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iPS細胞研究所長「若返り」研究に注力

2021年5月、京都大学のiPS細胞研究所長の山中教授は今後の研究方針を明確にした。iPS細胞の技術を応用した「若返り」研究などに注力すると説明。現在世界中で研究が進んでいる不老長寿薬開発の分野に本格的に力を入れていくようだ。iPS細胞を中心とした再生医療に対し、国は2013年~2022年度の10年間で約1100億円の巨額支援を続けている。一方、2023年度以降の支援は未定で、文科省で3月から今後をどうするか検討中だという。その為山中教授としては引き続き国からの支援が必要だと考え、このように表明したのだ。今世界中で注目されている不老研究に参入することで政府の目を引き付けたいのだろう。

文部省はまだ検討中

文部省は2023年以降の支援をどうするかまだ明確な答えは出していない。山中さんによると、2023年度以降にiPS細胞をつくる技術を使い、老化現象の解明に挑みたいようである。研究をさらに深めることで細胞の老化を抑え、「若返り」への応用をめざすという。山中さんは「iPSを使った治療を、ふつうの治療にする」とも話した。京都大学iPS細胞研究財団で製造、供給しているiPS細胞の高品質化、質の均一化、低コスト化なども進める。これを実現するためには政府の支援が必須であると訴えた。

今後の展望

2050年代までには、心臓や肺などの主要臓器をiPS細胞で丸ごと再生し、交換できるようになるとの予測もある。老化を防ぐ研究が進んだ結果、人はどれだけ生きられるようになるのか。東大医科学研究所(がん防御シグナル分野)の中西真教授は「2016年には英科学誌『ネイチャー』に“ヒトの寿命は120年”とする報告が掲載されましたが、最大寿命を延ばすことは非常に難しい。ただし、薬を使えば最大寿命の120歳まで健康体でいられる可能性は十分にある。」と解説。近年寝たきり老人やその介護で人に迷惑をかけない死に方が問われる中で期待がかかる。ピンピンコロリというヒトの寿命=健康年齢の時代がいよいよやってくるのだろうか。




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