稲本義彦

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河原町のジュリーの思い出

出会い 「河原町のジュリー」は、70年代後半に京都で暮らしていたひとならだれもが知る浮浪者であった。当時はホームレスということばはなかったようにおもう。 たんに長髪を、それも汚れてコベコベに固まった長髪をたたえていたために「ジュリー」と呼ばれていただけなので、いくら京都出身とはいえ本家の沢田研二さんこそお気の毒ではある。 さて、おれが河原町のジュリーをはじめて目撃したのは高校生のとき、おそらく1976年か77年のことで、初夏くらいのすこし暑い季節だったと思う。時刻は夕方、

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