テレビ東京のドラマのクオリティが突き抜けていることに気づいたドラマ

ジェーンスーのラジオを聴いたり、前はエッセーを読んだりとこのドラマのことは聞いていたけど、ついぞ観る機会なしかと思っていたが、ついに観た。民放のドラマを観なくなって久しいけど、テレビ東京のドラマって、こんなにレベル高いのー?としばし唖然。その後、しみじみと作品を振り返ると、自分の好きな要素だらけだったことに気づいた。

好きな要素①総監督山戸結希、脚本井土紀州、音楽vampilliaという黄金の三角形

溺れるナイフの映画化で山戸と井土の組み合わせ、五つ数えれば君の夢は監督山戸劇伴vampilliaの組み合わせ。山戸監督の商業作品ではこの2作が抜群のデキ。極端なクローズアップと引きの画作りと哲学的な言い回しが山戸監督作の魅力なのだけど、これは一歩間違えれば大事故になる。実際、溺れるナイフは誰もが観たほうがいい作品だが、山戸脚本監督のホットギミックは映画がごちゃごちゃすぎて、ダメだった。それくらい、脚本の整理力は大事だが、本作は井土が脚本を担当していて、とてもとても整理されている。
一方のvampilliaは気持ちいいけどこの幸福感はいつか終わると思わせるふわふわした感じをいつまでも味わっていられる。これを深夜ドラマで味わえるって、この世界は確実に良くなっていると感じた。

好きな要素②ロケも手抜きなし

ちょっと前まで日本の映画とドラマ全般に対する不満として、東京のど真ん中でロケをしていないということがあった。が、本作はそこをいとも簡単にクリアしているように見えた。銀座をぶらぶらする回もあったし、日本橋人形町周辺に隅田川周辺のテラスや橋、と東京東部そのもの。自分の生活圏だらけでニヤニヤしてしまう。自分の生活圏がドラマになるのはいつだって気持ちがいい。

好きな要素③人間田中みな実の苦悩がみえる第8話

田中みな実は主人公の番組のパートナー役であり、局アナを演じている。この8話は新人の女子アナが二人の番組に挨拶にきて、その1人が田中みな実のことをあこがれだといった後で局のお偉いさんが君もすぐに田中みな実みたいになれるよと軽口をたたいたあとの顔!絶望と失望と負けたくない闘志とあきらめの複雑な感情が入り混じった顔。そして、その後、二人でバーに行った時の悩みを打ち明けたときの顔。この8話が特に好き。

総じていえることは

テレ東深夜ドラマって、ひと昔前だととても素面では直視できないものが多かった印象だが、もはや配信系のオリジナルと比較しても負けないところまで来ている。製作費を考えるとこれってすごいことですが、ドラマ24って、他のやつもみたほうがいいかもしれない。と思いきや、孤独のグルメ、忘却のサチ子、バイプレーヤーズはこの枠だった。テレビ局の経営環境は厳しくなる一方だが、このクオリティが作れるテレビ東京は生き残るだろうな。貧しい感じがまったくないもの。

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