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詩│白猫の矢

早朝 東の空 紺色の雲間 明けに照らされた光は

扉が開かれ放たれた白猫

わたしの目に真っ直ぐに飛び込んでくる

雨樋からの雫の音と小鳥の囀りが混ざり

西の林には濡れ青葉が深呼吸をして輝きを増す

よくわからないけれど あなたに出会ってから

わたしは多分同じ射型(しゃけい)をずっと変えていない

どんな時も 

どんな空模様でも

あなたのハートの真を射抜こうとする型だ

風が強くて夕陽が雲に隠れたり出たりしている

川の流れもはやい

橋の下の巣のもとへ吸い込まれていく燕

落ちぬように流されぬように

燕はまた飛んでいく

風を切り、夕陽に向かって

雲間からあなたが笑う

わたしも今のこの瞬間に心を残し

あなたへと射る

わたしの心からのほほ笑みの矢を 

翼を広げて あなたの光を抱きしめる

ひとり静寂に包まれた夜には

朝に見た白猫がわたしの瞳から

あなたを探して一番星を放つだろう

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