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XやSlackで見かける、「1on1したい人ぜひ!」投稿への若干の違和感

「1on1募集!」「1on1しましょう!」「1on1したい人いればぜひ!」
最近、高校生や大学生がこのような投稿をしているのを何度か目にしたことがあるのだが、文脈によってはこの類の投稿に、若干の違和感を覚える。

おそらく、社会人になってからの上司との「1on1ミーティング」が当たり前になった今、そして、自分が学生時代にもほぼ同様の意味で使っていたこともあり、最近の学生の「1on1」とは異なる意味合いで考えているためだろう(おそらく)。

言葉は変化するものだし、その流れを引き留めるのは何か違う気がする。だから、特段「これは間違っている!」と否定するつもりはない。
しかし、自分自身の思考という意味でも、今後、世代間で悲劇の認識齟齬を起こさないためにも。少々いま考えていることを書き残してみたい。

そもそも1on1とは、いつごろから聞き始めただろう。
それ以前にもバスケの練習などで「1on1」という言葉は聞いたことがあったが、それ以外の文脈で聞きはじめたのは2020年前後の記憶がある。
ただ、僕が大学時代を関西で過ごしていたこともあり、あくまでも僕の感覚だ。実は東京ではもっと早くから言葉自体が存在していたのかもしれない。

なぜ、オンライン上で「1on1」が流行りだしたのだろう。これは推測ではあるが、件の感染症により「オンライン」で関わる機会が一気に拡大し、従来の「サークル」や「大学」といったリアルのコミュニティだけではなく、初対面で「話す」「聞く」という領域が全国規模になったこと、ハードルが下がったこともひとつの要因かもしれない。

そこから人口に膾炙し、最近では自分の知る限り、同じSlackにいる高校生ですら「1on1」という言葉を何気なく使っているから驚きだ。

さて、そんな「1on1」だが、その当時考えていた言葉の意味としては「1対1で話すこと」、そして、話す内容もただのおしゃべりではなく、「後輩の相談を聞く」などといった「メンター 」「先達に相談する」的な役割をイメージしていた。

実際、僕も同時入っていたコミュニティでは、就活が終わった学生として、就活生やキャリアを考え始めた大学1、 2年生から「1on1お願いできませんか?」と頼まれたこともあった(当時、ちゃんとニーズに即した回答をできたのかは自信がないが、気付きを得る時間にはできたようでよかった)。これも、「先輩に相談する」という行為だろう。

その認識は社会人になってからもあまり変わっていない。僕は毎週、上司に1on1ミーティングの時間をとっていただいており、業務を進める上での不明点や進め方、まとめ方などを相談している。また、頻度としては少ないが、キャリアの相談にのっていただくこともある。これは、上司という「自分よりも経験のある先輩」に「相談する」という行為だ。

ここまでみてきたように、僕の中では1on1ミーティングとは「相談」という認識だ。ちなみにインターネットで「1on1とは」と調べると、最上位にはパーソルのコラムが表示されるのだが、1on1とは「上司(マネージャー)と部下が1対1で行う、定期的な面談のこと」との記載があるので大きく間違ってはいないだろう。

さて、それを念頭に置くと、冒頭で書いた学生の投稿には文脈によっては若干違和感が出てくるように思う。「1on1募集!」は「1on1する側」なのか「される側」なのか、「何を1on1したいのか」を判断しがたいため、例えば「卒論に関して1on1頂ける方募集!」「就活に関して1on1します!」などと立場を分かりやすくしたら判断しやすいかもしれない。

しかしながら上記はあくまでも「1on1ミーティング」の発想である。これは憶測な部分もあるのだが、最近の学生は「1on1」=「ただのおしゃべり」「気になるから軽く話してみたい!」あるいは「人脈を広げたい!」「視野を広げたい!」の意図で発言する場合も多いのではかいか。だとすると、その学生の発言も後者の可能性もある。これだと、社会人と学生の認識が食い違い、本来の目的を果たせなくなる危険性をはらむ。「1on1したい人はぜひ!」というコメントも同様だ。僕の場合はなんとなく意味が伝わるものの、知らない人がいた場合、軋轢を生みかねない。

これはきっと「1on1」という単語だけの問題ではないのだろう。世の中には世代によって「異なる意味」を与えかねない言葉が多々ありそうな予感がする。双方に理解のある方ばかりではないはずだ。ミスコミュニケーションを起こさないためにも、誤解を生みかねない表現には特に気を遣い、必要に応じて言い換えや補足などを検討したい。


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