『Ansible構築・運用ガイドブック』の感想

はじめに

Ansibleという言葉を知ってはいたけども、どう始めたらいいか悩んでいました。そんな時に、Ansibleの使い方について書いた本がでるとTwitterで知り、即座に購入しました。

コツコツと読んでいき1ヶ月ぐらいでハンズオン含み読み終えたので、感想を書こうと思います。

どのような人向けか

私のように趣味で読んでいる人は多くはないだろうと思います。
以下の項目に当てはまる人たちには、良い影響を与える情報ではないかと思いました。

・シェルや Teraterm などでインフラ自動化したことがある人
・ソフトウェアテストを担当している人
・大規模な情報インフラの設計やメンテナンスを担当している人
・これからCI/CDを初めてみたい組織に所属している人

反対に、SIer で上流工程をやっていたり、社内SEをやっている人には向かないという印象です。

どのような書籍だったか

・Ansible を始めるに当たって前提の知識
・Ansible を始めるための環境構築
・仮想環境、クラウド環境を使ったハンズオン
・Ansibleを組織内で始めるための助言
・AWXに関する紹介

ざっくり言えば上記の内容です。

書いてある内容の7割程度はハンズオンです。

そのため、単なる技術書の読み物というよりは、実践的な形で Ansible を操作することになります。
ハンズオンに必要な環境は、 Windows OS 上に仮想環境や実際のクラウド環境を使います。私は手元にある 8GB しかメモリの載っていない Surface Pro でしたが、それでも動きました。

手を動かし、Playbookを書き、Ansible を実行すると、Ansibleを実践で使う時に留意する点に気づきやすくなります。

例えば、この書籍の体験を元に Playbook だけを自作してみても、簡単にはうまくいきません。
試しに Cisco(1812J) を操作する Playbook を作って動かしましたが、エラーメッセージと格闘する羽目になりました。
そこには Playbook を1から作る難しさや、検証環境の大切さ、エラーメッセージを読み解く能力、Ansibleをテストすることに対する重要性などに気付かされます。

この書籍では、そういった Ansible を使った時に起こりうる「ハマりどころ」を上手いこと回避して書かれており、ゴリゴリ、ハンズオンができる一冊となっています。

ハマりどころ

・Vagrant と Virtual Box の環境設定(Versionの不一致)
・ファイルの実行権限周り
・説明しているコマンドに関する誤記を補完する(sudo されてないなど)
・Molecule に関するハンズオン

上記の4つの点は、手元で操作し混乱したポイントです。

Linuxの操作に詳しければ回避できるため、そこまで目くじらを立てるような内容ではなく、表示されているエラー内容を読めば、回避はできるかと思います。

ただ、一点だけ私が回避できなかったのは、 Molecule に関するハンズオンです。終盤にある項目のため、読むモチベーションの在り方も変わってしまったため、対処しきれず、どうすればよかったのかというモヤモヤ感が個人の感情として残りました。

おわりに

色んなハマりどころを回避して、とにかく Ansible を使って、感覚を掴みたいという Ansible 入門者にはオススメな一冊だと思います。

付録

「Ansibleによる自動化を進めるためのアイディア」という考え方には、好印象を持ちました。また、それと同時に、この節をみて、悔しい思いをしている人も大多数いるだろうなという感情も抱きました。

具体例を言えば、

・人月商売をしているため、自動化で受けられる恩恵より、メンテナンス時間を伸ばした人海戦術の方が利益を取れる構造になっている
・ダメなポイントを丁寧に説明した場合、上司から得られる信頼のポイントが減り、新しい技術導入が難しくなる
・ネットワークの構成や管理について知識や経験が乏しく、構成管理より工数を優先されるような意思決定に陥っている

このようなところに所属している人だと、「私のいるところでは無理だ。」という感情にならないかなとボヤっと思いました。

そのようなエンジニア領域外の戦いで疲弊してしまった人にも、
純粋に Ansible を楽しみたい!!
が、手軽に楽しめるのでオススメの一冊ではないかとモヤっと思って見たりしました。

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