見出し画像

【400字小説】無自覚な供給

佐藤さんはド*ブスで旦那もブサイクでも、
笑って楽しい毎日だから《幸せ》でいいんだろう。
雑草がもりもり育ってきている
わたしのうちの庭は、荒れ放題。
向かいの佐藤さんちの庭は整備されている。

2週間に1回はきちんと夫婦で
草刈りをしているのを見かける。
こんにちはって明るく声を掛けてくれるから
悪い気はしないが、蔑み、嫉妬して、
挨拶を返していた。

ある日、空き巣が佐藤さん宅に侵入して、
空き巣じゃなかった旦那さんは
容赦なく空き巣に襲われて腹部を刺されて重体。
命には別状はなかったものの、精神的にまいってしまった。

それ以来、庭の雑草は伸び放題。
気丈に振る舞う佐藤さんは、
ブスに拍車を掛けて、ブス以外の
ナニモノでもなくなった。

今日もわざと作りすぎた
ティラミスを佐藤さん宅にお裾分け。
幸せとは何かを感じるために呼び鈴を押す。
やつれるどころかぶくぶく太っていく佐藤さん。
彼女を見て安心する、
わたしはこの人より幸せだよってさ。

◆◆◆

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?