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ただの映画感想『ちょっと思い出しただけ』

★★★☆☆

会話の巧妙なトリックが印象的。最初は気づかず、内容のない会話だなあとマイナススタートだったわけだが、決めるとこではきっちりパンチラインハメめてくる展開にハッとした。会話劇ならぬ《会話映画》だった。あと、妻を待ち続ける男(永瀬正敏)の存在も気にかかった。葉(伊藤沙莉)は待っているタイプではなく、自分から掴みにいくタイプに見えた。妻を待つのも、恋をトライしようとするのも、儚くていいな。それに照生(池松壮亮)の恋に煮え切らない感じにやきもきした。ダンスが一番で優先順位が葉の方が低くて、かわいそう。でもそれだけ夢に真剣だったのか。《ちょっと思い出す》どころではなく、葉も照生も引きずりまくっててリアリティ。それでもそんな恋ができて良かったんだと思う。数年にわたる照生の誕生日の1日を切り取っていく物語にはセンスを感じた。正直、期待したよりも満たされなかったが、タイトルが秀逸なので★をひとつ増やした。

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