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【400字小説】鎖に繋がれた自由

不自由の中に自由があるってよく言うけれど、
実際のところ意味がわからない。
急に駐車場で車の窓をコツコツされて
嫌なあなたが立っていたのに辟易した。
そんなことお構いなしに喋り出すから、
仕方なく窓を開けていた。
無視したって良かった気もする。
嫌いな人には関わらない自分になりたかったんだ。
それが自由な気がしているからさ。

「STAY DREAMいいよ」って
長渕剛の曲を押し付けてきて、うざかった。
あなたの口から《自由》って
言葉が出てきてびっくりした。
病気や介護や育児や仕事や何やらに
雁字がらめだって言ってる矢先に、
その言葉が出てきたしさ。

忌々しくて早く立ち去って欲しかったけれど、
わたしはいい人を演じることをやめられないから、
自分にとってどうでもいい人にでさえもね。
「今度、飲みに行こう」っていう
お決まりの文言には本気度があって鳥肌が立った。
それならひとり飲みの様子を
動画編集してた方が、
まだ有効で自由な時間の使い方。

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