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すべての大人に手渡したいもの──NewsPicksパブリッシングの使命


NewsPicksパブリッシングが、2019年10月の創刊から1周年を迎えた。

月1冊、年だいたい12冊。
(上下巻もあったり、草思社さんとのコラボもある)

編集者は2.5人。正確に言えば、2.2人だ。

井上編集長、富川副編集長に加えて、自分が0.2人である。
(私の0.8はBrandDesignという部署に属する)

もともと知己であった富川さんが、
自分より1年後、NewsPicksに加わることになり、
準備の段階からなんとなく手伝っていたところ、
玉突き事故のように偶然が折り重なり(笑)、
書籍も半身ながらやらせてもらうことになった。


創刊準備の中で、
この時代における書籍の価値、ビジネスパーソンにいま何が必要であるのか、などレーベルの方向性や世界観を話してきた。

それぞれマーケットを楽観しておらず、
一方で、書籍の可能性を個別に信じていたように思う。

外の編集者の人から、ラインナップがいい、
どういう編集方針なのか、と尋ねてもらえることがあるが、
パブリッシングで、いわゆる「企画会議」をすることはない。
(いわゆる企画会議とは、その場で、この企画がありなのかなしなのか、
 を合意形成の上、意思決定をする場である)

一度は「企画会議」をそろそろやろうか、
という話も出たが、結局、不要だという話になった。

それぞれプロフェッショナルであるから、
各人が今やる価値があるとジャッジすればやる。
逆にそれぞれがやる価値があるとジャッジしたものに、多少の意見はあっても、誰かを頼るようでは、意思決定の質に影響するので、
独立した判断を尊重することになった。
もちろんスピードの問題もある。
(タイトルや表紙はわりと営業メンバー含め相談し合うことも多い)
(自分はビジネス書マーケットの勘が乏しいため、二人に意見を聞くことが多い)

創刊の当初から、
 希望
 本質
 知性
 普遍性
 合理的楽観性
 経済と文化の両利き
などの言葉を折りに触れ交わした。

そして、それぞれの仕事の中に、
ご一緒してくださる著者のみなさまの言葉の中に、
それらを見た。

ラインナップは、
ビジネスの最前線の潮流を汲み取ったものから、
経済の営みを人文知で脱構築したもの、
人類史や国家を論じたものもある。

今すぐに役に立つものがある一方、
物事の捉え方を変えうるものもあった。

でもそれは同じ「ひと」に向かって編まれていた。

『D2C』を読んだ人が『贈与』を読んでもいい。
『他者と働く』が響いた人に、『シンニホン』も読んでもらいたい。
そんなふうにそれぞれ3人が考えていたと思う。


その向かう先を、ミッションとして、まとめてみようとなった。

井上さんが、「経済に新たな問いを」と発し、
経済は途方もなく感じ、
私が「ビジネスパーソンに新たな問いを」ではないかと言った。

そして、みなでうなずきあった後、
その場にいた、一番若い23歳の青年であるところの、
中村さんが、ぼそりと
「ビジネスパーソンというか、大人って感じが…」
と言った。

みんな驚いた。

そして、口々に、
「大人…」
「大人に?」
「大人に、新しい問い…」
「なるほど」
などと口にしながら噛み締めた。

来週まで寝かせてみようなどと、誰かが言ったが、
胸の内ではみな、自然とこの言葉がしっくりきていたと思う。

副文は、パブリッシングのメンバー、
金泉さん、富川さん、岡元さん、中野さん、鈴木さん、中村さん、山崎さんの言葉を拾い、私が主筆し、井上さんが編集をした。

楽しい作業だった。
以下である。

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大人に、新しい「問い」を。

なぜ、何のために働くのか。

価値を生むことと、お金になることは、イコールではないのか。
1兆円のビジネスを成長させた先に何があるのか。

わかり合えない他人と、どう関わっていけばいいのか。
差別や偏見に、打ち勝つことはできないのか。

すぐ役に立つ最適解。
すごい人が成功した秘訣。

それは今ここで、私が選ぶべき答えなのだろうか。

日々遭遇する「多面的な物事」を、
自分の頭で考えられる大人になっただろうか。

いくつもの問いが駆け巡り、不安をおぼえる。
そしてふと、期待が高まる。

今、私たちに必要なのは、
本質をとらえなおす新しい「問い」だ。

"経済を、もっとおもしろく"するなら、おもしろさの根源を。
"経済情報で、世界を変える"なら、世界の再定義を。

私たちNewsPicksパブリッシングは、
解くべき問いを立てなおし、無数の希望を創り出していきます。


ときどき井上さんが、しみじみと、
「このチームでよかった」
と言ってくれることがある。

うまく言葉にできないが、自分もそう思う。


(バナー写真:吉田和生)

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