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【400字小説】見えないママー!

今さら『ボヘミアン・ラプソディ』観るつもりはない。
大学の卒論ではQUEENを考察したんだ。
だから正直、映画がヒットしていた当時は冷めていた。
それこそ「今さら?!」っていう話で。

カラオケで『ボヘミアン・ラプソディ』を
何回歌ったか知れない。
母の影響だ。
学生の時はQUEEN好きを公言していたから、
映画の話題でわたしを思い出してくれた
大学時代の友人はきっといたはず。

どんな形であれ、思い出してもらえたら光栄だ。
それがQUEENという黒歴史だとしても。
フレディ・マーキュリーは
自らQUEENの楽曲を「使い捨てのポップス曲」と自嘲した。
わたしはその姿勢を軽蔑して、
卒論にQUEENを取り扱ったってわけ。

矛盾、というものがどういうものなのかを知りたかった。
大好きだったQUEEN、そんな自分が恥ずかしかったmyself。
商業的な歌にウキウキさせられて。
芸術とは何かを知らなかったね。
母が死んで、QUEENを改めて聴いて、
良いバンドだと地獄の底から思って嫌悪した。

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