『レディ•バード』レビュー

グレタ•ガーウィグ監督『レディ•バード』(2017)を観た。配給はA24。主に17歳の高校生と母との愛情の物語なのだが、それは誰もが経験している人生そのものだった。
特に心を惹かれたシーンはプロムに来ていくドレスを選ぶシーンで、娘が試着室の中で母に言ったのは「私のこと好き?」だった。ただ素直に褒めて欲しい娘と、娘の幸せを願うあまり娘に否定的になってしまう母の微妙な心情が、あの、何か言おうとして口をつぐむシーンに込められている。大学に行くために家を出ていくとき、本当は母は娘を抱きしめたかったと思う。
「初めてサクラメントを運転した時、どう思った?」この映画は、離れて初めて分かる故郷の愛しさを描いている。その故郷には家族、友達がいて、それらが自分を形作ってきた。冒頭のセリフ「この町が大嫌い」と言ったときは気が付かなかった。人生はいつも最後になって初めて気づくことがある。

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