今季もロッテだが

12球団でたただ一人今季の契約を交わしていなかったロッテの佐々木朗が球団と合意に達したと26日、ロッテ球団があきらかにした。佐々木は4年目を終えた昨年シーズン終了後の契約更改で球団に対してポスティングシステムでのメジャーへの移籍を申し入れたが球団は「現時点では認められない」と却下した。

 これには佐々木の育成にかかわってきた吉井監督も賛成だったが、佐々木は聞く耳を持たずその後もメジャー思考は変わらなかった。これに対し球団は年始に高坂球団社長が「活躍した選手がメジャーに挑戦して行く事については球団としては後押していきたい」と話したが一般論で佐々木に関してでは無く対立は続き、待った無しにやってくる2月1日からのキャンプイン、未更改で自主参加も考えられる段階でようやく合意に達した。

 佐々木がここまで今年のメジャー移籍に拘った理由に不可解が多い。大リーグ球団には25歳未満の外国人選手を獲得する際の契約金を低くする「25歳ルール」がある。25歳未満の選手に適用され24歳の佐々木はその範疇、マイナー契約限定で当然契約金は抑えられ、その額よって決まる前球団への譲渡金は限られる。ロッテはこの事は反対理由に挙げなかったがみすみす大損、避けようと考えて当然だ。

 ロッテにはもう一つ首を縦に振らない理由があった。佐々木は昨年15試合に投げ7勝4敗、防御率1.78、この間2度ベンチを離れた。故障したわけではないが兆候が見え大事になるのを避けたのだ。こうした用心は入団した時から変わらず、という事はいまだプロの体になり切っていないといえ、そんな体でメジャーへ行ったらと心配があるのは当然で吉井監督もその一人だ。

 この事は佐々木自身も分かっているはずなのに昨年ポスティングシステムの期限が切れた1月上旬以後、この後は大リーグに行くにはマイナーしかない状態になってもなお大リーグ移籍に拘った。佐々木に関しては背後関係に影響されているとかねてから思っている。そのため本来の思慮に混乱をきたしているのではないか。

 今回契約が合意に達したのはその状態から覚醒したと思いたい。昨年の年俸は8,000万円だった。今季の契約についての詳細はまだ明らかにされていないが27日久しぶりに報道陣の前に姿を見せ「交渉自体は代理人の弁護士先生を通してやらせて頂き色んな事を時間をかけ話をして契約が出来たと思います」と話した。

 信じたいが、清廉潔白という印象が薄れたのは致し方あるまい。

令和6年1月28日

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