逐次通訳中 2023/7/5

いつもより遅めの14時に在宅の同時通訳案件は全て終わった。いつも通り、ずっと座っていたにも関わらず、激しい動悸のせいで全身に血が巡り、軽く運動したあとのように足先まであたたかい。やっと深くゆったりと呼吸ができる。
会社貸与のパソコンとマイクを片付け、軽く食べ、薬局へ行き、今度は私物のパソコンを出して別案件の資料を読み込む。友人の紹介のおかげでスポットで依頼が来るようになった大手化粧品会社の会議通訳の準備。
マイク付きイヤホンをジャックに差し込んで、マイクは予めミュートに設定。カメラもオフにする。16:30に先方のプレゼンがオンラインで始まる。ここは訳さないけど全部漏らさず聞いておかないと。音量設定を調整しながらスピーカーの皆さんの発音の癖、イントネーション、よく使う言葉に慣れておく。聞き慣れない言葉が登場するたびに手元のスマホで検索し、手書きでメモする。記憶を定着させるには手書きしかない。
参加者情報も全員分見ておく。プレゼン画面の横に表示される参加者人数のあたりをクリックして、全員の名前を手元に書きつける。固有名詞はサラッと早口で出てくることが多いのですぐ照合できるように。
プレゼンは予定の時刻を過ぎてから終わった。そのあとの質疑応答も英語で行われた。その場合は訳さなくて良いとは言われていたけど、いつ頼まれても良いように全てメモを取る。ミュート解除することもないままにメモはどんどん溜まり、論点もどんどん切り替わり、話は進んでいく。
和訳の出番は無さそうだと思いつつも気が抜けない。相手方と日本側の駆け引き、議論の持って行き方、声のトーン、画面越しの顔の表情を観察しながら、どこに着地させようとしているのかを探る。何を言わんとしているのか、それをどう言おうとしているのかが大事だ。つい言葉に引っ張られるけど。
結局逐次通訳に入ったのは終盤の数分だけだった。初めましての方もいたので、テスト的な意味もあったのかもしれない。
午前中のIT企業と比べ、タイムラインの引き方や話の進め方がややスローペースに感じるが、商材はこちらの方が好きだし、これまでの経験も活かせる。会議資料見てワクワクできるなんてあまりないことだから、依頼を貰えるのはラッキーなことに違いない。

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