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日系人との出会い

 メキシコの都市グアダラハラから、サン・ルイス・ポトシに移動した。キューバへの飛行機が飛ぶモンテレイとグアダラハラとの中間地点だったから。それ以外に特に大きな理由は無かった。
 今回もカウチサーフィンを使って、現地の方の家に泊まった。その日の夜、ホストの友人たちとレストランでご飯を食べた。
 「明日色々周ってみたいんだけど、どこかおすすめある?」
「そういえば、日本庭園があるよ!行ってみたら?」
 歩いて行ける距離だし、海外でどんな風に日本庭園が表現されているのか興味を持ったので、行ってみることにした。
 翌日、歩いて日本庭園に到着した。入り口は日本のお寺の門のようだ。中には鳥居や日本庭園の池や竹林があった。どこか京都に雰囲気が似ている。それにしても、凄い人の数だった。みんなあちらこちらで写真を撮っている。日本の庭園はメキシコで、そんなに人気なのかと思った。
 お寺の入り口の方には、青い法被を着た人たちが出店をしていた。日本人かなと思い、近づいて行って、「日本の方ですか?」と声をかけた。
 そうすると相手はたどたどしい日本語で、「日系人です。」と答えてくれた。色々話してみると、彼らはサン・ルイス・ポトシに在住する日系人たちで、週末に日本庭園で弁当、おにぎり、お菓子、ジュースなどを売っているらしい。
 代表の方が翌日にご飯にも誘ってくれて、そこでお母さんの日系2世の方に会うことができた。まだまだ出会いは続く。その方たちに、自分が目的地にしているモンテレイに居住している日本人教授を紹介していただいた。彼は日系人のルーツ探しのプロジェクトをやっているらしい。さらに、その教授からキューバ在住の日系コミュ二ティを紹介していただいた。
 このどんどん繋がっている感覚。中南米やりたかったことの1つに、日系人たちと会って話すことがあった。沖縄は中南米に行った移民の方々が多い。5年に1回は世界のウチナーンチュ大会という大会も開かれている。世界中から大会に合わせて、日系人が集まる。自分も大学で沖縄県人会、オーストラリアでは沖縄関連の人々に助けられてきた。外の世界に行って、沖縄のつながりの強さを実感する。それはなぜなんだろう。漠然と興味があった。アイデンティティと言うと大げさに聞こえるかもしれない。沖縄以外で「沖縄」に出会うと、懐かしさが溢れ、力がみなぎってくる。だから、日系人は何を考え、どう生きてきたのかを知ってみたかった。自分が感じたものと共通の感覚を持っているのかもしれない。
 中南米でまさかこんなすぐに出会うとは思っていなかった。自分が願っていることに対して、何かに導かれるように出会う。運命のようなものを感じざるを得なかった。沖縄、日系人、アイデンティティ、ルーツ。この方向に進みなさいと誰かから背中を押されているような気がする。まだまだたくさんの出会いがある予感がした。

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