日記:恋人たちの夢

たちの悪い夢をみた。

細かい筋は覚えてないけど、10代の終わりから長いこと付き合っていた昔の恋人がでてきた。
恋人という言葉に漂う甘美な香りは夢の中の私たちの間にはない。
その人の隣で、今の恋人のことを思い出してひたすらに罪悪感を感じていた。

昔の恋人は相変わらず、自由気ままに寝ていた。
あれもしなくちゃこれもしなくちゃとせかせか動き回っていたあの頃の私はそういうのんきさにだいぶ救われていた。
甘美なものはなくても、ここには他の誰との間にもなかった心地のよさがある。私は、この人の、すべて許されている感じにとっても救われていたんだっけな。

そして、恋人のことを思い出す。
静かな罪悪感が背後にある。
目を覚まして、私は何を反省すればいいんだろう。誰を、恋しく思えばいいんだろう。誰に申し訳なく思えばいいんだろう。どうも決まりが悪い。

誰かに追いかけられたり、嫌悪するものに囲まれたり、高所から落ちたりしなくたって十分悪夢だ。

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