方

参加料 38,000円(レッスン3回+修了演奏会、設備費、税込)

お申し込み→niwator@yahoo.co.jp




前回、with声楽の講座にコロナで来られなかった方のための、楽譜解説付きライブ録音はこちら


ご自宅で気軽に伴奏スキルアップ↑(ソロの演奏効果も格段にアップします)

日本歌曲から学ぶ〜声楽伴奏のコツ♫


*実際に、アンサンブルに役立つ音の響きの作り方、聴き方、演奏技術や楽譜の読み方など、文字の向こう側を知りたい方、個人レッスン、相談なども受け付けています。

初心者の方の学校での合唱の伴奏、歌の伴奏のコツから、本格的なソナタや室内楽などのアンサンブル、ピアノパート、ピアノソロのお悩み等、なんでもご相談ください。

ご相談、お申込み→niwator@yahoo.co.jp 
  
<実技レッスン> 鎌倉付近にて。
  出張レッスン(交通費別)、オンラインレッスン、
  ご友人と、等のグループレッスンも可能です。
  30分5千円〜

<伴奏についてのお悩み、何でもお答えします>
・こどものヴァイオリン発表会の伴奏で、子供の音を消さないように、かつ音楽的に弾きたい、等
 質問1つにつき、1,000円(メールにて)


  

ご支援下さいましたら経費に充てさせていただき、仕事に繋がるピアノ共演法のワークショップをどしどし提供してゆきたいと思います。