とある高校教員

1児の父。前職くそSE。GIGAスクールによる教育界隈の変化を現場で目の当たりにしたい…

とある高校教員

1児の父。前職くそSE。GIGAスクールによる教育界隈の変化を現場で目の当たりにしたいと思い、この4月から転職。

最近の記事

コロナになって思ったこと:感染者1と申請主義

8/24にコロナになりました。正確にはそのタイミングで陽性判定が出ました。いつどの経路でコロナにかかったのかは残念ながらわかりません。ウィルスに対してブロックチェーンの技術が応用されて、追跡できる未来が来たらわかるのでしょうが。 幸いなことに後遺症もなく風邪のような症状で事なきを得ました。明日から仕事にも復帰できそうです。休みがどのような扱いになるのか正直不確かですが、生きているだけありがたいです。 全感染者数が出なくなるかどうか検討されているタイミングで私も感染者1とな

    • 不登校特例校は不登校児童生徒の追い出しへと化すか?

      不登校特例校は2005年に初めて設置されたが、その動きが活発化されたのは教育機会均等法は2017年と5年前のことである。代表的な学校として挙げられる草潤中学校は、生徒が毎日通う、週の半分、全てオンラインと凡そ3つの選択肢から自らの通学スタイルを選べ、1ヶ月毎にその計画を見直せるものだ。 それに対して、これまでの学校教育は全員がクラス毎に同じ時間割、同じ教室で受けるいわゆる一斉授業型が主流であった。この方式の中では児童生徒は選択肢が無かった。自分の存在の有無に関わらず授業は勝

      • 文科省の小1プロブレム: 文化人類学の眼差しと共に

        GIGAスクール構想、令和の日本型学校教育、そしてこのタイミングでの指導要領改訂と丸々盛々のコンテンツ追加を実行し続ける文科省。 それだけでない。コンテンツ追加に伴い、彼等は圧倒的に膨大な資料の読み込みを現場の各教員に強いては、その機能を麻痺させる。 まだある。以下の資料を見てほしい。色使いといい文章量といい、新卒が作成したスライドのNG集を見ているかのような見にくさがある。おじさんの謎の絵文字😄⭐️ばりの独特な文化が浸透しているようだ。 そして極め付けは現場の余裕の無

        • 認知症と向き合う取り組みを学校教育におけるケア論に照射する

          毎週録画して見ているこの番組。脳味噌が煮え切ってしまっているのか、何故か教育にどう活かせるかを考えながらいつも観てしまっている。(教育を良いものとして自明視していない。むしろそれを怪しいものとして浮き上がらせる手段としてどう活かせるかという方が正しい) 普段は、ふと思うだけで筆が進むことなどないのだが、最近ケア論について触れる機会があり、5年ほど前に触れたノディングス、ケアリングを掘り起こした経緯があり、ここで少し書き連ねることとした。 認知症というと介護が必要な大変な病

        コロナになって思ったこと:感染者1と申請主義

          勝田守一をまとめる

          勝田守一の論を通る必要があるので今後のタスクにします。

          勝田守一をまとめる

          松村智史(2020)『子どもの貧困対策としての学習支援によるケアとレジリエンス』

          その場に赴けば受け入れてもらえる感覚などから、自己肯定感といったレジリエンスの向上に繋がり、そこから更にウェルビーイングの向上まで見込まれると。 以下、思ったこと。 ・教育における貧困対策の役割の境界設定 教育は知識教授の他で貢献できる側面はここまで(自己肯定感の向上)が限界で、生活保障の面は福祉が前面に押し出される必要がある。 ・学習支援から学校教育への照射 履修主義的な、受けさえすればいい時空間において緩やかには拘束されず、行為を制約されてしまう授業(空間)は自己肯

          松村智史(2020)『子どもの貧困対策としての学習支援によるケアとレジリエンス』

          ミステリと言う勿れの一話と社会思想のカケラ

          走り出しネタバレ含む。 「漫画の読み始め無料が面白かったから見よう」と言われ、このドラマを見始めた。このブログを書き始めるまで、駅に並ぶもじゃもじゃの隊列も、誰が一番主役に相応しい俳優かという論争も、遍く断片的なものでしかなく、繋がりは何一つ見出せていなかった。 なんだ、また菅田将暉か。とぼんやり眺めていると、エンケン率いる警察がカレー作る主人公の家を訪ね、任意同行を求める。半ば強引な身柄拘束は事情聴取の場面に変わり、お前が犯人だと押し込めようと厳しい尋問が重ねられてい

          ミステリと言う勿れの一話と社会思想のカケラ

          才能教育は教育革新のコアとなる

          才能教育という言葉を聞いたことがある人はどれだけいるだろうか。周囲の人間や自分が当事者であれば、認知しているのは当然だろうが、そうでない人は知っているだけでも教育通の称号が与えられてもいいかもしれない。社会科学の中の教育学の中でも十分にニッチなのだが、その教育学ですらあまり研究対象にしてこなかった、ごく狭いニッチな領域なのだ。 そのニッチな才能教育は、今後、教育のコアとして稼働していく力、磁場を有すると言っていい。それは何故か。ニッチな領域だからこそ、対象の人間のみに対する

