パキスタンには世界第２位の岩塩鉱山があります。ピンクソルト、ヒマラヤソルト、ヒマラヤ岩塩として販売されている岩塩の生産地であるケウラ岩塩坑には、６億トンの岩塩が埋蔵されていると言われ、年間 380,000 トンの純度約 99% の岩塩を生産しています。

ケウラ岩塩坑は、年間何十万人もの訪問者が集まる観光名所となっています。鉱山は、イスラマバードから約２時間、ラホールから約３時間の距離にある、パンジャーブ州ジェラム地区に位置します。訪問者は、ケウラ岩塩坑鉄道に乗って鉱山内深くまで行くことができます。

ケウラ岩塩坑は、照明で照らされ、鉱山本来の美しさをさらに際立たせています。この鉱山の中には、岩塩レンガで造らた美しいモスクやミナーレ・パキスタン（パキスタンの記念碑）、アラマ・イクバルの像などがあります。光の反射で見事な岩塩のピンク色を見せる透明な光のエリア「シーシャ・マハル」と、まるでダイヤモンドが輝くように見える「クリスタル・パレス」と名付けられたエリアもがあります。

ケウラ岩塩坑は、この地域が広大な海に覆われていた約６億年前の先カンブリア時代に形成されたと考えられています。時間が経つにつれて、海は蒸発し、厚い岩塩の堆積物が残りました。その後、地殻の圧力と動きにより、これらの堆積物が巨大な岩塩の岩石に変化し、今日のケウラ岩塩坑の特徴である地下トンネルの複雑な空間が形成されました。

岩塩採掘抗で働く人々に呼吸器系の病気が非常に少ないと言われ、アトピーや喘息などのアレルギー症状を軽減させる、天然塩を使った自然療法が注目を浴びています。

ケウラ岩塩坑の内部には、アレルギー性喘息を治療する治療所があり、多くの慈善団体が貢献をしています。岩塩による閉鎖空間が喘息などのアレルギー疾患を寛解させるため、喘息患者は１日６～８時間を鉱山内で過ごすことにより症状がよくなると言われています。ケウラ岩塩坑の治療所には年間約５０人の患者が治療を受けており、８割の患者が短期間で改善の兆しが見られました。