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一度生きる力を奪われた私たちが希望を見出すための道のり

東京医大の受験性差別問題に、ショックを受けています。
でも、どこかで「知っていた」という感覚があるのです。
何となくわかっていたんですよ、こういう現実があることを。でも見えなくさせられていたんです。
精一杯、日本は性差別社会だと訴えてきたつもりで、きっと私もどこかで洗脳されていたんです。

思えば、自分の母からも、地域でトップの高校に進めたのに「女の子だから」と諦めたというような話を聞いていたし、私自身大学の就職ガイダンスに参加した時、真っ先に言われたことは、「就活サイトには男性として登録しなさい、女性として登録した場合と受けとる求人募集の数が倍違います」という言葉でした。

こんなことが今までも日常的にあったのに、なぜか性差別について語ろうとすると、難しくなります。
それはその後に出てくる「反論」を想定して話してしまうからかもしれません。

今、埋もれてきてはっきりと言語化できなかった性差別を明るみにするチャンスが訪れたともいえるかもしれません。
私の頭の中でも、この事件を機に母から聞かされた性差別体験、私自身が経験した性差別体験が泉のように湧き出しています。

この現状の中で絶望しないためには、今湧き出しているこの思いを爆発させるしかない。それができる時が来たのではないかと。

怒るエネルギー

しかし私は、8/3東京医大前で行われた抗議デモには参加することができませんでした。
単純に仕事が詰まっていたのもあるのですが、デモの現場に立って声を上げる自分を想像した時に、今の自分のエネルギーが全然追いつけないような感覚にとらわれたのです。

ここで間違えてほしくないのは、私はデモや抗議行動に対して、「過激」だとか「やり方が悪い」とかいう世間の否定的な見方には全く与しない考えですし、デモを主催したこともあります。

しかしその日、私は個人的な抵抗感を覚えてしまいました。
これまでも自分の体調や体力面の問題で、行きたい気持ちがあってもデモに行けなかったことはある。しかし今回は、それとは少し違う。

この問題そのものに、エネルギーを削られて、立ち上がる力が失われていると感じました。

それでも立ち上がってあの場に出向き、抗議の声を上げてくれた皆さんには心から感謝します。
ああやってすぐに怒りを形にして、表面化してくれる人たちがいてくれて本当に良かった。

今回のことはまさに私にとっても、差別とは生きる力を奪われることなのだと体験する出来事でした。
実際に医大を目指している女性たちを想像しても、この件によってどれだけ夢に向かう気力、生きる気力を削がれたことだろうと思います。
しかし、これは医大を目指す女性のみに降りかかっている問題ではなく、私も同じ被差別の立場にいる。
その感覚が、私自身にも医大受験生と同じ脱力感をもたらしているような気がしました。
差別はまさに、差別に抵抗する力も奪っていくものです。

それでも抵抗するために

だからといって、抵抗を諦めるわけにはいきません。
そこで、「とにかく元気をつけてまた立ち上がって抵抗できるようになるんだ」と考えても良いけれど、今、少し違うことを考えています。

すなわち、「一度立ち上がる力を失われた者としての抵抗」を考えたい。

気力が奪われ立ち上がれなくなるような差別構造は、厳然とこの社会にあって、それでも何度でも頑張って立ち上がろうという方向には、なかなか気持ちを持っていくことができません。
(精神的な意味で)立ち上がらなくても、座ったまま、もしくは寝転がったままでもできるような抵抗手段はないかな、と思うのです。

今回の差別的な不正が発覚して、すぐに思ったことは、「語りたい」ということでした。誰かとこの問題について語りあいたい。

そんな中で、自分の過去記事を読み返していたら、この記事が今の状況に重なりすぎて自分でビックリしまして!

初代『ふたりはプリキュア』前編~プリキュアの゛おっ”と思う話①

「女の子らしさ」に捉われず自分の好きなことを思いっきりやっている女の子の姿…
「女の子も許せないことに怒って戦っていい」というエンパワー…
「バカにしないで!みんな一生懸命に生きてるのよ!理解しあって尊敬しあって生きてるんじゃないの!力ずくでみんなを支配しようとするなんてそんなの絶対間違ってる!」というセリフ…

プリキュアってやっぱりすげー!

元気が出ました。そして、こういう自分自身が元気が出ることからまずやっていこうと思えました。

語ることは、自分自身を癒し回復するための方法としても必要であり、同時に問題を風化させないこと、自分が日常的に接している社会に問題意識を広めることにもつながる可能性を持つように思います。

語ることから出発したい。そんなつながりを作れないか、と、今思案しています。

(全文無料、投げ銭記事)

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