          才能教育は教育革新のコアとなる

          学校教育の新たな可能性として不登校を捉える ①

           不登校は初め、凡そ1960年代にそのままの名前で登場はせず、違った名があてられた形で登場する。登校拒否である。病理として扱われ、治療が目指される。裏返せば、学校に通う生徒は通常、そうでない生徒は異常として意味付けされ、いわばスティグマのように機能していく。この辺りは主要な著書を挙げるに留めるが森田(1991)、加藤(2012)にてまとめられている為参照してもらいたい。  本連載で記していきたいことは、不登校はその登場とは逆転した立場で、今となっては学校教育における新たな可

          有料
          100

          学校教育の新たな可能性として不登校を捉える ①

          『非認知能力:概念・測定と教育の測定可能性』5章 批判的思考

          ・批判的思考が必要な理由 p.84 例:確証バイアス:自分の考えや態度と一致した情報ばかり探し出すこと ・批判的思考の認知プロセス p.85 ①情報の明確化、②推論の土台の検討、③推論、④行動決定・問題解決 批判的思考を伸ばすための介入研究 p.92-93 ①普遍アプローチ:批判的思考のスキルや態度を学ぶこと ②導入アプローチ:ある教科の中でついでに批判的思考のことも学ぶこと ③没入アプローチ:明示的に批判的思考について教えないが教科に没入することで結果的にそれも学ぶ

          『非認知能力:概念・測定と教育の測定可能性』5章 批判的思考

          『非認知能力:概念・測定と教育の測定可能性』4章 好奇心

          本章は好奇心について。①拡散的好奇心と②特殊的好奇心について挙げている。 ①拡散的好奇心=刺激が弱い時に生じる不快感や退屈を解消させようとする ②特殊的好奇心=刺激が強い時 それぞれ詳細は、 ①新奇な情報を多様に求める傾向、生産的な探索傾向、興味型:知識が得られるという期待に対するワクワクした好奇心探索 ②情報のずれや矛盾に敏感な傾向、持続的かつ積極的な探索傾向、拡散型

          『非認知能力:概念・測定と教育の測定可能性』4章 好奇心

          『非認知能力:概念・測定と教育の測定可能性』3章 自己制御・自己コントロール

          本章は特に取り上げるものはなかった。

          『非認知能力:概念・測定と教育の測定可能性』3章 自己制御・自己コントロール

          『非認知能力:概念・測定と教育の測定可能性』2章 グリッド

          グリッドは 「長期的な目標からの保持・脱落」と関係(p.31) 目標構造は 集団において成果(遂行)と学び(習得)がどれだけ重視されているか(p.42) で、 生徒が学級を習得的と捉えた場合には失敗の原因を努力不足に帰属し、ー遂行的と捉えた場合には失敗の原因を無能さに帰属し、あきらめやすいことが示唆されている。(p.43) 教育の可能性には、達成できる気持ちを育むことを挙げているが、ここに先行研究がどれだけあるのかがわからず、筆者がふわっと言っているだけなのが気に

          『非認知能力:概念・測定と教育の測定可能性』2章 グリッド

          『非認知能力:概念・測定と教育の測定可能性』1章 誠実性

          1章は誠実性について。 そもそもこの本は、先行研究についてつらつらまとめた後に各概念を教育可能かどうかを判断するスタイルで書かれている。 誠実性は ・幼少期に介入する余地はあるが、成人は難しい ・誠実性が高いと①簡単な仕事のパフォーマンスが下がる、②大学GPAも下がる 結論 誠実性は「能力」ではなく、あくまでも「特性」(p.28)

          『非認知能力:概念・測定と教育の測定可能性』1章 誠実性

          日本教育経営学会紀要2020を読む_20210815

          学校経営論と「教職の専門性」論 のもつれをほぐす ―「同僚性」論から「チーム教育」論へ― 京都教育大学 榊原禎宏 教師の専門性が①「みんな一緒に」や「共同体」のような安易な規範(p.19)の磁場に引き寄せられやすく、②いじめの対処のように状況依存に陥りやすく、自律性を求める傾向にあることを筆者は指摘する。 その傾向に対して、専門性の醸成のために必要な要素として以下を挙げる。 これからの学校で働く教員には,多面的な視野と平和的なコミュニケーショ ンを支えるメタ認知,事態

          日本教育経営学会紀要2020を読む_20210815

          「学びの個別最適化」を考える1日_[T2-03]未来の教室における個別最適化

          18:30〜19:15 [T2-03]未来の教室における個別最適化   浅野大介(経済産業省) 学習者は学校教育と民間教育の融合領域にいる 学習者はこれまで、学校がほぼ独占して教育を担ってきたが、これからはそうはでなく多様な手段に取り巻かれた環境の中にいるんだぞ!というメッセージがこのはじめの1枚目から伝わる。 岐阜市草潤中学校(不登校特例校)の事例N高と同じような時間割になっているのがわかる。通信制高校の仕組みを用いることで、何割か時数を削減できる仕組み。 授業時数

          「学びの個別最適化」を考える1日_[T2-03]未来の教室における個別最適化